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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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戻れない。



避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で1人ずつ死体となって発見された。
2つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、
まだ映画が……。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。
S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。 

***

メフィスト賞出身者だけあって、単なる本格推理ものとは一線を画した作風が売りの森博嗣氏。
そんな氏のデビュー作〝すべてがFになる〟を第一作とする
〝S&M(空前絶後のお嬢様・西之園萌絵&大学助教授・犀川創平)〟シリーズの
八作目にあたるのがこれ。

それぞれが独立した物語なのでどの巻から読んでも特に支障はない本シリーズではありますが、
この作品だけは最低でも2・3冊S&Mシリーズを読んでから手にとってほしい。
そのほうがラストの驚きも倍増。

ミステリ部分は被害者である双子の姉妹の描写が若干ややこしく把握しづらい部分もあるものの、
最後まで非常に面白く読めます。
というか本作のメインは〝ミステリ〟というより〝ラブストーリー〟で、著者の真の狙いである
〝仕掛け(トリック)〟は殺人事件解決後にやって来るので、むしろそっちを楽しみに
読み進めていくのがいいかも。

情景&心理描写はそこそこに、ただ事件の経過を淡々と書き連ねていく。
理系ミステリ作家に共通する作風ですが、森氏はその中にキャラの人間くささ&文学的表現を
挟み込むがほんとうまいなあ。ラスト一行なんか鳥肌ものです。
そして女のくせにラブストーリーというものにアレルギーがあり、無理して読もうものなら
別の意味で全身に鳥肌が立ってしまう私が(あまりに盛大に立ったので思わず親に
『見て見て鳥肌!』と見せつけてしまったこともある私が笑)、
「いいなあ、恋愛って。。。
とうかつにもときめいてしまった稀有な作品でもあります(恋愛描写が白黒時代の洋画風なので
逆に「クッセー」とか感じなかったのかも。メインキャラの男性が惚れた相手を
セクシィセクシィ連発するのにはちょっと笑いましたが)。ゼクシィ?

ロジカルで、おもしろい。そして、せつない。

mother3.gif






と思わずmother3のコピーをパクってしまいたくなるほど、
ひとつぶでさんどおいしい、非常にお勧めの作品です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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