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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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[How much the hell are you gonna gain,you piggy!]



舞台は教室。イジメられっ子転校生(キモチ悪いほどおどおどしたデブ)を人気者にすべく、
オレはプロデューサーを買って出た!
 「『セカチュウ』で泣いてる場合ではない、『野ブタ。』を読んで笑いなさい」と斉藤美奈子氏絶賛、
第41回文藝賞受賞作!
「大した才能だよ。期待してるぜ、白岩玄。」(高橋源一郎氏) 

***

原作のいじめられっ子はドラマ版みたいなかわいらしい女の子じゃありません。
上記の通り、所謂〝キモデブ〟。
そんな対象を人気者にするにはより一層の手腕が必要とされるわけですが、だからこそその
〝キモデブ君〟が主人公の手によってあの手この手でじわじわと人気者に〝されて〟いく過程が
より痛快に感じられる。

著者が若い(本作執筆時、若干二十歳!)だけあって、文章も非常ーに若者。
全体的なノリもそうだし、主人公・修二の友人らとの受け答えが、もうまんま高校生。
よく年輩の作家がやたら登場人物にカタカナ言葉を連発させることで
(例:〝私はマジで~と思った。〟〝それってヤバイじゃん。超ヤバイ。〟等)
若者っぷりを表現しようとして失敗してますが、本作に至ってはその手の違和感がまったくない。
「ああ確かに最近の若い子はこうだわ」とすらすら読める。
小説(しかも純文学)で作中に〝(笑)〟が出てくるのは初めて見たので斬新でしたが、
たぶん著者狙ってやってるしそれもまた面白い。

ただし心理描写を読む限りでは修二は高校生というには少し精神年齢が高く、
だからこそ周囲より一つ上の視点で物事を捉えることが出来るわけで、
つまりその部分にだけは著者の歳相応の思考が反映されてる。
人間は〝ちょっと過去の自分〟ぐらいが一番振り返りやすいものだと思うので(今の自分は
客観的に見れないし、あまりに遠い過去だと忘れる)、
白岩氏にとっては高校生というのは一番書きやすい年代だったのではないでしょうか。

基本的にはコメディですが、やはりそこは純文学(文藝賞はあの綿矢りささんも受賞された
賞です)、
十代特有の繊細で見栄っ張りで不器用な精神が非常にうまく描写されていて、
笑えるシーンの合間合間に胸を衝く文章がやって来ます。

ラストだけは「修二、もっと違う道があるだろ。。。」と少し不満に感じましたが、
総合的にはすごくおすすめ。
自意識過剰で、些事に戦々恐々として、どんな他愛ないことにも腹を抱えて笑い転げていた
拙い十代のころの自分が思い浮かんで、懐かしいなと微笑むのを通り越して
つい顔が赤らんでしまう。
そんな気分を味わわせてくれる物語です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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