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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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私は豪徳二を殺した。理由はない。
私は佐野美香を殺してしまった。理由はない。



描くことに没頭し燃え尽きるように自殺した画家、東条寺桂。
『殉教』『車輪』―二枚の絵は、桂の人生を揺さぶったドラマを語るのか…。
劃期的な、余りに劃期的な、図像学ミステリの誘惑。
第九回鮎川哲也賞受賞作。 

***

芸術をテーマにした推理小説っていうのは何でこうも面白いんだろう。。。
漫画〝ギャラリーフェイク〟にはまった人には非常におすすめの〝美術ミステリ〟です。

二枚の絵に込められた〝意味〟を、主人公が図像学(彫刻や絵画に表現された場面が
何を表しているのか、誰が表されているのかを理解するための学問)の観点から解き明かし、
それがある一つの殺人事件の真相を暴き出していくという趣旨のストーリー。
「この絵のこの部分は○○を表しているんだ!」
と主人公が発見するたびに、おおーなるほどお! と読み手も否応なしに驚かされ、
そしてその都度主人公によって展開される美術うんちくが自分の中に速やかに浸透していって、
またそれがやたら心地いい。
私が美術の教師なら間違いなく本書を教科書代わりにするでしょう(内容は殺人事件ですが笑 
でもこれなら生徒もほぼ全員が試験で満点を取るだろうなあ。面白すぎて)。

肝心の殺人事件の真相は絵に隠された謎に比べると若干肩透かし気味(というよりむしろトンデモ)
ですが、それでも最後まで面白く読めます。
これまで読んだ鮎川哲也賞受賞作の中で一番好きかもしれない。

ちなみに作中に登場する絵画は、何と著者本人の筆によるものです。
これだけでも一読(一見?)の価値あり。

蛇足ですが、FFシリーズ好きの人はこれ↓を念頭に置きながら読むと
クライマックスシーンがもっと面白くなるよ。

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FFⅩの召喚獣。それが示すものとは?! 次号に続かない!
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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