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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
しかしそれは、わたし自身には触れることも登ることもできないガラスの塔なのだ。



20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。
警察に「殺した」と通報したのは、その通り魔に愛する両親を殺された柏原麻由子。
だが、麻由子は当時現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。
警察の調べに対し、麻由子による通り魔殺害の記憶は定かでない。
はたして復讐は成し遂げられたのか――?

***

ちょっとライトな感はあるけど、いいものを持っているなあと思い、
前から注目している作家さんの作品。

登場人物が少ないので真相はすぐに読めますが、ホワイダニットが
どんどん移り変わっていくのが面白く、あっという間に読めた。

高次機能障害で記憶を長時間保っていられない麻由子と
事件の真相を追う女刑事の視点が交互に入れ替わって話が進みますが、
障害を持つ麻由子と認知症の母親を持つ女刑事の共通項が
徐々に見えてくるなどテーマがはっきりしていてとても読みやすい。
麻由子パートでは、麻由子が仕方ないとはいえ起きたことをぽんぽん
忘れるので文章の繰り返しが多く若干イラつきますが、
そのぶん本人やその介護者の気持ちがわかる。
女刑事の母親の描写も、生々しいほどで認知症の家族を持つ人間の心情が
リアルに伝わってくる。まあ、刑事なんて職に就いてる人が母親をひとりで
介護した経験があるって設定にかなり無理があるとは思うけど。

クライマックスの格闘シーンは90年代のB級サスペンスみたいだし、
作中にクサい台詞が出てきたりもするけど、決して駄作ではありません。
この著者に対していつも思うことだけど、もうひと捻りすれば傑作になるのにと
思うような作品だった。楽しませてはもらったけど。

ラストは切ないです。切ない系が好きな人は是非。
本作はミステリですが、ある意味真実の「恋愛」が描かれています。
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ここにいたって、どこにも行けない。



植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。
二人の間に横たわる〝歪な真実〟とは?
毎日の繰り返しに倦んだ看護士、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、
注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。
交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、
目隠しをされた〝平成〟という時代の闇が露わになる。

今を生きる人すべてが向き合わざるを得ない、自滅と祈りの物語。

***

朝井氏は割と好きな作家さんですが、最近著作を読んでおらず、
けれど題名とあらすじに惹かれて手に取った本作。
読み進めていくにつれて、著者が物語に込めた「テーマ」が見えてくる。
作中に出てくる「帝国のルール」「海山伝説」にあまり魅力を感じなかったので
そこまでのめり込めはしなかったけれど、それなりに面白く読めた。

ただ。。。朝井氏ってこんな文章下手だったっけ?と。
中高生でも読めるシンプルな文章で書かれているにも拘らず、
言葉足らずでちょっと考えないと意味がわからない微妙な文章が頻発。
「これはどういうことだ?」と思った表現の説明が10行後とか、
ひどいときには数ページ後に出てきたりといったことが多く、
読んでいて軽くストレスが溜まった。
あと、登場人物の女の喋り方がほぼバカっぽいのも気になった。
私は仕事の関係上、小学生から大学院生まで若者と呼ばれる世代の
すべてと関わっているけど、こんな「いかにもイマドキの喋り方してますよー」
みたいな子はまずいない。
「~なんですけどマジで」みたいな台詞が連発したときは正直イラっとした。
内容のテーマからいっても、これはいい大人が読むものじゃないよなあと
思ってしまった。明らかに中高生向け。
「ジンパ」って言葉が出てきたときも三秒ぐらい「ジンパって何だ?」と
考えてしまったし、「バズる」も意味がわからなくてググってしまった。
500P近くかけて書くようなことか?というのも感じてしまったし。
ラストで「雄介が親友の見舞いに来てるのは実はこういう理由なんですよ」と
明かされたときも、いやそれもう半分ちょっと読んだあたりから
気付いてました、といった感じで驚きはなかった(本作はミステリじゃないけど)。

やりたいことが見付からなくて、でも自分を「ただの人」にはしたくなくて、
無理やり生きがいを作ってそれにしがみつく。
私は幸か不幸か「これがやりたい」というものを常に持って生きてこられたから
雄介の気持ちはわからないけど、今の若者ってそういう風に悩んでる子が
多いんだろうか。
雄介の「世の中には三種類の人間がいる」という言葉には「その通りだな」と
強く共感したけど。
その言葉以外にも、「ああ自分もこういうときあったな」「こういう考え方したな」と
頷ける部分が作中にいくつか出てきたのは嬉しかった。自分以外の人間も
こういう考え方してるんだなと思って。

ただ、初期の朝井氏はもっと感性が鋭くて胸に直接突き刺さるような表現を
書けていたように思うから、その当時の彼に本作を書いてほしかった気もする。
でも矛盾するようだけど、著者も今年で30代になるのだから、もうちょっと
幼い文章を大人向けにしてもいい気がする。

自分がこれから何を目標にして生きていけばいいかわからないっていう
10代の子にはオススメかな。


その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は
予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に
「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。
外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、
閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。
さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。
ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。

***

「エイリアン」は3で、「ターミネーター」は2で
続編作るのやめときゃよかったのにと今でも思うんですよね。
それでいけば本作は前回のデビュー作でやめときゃよかったのにと
思わずにはいられない。あれだけ綺麗にまとまってたのに、本作が出たことで
台無し。あの一作で完結していたからこそ「いい終わり方だな」と
思えたのに。出版社に「デビュー作があれだけ話題になったのだから、是非
続編を」とでも頼まれたんでしょうか。

そしてデビュー作と比べるとどうしても地味。盛り上がりがなく
淡々と(というかのろのろと)物語が進行していく。
伏線にも不要なものが多いし、若干とっ散らかった印象を受ける。
作者が好きなのか知らないけど文章がラノベっぽいのも薄っぺらく感じて
マイナス。「壁ドンなんたらかんたら」が出てきたときは
言っちゃなんだけど寒気がした。

何より主人公と探偵役に魅力がない。
探偵役の女性は中途半端な萌えキャラという感じで、見た目や仕草も
ラノベ系ミステリにありがちな「考え事をするときに特殊な萌え動作をする
超美少女」という手垢のついた設定。
これなら天祢涼氏の描く探偵「音宮美夜」のほうがまだ魅力的に思える。
そして前作から恒例になっている「登場人物の名前を覚えやすくするための
紹介」がまた出てくるのはまだしも、主人公の名前が一番覚えられないって
いうことが既に彼に魅力がないことを裏付けている。

犯人の動機も、驚きも共感も出来なかった。
無理あるだろ、小学生じゃないんだから、と。
そもそも本当に予言を信じてるなら、「五人目は何があっても絶対に
死なないはず」と考えて謎解きの直後誰か刺してるだろ。
だって四人以上は死なないって予言者が言ってるんだから。

そもそも予言というのは周囲に知られた時点で運命が変わっていくものだと
思うのに、登場人物全員がその点に言及しないのも不自然。
不自然といえば、3分の2ほど読み進めたところで
ちょっと漢字が読めるひとなら「あれ?」となる描写があるのに、
探偵役がその点について突っ込むのが遅過ぎることも気になった。
しかもそのいかにも「伏線ですよ」という描写に大した意味はなかったのも
肩透かしを食った気分になった。

そしてラスト1ページ。
「はいシリーズ三作目も出ますよー」といういかにもな宣伝の一文で
終わりますが、本作は本作でひとつの独立した物語なのだから、
それに合った余韻の残る終わり方にするべきだった。

丁寧にプロットを考える作家さんだとは思いますが、
今後彼の作品を読むことはもうないかな。
期待外れでした。


警察を脅かす難事件――少女探偵は、二転三転する真実を見抜けるか!?

恩人の元警官が毒殺され、第一発見者となった道明寺一路巡査。
仇を討とうとする彼の前に、銀髪の美少女・音宮美夜が現れる。
音や声に色が視える共感覚を持つ彼女は、警察の手には負えない
難事件専門の探偵・ニュクスだった。
事件を追う二人に、犯人を名乗る人物は推理ゲームを挑み、
新たな被害者が生まれてしまう!
二転三転する真実の果て、一路が目にする衝撃の結末とは……!?

***

「キョウカンカク」「闇ツキチルドレン」に続く、
音宮美夜シリーズ第三弾です。
ほぼラノベなので(とはいってもそこまで文章は軽くない)あっという間に読める。

第一作、第二作に比べるとインパクトは薄くなってしまった印象ですが、
ライトミステリとして割と楽しんで読むことが出来た。
「ちょっとその理屈は無理があるだろ」と突っ込むこともしばしばだったし、
展開が読めてしまうところも多々あったりはしましたが。
特に連続殺人の真相はあまり納得いかず。
同著者の「希望が死んだ夜に」を読んだあとだっただけに
トリックやテーマの稚拙さが結構気になった。
あと重箱の隅をつつくようだけど、探偵・美夜が考え事をするときのポーズが
作中に何度も同じ表現で出てきて、「もうちょっと表現変えればいいのに」と
そのワンパターンさにも引っ掛かりを感じた。

ラストを読む限りまだまだ本作はシリーズ物として続いていきそうです。
ミステリ初心者にはおすすめかな。

あと、著者が坂本美雨の「Phantom Girl's First Love」が大好きだということは
よくわかりました。



「Phantom Girl's First Love」
そして、おそらく、それでいい。



美術教師の美穂には、有名人になった教え子がいる。
彼の名は高輪佑。国民的アイドルグループの一員だ。
しかし、美穂が覚えている小学校時代の彼は、おとなしくて地味な生徒だった――
ある特別な思い出を除いて。今日、TV番組の収録で佑が美穂の働く小学校を訪れる。
久しぶりの再会が彼女にもたらすものとは。

★収録作品★

 ナベちゃんのヨメ
 パッとしない子
 ママ・はは
 早穂とゆかり

***

タイトル通り、ふたりの人間がどこか噛み合わない過去の記憶について
会話でやり取りする、ということがテーマになった短編集。
私としては最初の二編がとても面白く読むことが出来た。

「ナベちゃんのヨメ」は、女子たちに仲間としては受け容れられるけれど
異性としては見てもらえないナベちゃんがその仲間たちに婚約者を紹介するという
話。婚約者のウザさ、怖さに読んでいる間はイラつくものの、
ラストはそうか、これでいいんだなと思わされるという、
才能ある作家さんに特有の「読者の価値観を覆す」という手法に見事にやられた。
「受け容れられるということを経験したことがない」人間の切なさを
これでもかと見せつけられる思いがした。

「パッとしない子」は、私自身が「先生」と呼ばれる職業に就いているぶん余計に
主人公に向けてかつての教え子・佑が放つ言葉の一つひとつが
抉るように胸に響いた。教え子に、いやそうじゃなくても誰かに
こんな言葉を言われたら、私だったら高い確率で当分の間寝込む。
そして一生その言われた言葉に呪縛されて二度と心から笑うことは出来ないと思う。
恐ろしい話だった。
やっぱり人間にとって一番怖いのは、肉体的に傷付けられることじゃなく、
言葉という凶器で精神を殺されることなんだなと改めて思った。

あとの二編はまあまあといったところ。
けれど最近「パッとしない」なと思っていた辻村さんの作品を見直す
きっかけになった作品だった。

おすすめです。


14歳の女子中学生が、同級生を殺害した容疑で逮捕された。
少女は犯行を認めたけれど、動機は語らない。果たして真相は…。
メフィスト賞作家が描く、社会派青春ミステリ。

***

この著者のデビュー作「キョウカンカク」は
最初図書館で借りて読み、気に入って手元に置いておきたくなって
購入した過去がありますが、その当時は正直
「面白いけどラノベっぽいな。何だかなあ」と思っていました。
そしてかなり久しぶりに著作を読み。。。

ハマった。

警察の捜査本部の会議である刑事が「携帯の操作をミスったものと思われます」
とか発言したり(「ミスった」とか普通言わないので)、
比喩表現がやや陳腐だったり、同じ表現が何度も繰り返し出てきたりと
文章の稚拙さは少しだけ気になったものの、それを補って余りある筆力で
一気に読ませる。先が気になって徹夜で読んでしまいました。
デビュー作はワントリックで引っ張る感じだったけど、本作はミステリとしての
構成がしっかりしていて著者の安定した実力を感じさせる。
また、著者がこの物語を通して訴えたいことがしっかりと伝わってくるので、
単なる娯楽作品以上のものに仕上がっている。
トリックはちょっと手垢が付いたものも出てくるけれど、ラストである人物が
激高して放った台詞には、まるで自分が言われたかのようなショックを受けた。
それだけ物語世界に入り込んでいたんでしょう。
括りとしては「社会派ミステリ」に入るのかも知れないけれど、そのへんの
著者の主張が激しくて物語の進行を邪魔するようなものではなく、
エンタメとして非常に面白く書かれているので、テーマがすんなり心に入ってくる。
「深みのあるミステリ」としてとても楽しませてもらった。

ちなみに本作、某ミステリマニアさんがツイッターでオススメしていたので
興味がわいて読んでみたのですが、そのマニアさんに感謝したい。
非常にお勧めです。
絶望を描いた物語ではあるけれど、決してそれだけではないので。


婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。
その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。
2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な"恋愛"小説。

***

ネタバレ書評です。

婚活で出会った男女の話だけど、要するに
「運よく好みの男と出会えて幸せな結婚が出来ました」
というだけの物語。

二部構成になっている本作。
一部は失踪した婚約者を探す主人公・架が色々なひとと会話するだけで
数百ページ費やします。
会話だけで物語を進めていく、登場人物の心理描写をするというのは
この著者の十八番なのですが、さすがに食傷気味に。
こっちがはっとするような言葉の表現やひとの心を描くのはうまいっちゃあ
うまいし、会話なしで地の文だけで物語を書かせるとつまらない作家さんなので
これもひとつのスタイルだと受け入れるべきなのですが、
デビュー当時からほぼこのスタンスだと「少しは変わればいいのに」と
思ってしまう。

二部の真実視点での物語も、上述のとおり地の文での展開が主なので
読んでて退屈だった。「青空と逃げる」のキャラが出てきたけど、あれは私は
つまらなくて途中で投げ出したので「ああ、そういえばこんなひとたち出てきたな」
としか思わず。
真実の「キスしたくないひととは結婚出来ない」という言葉に、
ある昔のギャグ漫画の「人間性とはセックス出来ないわ」を思い出した。
確かに、人間性がたとえ素晴らしかろうと「オス」として見れなかったら
恋愛・結婚は無理だよなあとそこは納得した。
でも、そういう「生理的に受け付けなかったら無理」という当たり前のことを
著者が「傲慢」と書いてしまうのはどうなんだろうなあと。

タイトルにもなっている「傲慢」と「善良」という言葉が
作中随所に出てきますが、そこは敢えてその単語を使わず、読者に
「ああ、これが人間の傲慢・善良なところなんだろうな」と考えさせる形をとっても
よかったんじゃないかと思う。読者の想像力を奪ってしまうし、何よりちょっと
単純過ぎる気がしたので。

不思議に思った点が三つ。
悪意の塊みたいな女友達たちと、何故架は親しいのか。
そして一部では人間に対する鋭い洞察力を見せた架を、ラストで真実が
鈍感扱いしているのは何故か。
架は一体どういう心境の変化をたどって、嘘吐いて失踪までした真実のことを
改めて本気で好きになったのか。
納得いく描写がなく、正直詰めが甘いと思った。

ラストは二部である場所が出てきた時点で読めるし、
何だか三流少女漫画みたいで興醒め。
この著者はもっと書けるひとだと思っていたけれど、やっぱり初期ほどのものは
もう書けないんだなとがっかりした。
親子の確執とか田舎コンプレックスをテーマにするのもいい加減もういいよと
思ったし。辻村さんが過去にそういうことがあったんだろうか。

今の時代、出会いが少なくて婚活してる社会人は多いと思うけど、
そういうひとたちからやる気を奪いかねない話だなと思ってしまった。

あまりおすすめしません。


麻美の彼氏の富田がスマホを落としたことが、すべての始まりだった。
拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。
麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。
セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して
麻美を陥れる狂気へと変わっていく。
いっぽう、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され……。

***

毒舌レビューになります。

近年稀にみるクソ小説だった。
図書館で借りて読んだけど、買わなくて本当によかった。
文章のあまりの下手さに山田悠介を久々に思い出した。
誰目線なのかわからない視点の混乱。プロと名乗るべきじゃない文法ミスの連発。
何のために書いたのかわからない無駄な伏線。かみ合わない登場人物の会話。

そもそも、どうして主人公が彼氏のスマホを探しているのか。
落とした彼氏本人が探せばいいじゃん。
それと、スマホを受け取りに行ったときに待ち合わせ先の店のひとから
「赤い服を着たあなたにスマホを渡せと言われました」って言われてるのに、
「何で私が赤い服を着てるって知ってるの?」と思いもしないところが変。
いや、そんなのほんの序の口で、とにかく「何でそこでそういう行動に出る?」
「どうしてそんな考え方をする?」とおかしな点が盛りだくさん。
ラストで明かされる過去を抱えていながら、彼氏をやたらと計算高い目で
見てるのも意味不明だし、見下してた彼氏を終盤では「愛してる」とか言い出すのも
主人公のキャラに一貫性がなくてイラつく。最後も無駄に美談にまとめ過ぎだし。
刑事コンビはそれなりに活躍するのかと思いきやただ状況を説明するだけの役。
というか刑事パートは前半「蛭蛭蛭蛭」うるさくて何かの伏線なのかと思いきや
全然どうでもいいし。山田悠介「リアル鬼ごっこ」の「豪華豪華豪華」描写を
思い出した。
あと言葉のチョイスが古すぎ。今どきの若い女が「ソバージュ」なんかかけるか。
(母に言ったら「お母さんでももうソバージュとは言わないわ」と言っていた)
スマホが浸透してる時代なのに未だにFacebookの使い方を知らない主人公も
意味がわからない。ていうかもうFacebook自体古いのに題材にされても。
クライマックスの、同じシーンを主人公視点と犯人視点から書いた描写も、
「同じ台詞二回読まなきゃいけないのかよ」とうんざりした。ああいう表現を
したいならもっと文章に工夫を凝らさなきゃ駄目だろ。ネットのレビューを見たら
その「場面の重複」を「編集ミス」だと思ってる読者もいたぞ。
レビューといえば本作のことを「作家を目指すひとにとってのお手本のような作品」
と書いているひとがいてげんなりした。何なの今の読書家ってそこまで堕ちてんの?
Amazonのレビューが高評価なのがまったくもって信じられないんだけど、
この愚作を面白いと思うひとがあんなに存在するの?
いやそもそも眼が肥えたひとならこんな本最初から手に取らないか。

百歩譲って作者がまだ若いなら今後の伸びしろに期待出来るんだけど、
作者56歳って。。。56歳でこんな文章しか書けないなんて、
今まで一体何してたの?と思わざるを得ない。

こんなゴミが新人賞の最終選考候補に残るなんて、もう日本の文壇終わりかもなあ。。。
ここ数年読んだ中で最もおすすめしません。
おかしな表現はどこか探して推敲する間違い探しドリルとしては役に立つかもね。


裏稼業として人の記憶を取引する「店」で働く銀行員の良平と漫画家志望の健太。
神出鬼没のシンガーソングライター・星名の素性を追うことになった悪友二人組は、
彼女の過去を暴く過程で医者一家焼死事件との関わりと、星名のために命を絶った
ある男の存在を知る。調査を進めるごとに浮かび上がる幾多の謎。
代表曲「スターダスト・ナイト」の歌詞に秘められた願い、
「店」で記憶移植が禁じられた理由、そして脅迫者の影…。
謎が謎を呼び、それぞれの想いと記憶が交錯し絡み合うなか辿り着いた、
美しくも残酷な真実とは?
大胆な発想と圧倒的な完成度が選考会で話題を呼んだ、
第5回「新潮ミステリー大賞」受賞作!

***

新潮ミステリー大賞受賞作は、伊坂幸太郎氏、道尾秀介氏、貴志祐介氏という
大好きな作家さんたちが選考委員を務めているということもあって
全作読んできましたが、すべての作品に期待を裏切られてきたというのが本音。
「サナキの森」はラノベに毛が生えたような婦女子系本格もどき。
「レプリカたちの夜」は文章力と独特の世界観はすごいけれど
まったくミステリではなく単純に面白くないシュールSF。
「夏をなくした少年たち」は登場人物たちの心理描写は卓越しているけれど
ミステリとしてははっきり言ってゴミ。

というわけで本作もさして期待せずに手に取ったのですが。。。

面白かった。
文章が読みやすいのでサクサク読める。
登場人物は皆どこかで見たようなキャラばかりで個性がないけれど
彼らの会話に時折センスが感じられる。
何よりもちゃんとミステリしていて、新潮「ミステリー」大賞受賞作として
納得のいく内容だった。

伏線は一見何気なく張られているけれどそれが後にどう物語に繋がっていくかは
読めてしまうし、「実は〇〇でした」という展開になったときも
正直「うん、知ってた」と思えてしまうところが多かったし、
本作最大の謎も見当がついてしまったのでミステリとしての「そうだったのか!!」
という驚きはなかったけれど、それでも著者の緻密に物語を組み立てる構成力は
素直にすごいと思ったし最後まで楽しく読むことが出来た。
歴代受賞作の中で一番面白く、受賞したことに納得がいく作品だった。

長い黒髪に麦わら帽子に白いワンピースの少女、というのが出てきたときは
テンプレ過ぎるだろとちょっと鼻白んだけど。
あとこの著者、昔の漫画「マインドアサシン」読んだことありそう、と思った。

記憶を扱ったミステリだと、本作が肌に合うひとは織守きょうやさんの
「記憶屋」も楽しめると思います。


常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、
彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。

***

図書館で予約していたものの、待ちきれず買ってしまった本作。
買った三日後に図書館から「来ましたよ」と連絡が来るという間の悪さながらも、
伊坂氏の本だから手元に置いておきたいしな、と思って買ったものを読んだら、
後悔した。

「ラッシュライフ」に見られた伏線の妙もなく、
「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」のような切なさも
帯に書かれていた「切ない」の表記にも拘わらず見受けられず、
作中のエピソードがただただ退屈で読むのに時間がかかり、読了後の感想は
「。。。何だこれ」。

主人公の双子が幼少時父親から虐待を受けていたという設定も、
描写不足でそこまで痛ましくは思えず共感出来なくて、
序盤の「ウサギのぬいぐるみ」の伏線も何だかわざとらしく感じて
それが回収されるときには「何で犯人こんなもの取っておいてるの?」と。
双子の片割れ・風我が、実の叔父から水攻めという虐待に遭っている恋人を
水族館デートに連れていこうとしてるのも違和感がありまくりだったし。
ていうか双子の父親は結局どうなったんだ?という尻切れトンボ感も拭えず。

ラストの優我目線での語りはちょっとうまいなと思ったけど、
伊坂氏の本領はこんなものではないはずなのに、と残念に思った。
あとほかの伊坂ファンがどう思ってるかは知らないけど、もうほんといい加減
ダジャレを作中に散りばめるのはやめてほしい。
 
ヤフオクで売ります。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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