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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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人生のすべてを祖母と母の介護に捧げてきた勝村瞳子は、四十歳目前にして
未来が見えない。妻の執拗なDVに悩む丹羽顕は、母に認知症の疑いがあることを知り、
愕然となる。心療内科で出会った2人は次第に心を通わせていく。だが。。。
「――妻を、殺してしまいました」「……すぐに行くから、待っていてください」
自首しようとする顕を止め、遺体を隠そうと言い出す瞳子。
果たして殺人の隠蔽は成功するのか?

***

毒舌レビューになります。

新年最初に読んだのが本作なのがとても悲しい。
そもそもデビュー作を読んだ時点で「この作者の本はもう読むのをやめよう」と
思っていたのに、何となくあらすじに惹かれて読んでしまったのが運の尽きだった。
もう面白いとか面白くないとかそういうことじゃなく、これを商業出版するのが
許せないレベル。そこまで思ったのは「ドミノ倒し」「スマホを落としただけなのに」
を読んだとき以来。

まず、主人公の女が心療内科に行く描写からしておかしい。
何で受付に白衣を着た人間がいる? 病院では看護師さんは受付をしないし、
受付には制服を着たその場所専門の人間がいるのに。
この作者病院行ったことないんじゃないか?
たかが病院に行く描写すら満足に出来ないことに、物書きとしてのこの作者への
不信感が芽生えた。
主人公の女と男がまったく何でもないことでお互いに「優しくしてもらった」とか
言ってるのも、「え? これって優しくしてもらったことになるの?」と首を捻り、
そんな基本的な描写さえも出来ないことでその不信感に拍車がかかった。
そして登場人物がどいつもこいつも不快な人間ばかりで、読んでいてイラつく。
特に主人公の男の虚言癖には腹が立つを通り越して脱力してしまった。
どうしてそこまで嘘を吐くのか意味がわからない。不眠じゃなく虚言癖の治療で
心療内科通ったほうがいいんじゃないかと思った。
その男が隠した死体をろくに下調べもせず山に埋めて、その山が土砂崩れにあって
やばい死体が見つかっちゃうとふたたび現場へ行き、埋めた死体があっさりと
見つかるシーンはもう何というか笑ってしまった。こんなご都合主義、漫画でも
そうそうお目にかからない。
だいたい主人公女はどうして自分に理不尽につらく当たる母親の言いなりに
なっているのかも理解出来ない。半身不随になる前は優しかった、とかいうなら
まだわかるけど、何? 毒親ほど子供は洗脳されて執着してしまうとでも?
母親の介護をすることに自分の存在意義を見出しているとでも?
それならそういう心理描写がないとわからない。行間を読めとでもいうんだろうか。
だとしたらあまりに横暴過ぎる。
そして作者が書きたかったテーマが何なのか最後まで読んでもわからない。
身内を介護することの過酷さを書きたいならまるでその描写が足りないし、
ミステリと呼ぶにはミステリに失礼過ぎる代物だし、
主人公二人の絆を書きたいならあまりにも薄っぺらだし。
薄っぺらと言えば、文章が薄っぺら過ぎてあっという間に読んでしまった(読むのに
時間がかかる作品だったらとっくに投げ出してる)。
先が気になるとか文章が(いい意味で)読みやすいとかじゃなく、
ぺらぺらだから簡単にページが捲れてしまう。
そして文体がダサくておばさん臭い。作者の経歴を見たらまだ三十代半ばなのに、
何でこんなに加齢臭がする文章が書けるのかある意味気になる。
あとデビュー作のときにも思ってたのだけど、短い台詞をいちいち改行するのは
本当にやめてほしい。長台詞の語る内容が変わるタイミングで改行する作家さんは
普通にいるけど、この作者の改行はそうする意味がわからない。絵本でも
こんな無駄に改行しないよ。

大好きなメフィスト賞受賞作の中で一番受賞に納得がいかない作家(本当は
「作家」とすら呼びたくない)だけど、それでもデビュー作はまだかろうじて読めた。
でも本作はあり得ない。これを買った人が「金返せ」って言ったら出版社は
返金するべきだと思う。

何も心に残らず、不快感と腹立たしさだけが残った。
この作者の作品は今度こそ一切読みません。
私の中の小説家ブラックリストに載ったので。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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