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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「僕はいつも君を見てる。逃がさない」



彼が現れるとき、物語は180度表情を変える。
これは、ある秘密を抱えた復讐代行業者の、恐ろしくも切ない軌跡――。

雨の降り続く日、訪ねてきた女に俺は仰天する。
彼女は数時間前、俺に殺され、浴室で冷たくなっているはずだ――。
過去に負い目を抱えた人々に巧みに迫る、正体不明の復讐代行業者。
彼らはある「最終目的」を胸に、思いもよらない方法で標的の一番の弱みを利用し、
恨む人・恨まれる人を予想外の結末に導く。
人間の心を丸裸にする、6つの恐るべき復讐計画とは――。
再読必至の新感覚リベンジ・ミステリ!

***

だいぶ前に単行本で読んで、面白かったので再読してみたら、
文庫版では「復讐の贈与者」という副題が付いているんですね。
微妙にハリウッドのB級映画臭がして、内容はわかりやすいけどないほうが好きかも。

という余談はさておき、恨みを晴らしたい人から依頼を受けて
恨まれている相手を様々な方法で痛い目に遭わせる(時には命も奪う)
という裏社会の会社に所属する主人公の義波、格好いいです。
6章から始まり1章で終わるという時間軸が逆行した表現も、
「ああ、あのときのあの台詞、あの人は〇〇だったのか」と
はっとさせられ、趣向としては面白い(伊坂幸太郎さんも短編でやってますが)。
(まあ、時間軸を逆行させるという手法を使うほどの驚きが
最後に待ち構えているわけではないのですが)
 各話ごとに色々な人間に「復讐」をする義波ですが、
一話ずつ技巧が凝らされていて単なる復讐劇としてマンネリ化することなく
最後まで新鮮に読める。

ただ、サイコパス気質で「感情」というものがわからない冷酷で無機質な
人間、という設定の割に、変なところで(「復讐」のために必要な演技とかではなく)
簡単に動揺したりする描写が義波にあるのはどうかと。
若干キャラがブレてる印象を受けた。
最後にわかる復讐代行業者のボスの「何故この会社を起ち上げたのか」という
言い分も、わかるようなわからないような。
もうこの際義波にもボスにも徹底的に壊れてほしかった(まあそうすると
暗くなり過ぎて誰も読まなくなるかも知れませんが)。

もっと義波の「怖さ」や「狂気」みたいなものが描写されていれば
もっと評価上がるのにな。
文章表現が上手い作家さんですが、そういった点もより達者だったら
かなりのお気に入りになったと思う。今のままでも結構好きなだけに。
私の嫌いなほんわか日常系ミステリばかりの昨今、こういうシリアスな作品は
非常にありがたいので。
 
三部作なので次はシリーズ二作目の「BABEL」を読みます。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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