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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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もう一度よみがえらせる。



第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。
多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となる
スピンアウトストーリーを収録。

★収録作品★

 光る石 
 星良一の優雅な日常 
 思い出の銀幕 
 岡夫人は観察する 
 由良公は運が悪い 
 逃げる男 
 なごりの月

***

言葉では知っていても〝萌え〟という感覚がいまいち掴めなかった私が
初めて「これがそうか。。。!」と知ったのは本作に登場する行天の存在のお陰(?)。
こういう奇人大好きです。身近にいたらまず間違いなくホレる。
私もいい歳こいてもこういう挙動がデフォルトの人間になりたい。

本作は〝まほろ駅前多田便利軒〟の番外編なので、
そちらを読んでからのほうが圧倒的に面白いです。
ただ、最終話だけは圧倒的に切ないですが。。。

でも基本的には爆笑できるシーンの連続。
曾根田のばあちゃんの「したんだよ」と
行天のカラオケにはかなり笑わせてもらった。

第一作ともどもおすすめです。
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お前も踊れ。

 

厳しいルールと鉄条網で世間から隔離された施設で暮らしていた少年は、
父危篤の情報を得て脱走、拮抗する悪の組織と対決することに――。
人間存在の根源を問う、著者渾身の壮大なるロードノベルファンタジー!

***

シリアスなロードノベルがいつの間にかハリーポッターも顔負けのファンタジーに。
一体何だったんだこの小説は。
かめはめ波みたいの中盤で出てきたりするし。
言いたいことはわかるけど全体的に内容がペラい。
少なくともいい大人の読むものじゃない。
あと主人公の飼ってるセキセイインコが賢すぎ。賢すぎてあれじゃ漫画。ギャグ。
ギャグといえば〝伝説のセキセイインコ〟とか〝闇を倒す四戦士〟とか出てきたりするし、
もう世界観が何がなにやら。

この作家さんには期待していただけに上下巻もの長編を読まされて
非常に落胆が大きかった。

おすすめしません。
少しは逸脱したらどうなんだ?



お祭り騒ぎは、もうお終い。
今回は愛をめぐる3つの物語だ。
暗澹(あんたん)たる日々に埋もれた無様な青年。
悪意から逃れられない少女を護り続ける少年。
密室情況の屋敷の中で繰り広げられる、贖罪を含んだ惨殺劇。
それは歪んでいて、壊れていて、間違っている。
でも確かに愛の物語なのだ。
俺は行動を開始した。
その目的は、水没した全てのものを引き戻すため。
そして、その果てに浮かび上がる真相。
そこにはもう、馬鹿げた世界は存在しない。

“記憶”と“密室”と“悪意”の三重奏(トリオ)。
主題(テーマ)は“純愛”。
戦慄の鏡家サーガ!

***

若干くどい文章がダルく、
中二病的文章に軽く引き(でも著者が執筆当時二十歳かそこらだからまあしょうがないか)、
このトリックはいくら何でもなかろうと思いつつも
結構楽しく読めてしまった鏡家シリーズ。

せめて広明くんが〝秋吉くん〟ならまだ、ねー。。。
(詳しくはネタバレになるので言及しませんが)

著者近影もキマってます。



おまけ:中村一義。
信じたかった。



携帯関連会社ディーウィとベビー用品メーカーのベイビーハンド。
業務提携によって結成された共同開発チームは、いきなりヒット商品を生み出した。しかし、
祝勝会の翌日、チームリーダーだった粕谷が、社内で不審死を遂げる。死因はニコチン中毒。
殺人なのか? 犯人は? 
疑心暗鬼のなか、共同開発チームに所属する水野勝は、同僚で、恋人でもある北見早智恵が
犯人である決定的証拠を掴んでしまう…。
保身と欺瞞と欲望と。つきつけられるエゴイズムとサスペンスが目をそらすことを許さない、
迫真の傑作。

***

石持氏の著作に毎回といっていいほど出てくる
〝やたら周囲に天才と持ち上げられるけど「そうかあ?」としか思えないキャラ〟が
出てこなかったので今回は読みやすかった。

推理の展開があさっての方向にいってしまっているのに
周りの誰も「それは違わないか?」と突っ込まずそのまま突き進んでしまったり
主人公勢が飲んでばかりという相変わらずの欠点はやはり見受けられましたが。

主人公が犯人を早智恵と断定するための証拠も弱いので
「本当に彼女が犯人か?」という疑念が土壇場まで捨てられないし、
途中からオチが読めてしまうのでラストを読んでも「へっやっぱりな」としか思えなかったり、
そういう瑕疵も見られましたが。。。

まあでも面白かったんじゃないかと思う。
秀作・傑作の域まではいかなくても、石持氏の本は情景描写がほとんどなくて
終始会話に費やされているのでさくさく読めるし。

まあおすすめ。
暴力を乗せて走っている。



品番YDP2020商品名アレグリア。どうしてこんなに使えない機械を入れたんだ? 
1台のコピー機が社内の人間関係をあぶりだす。そして事態は思いもかけない方向に発展し…。
表題作に加え「地下鉄の叙事詩」も収録。

***

津村さんにしてはふるわないなー、というのが感想。
表題作も併録作も。
物語に光るものが感じられないということ以前に、
どちらの話も主人公が常にイライラしていてそれが読んでいるこっちにまで伝染するかのようで
読んでいて気持ちよくない。
これでラストにそれを覆すカタルシスでもあればよかったんだけど。

あまりおすすめしません。
アレグリアの無能っぷりがうちのプリンタとまったく同じでその点は共感できましたが。
長い年月憧れ続けた運命の中にいる。



幼な児の名はミハル。廃棄された冷蔵庫から生れた物言わぬ美貌の子。
ミハルが寺に引き取られてから集落はじわじわと変わってゆく。
そして猫の死。そして母の死。
アミダサマ!ミハルは無心で阿弥陀仏に何かを念じているようだった。
冥界へ旅立つ者たちをその手で引き止めるために。
痛切なその叫びは冷蔵庫の扉を開けた男にもしっかりと届いていた…。

***

物語の方向性が最後まで見えなかった。
ホラーならまったく怖くないし、
純文学なら内容が稚拙だし、
エンタメなら普通に面白くないし、
いったい本作はどこへ行きたかったんだろう。

ラストの陳腐さは逆の意味で驚愕のラストと言えた。

蛇足ですが大阪出身の母は爪を切ることを〝爪を摘む〟と
けったいな表現をするのですが、母と同い年の本作著者も同じ表現を使っていて笑った。
(自分と同世代の大阪出身者に訊いても「えーそんなん言わへんよ」と言われるので)

どちらかと言うと大人向けの小説(別にアダルトな意味じゃなく。それもあるけど)。
誰もがどこかで。



ひきこもりの青年の「悪魔祓い」を依頼された男と、
一瞬にして300億円を損失した株誤発注事故の原因を調査する男。
そして、斉天大聖・孫悟空――。
物語は、彼らがつくる。伊坂幸太郎最新長編小説。

***

くどい。
ワンパターン。
つまらない。
そろそろかつては敬愛の対象だったこの作者を、私は見限ってしまうかもしれない。

スタンスでいうなら、最近の伊坂氏の著作は〝ワンピース〟を描いてる尾田栄一郎氏に
似てるんだよな。
自分では面白いと思って描いてるんだろうけど読み手にとっては面白くない。著者一人で
盛り上がってる。
面白いものとそうじゃないものの取捨選択をせず描きたいものをどんどん詰め込んじゃうから
まとまりがなくて読んでいて疲れる。
有名なものの引用が多くなったのも、せっかくの氏の想像力が活かされていなくて
読んでいて悲しい。
(個人的に尾田氏より読んでいてイタかったのは、一般常識をさも特別な知識かのように
披露する点が多々あったところ。プラシーボぐらい誰だって知ってるよ)

〝アヒルと鴨のコインロッカー〟〝チルドレン〟〝死神の精度〟のころの輝きよもう一度。
時間が、行ってしまう。



「ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。」
最後になった電話でそう言っていた千鶴。
彼女のことを繰り返し思い起こす奇妙な夜を描く「ハードボイルド」。

死を待つ姉の存在が、ひとりひとりの心情を色鮮やかに変えていく季節を行く「ハードラック」。

闇の中を過す人々の心が光り輝き始める時を描く、二つの癒しの物語。

***

吉本ばななさんは自分の文体を持っている人であり、だからこそ
その個性が彼女の作品を読むたびごとに自分の中で際立ってしまって
鼻についてくるのですが(要するにマンネリ気味になる)、
そういうところに眼をつぶればやはり好きな作家なのです。

内心はどうか知らないけれどばななさんが世界や人というものを基本的に肯定して
生きていて、やたらと前向きなのには自分との噛み合わなさを感じるけれど。
(彼女の描く「世界はいいぞー! 人間最高だー!」のオーラ溢れる世界観は
読んでいてイラついたり落ち込んだりすることもなきにしもあらずなので。。。)

一度彼女が書いた負の世界を見てみたい。
忘れるなんて、ありえるのか?



本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに
誰よりも遠くへと行ってしまうから――。
最初で最後の運命の恋、
片思いの残酷な結末、
薄れてゆく愛しい人の記憶。
愛する者を失い、孤独に沈む者たちが語る切なくも希望に満ちたストーリーたち。
真摯な対話を通して見出されてゆく真実の言葉の数々を描いた傑作中編集。

★収録作品★

 恋愛小説 
 永遠の円環
 花

***

恋愛モノを読むと蕁麻疹が出る私でもしみじみ読むことが出来た短編集。
特に〝永遠の円環〟を初めて読んだときは全身に鳥肌がたったものです。
〝花〟はそうでもないけど〝恋愛小説〟もとてもいい出来。
おすすめ。

一人と一人がする対話の中だけにもここまでのドラマがあるのだなあ、と
人間というものの深さ、複雑さについて感銘を受けた一作でもあります。
「愛あるかぎり戦いましょう。命、燃え尽きるまで」



首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。
京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、
惨劇はすでに始まっていた。
2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。
島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

***

久々の再読。
やっぱりぶっ飛んでて面白かった。
大仰な比喩に台詞回し、いくらミステリでもあり得ない展開の連続。
薦める相手によっては怒られそうな本作ですが、私は好きです。
探偵がただの探偵で終わらないところ、
ワトソン役がただのワトソン役で終わらないところが実にいい。
推理もただの推理じゃないし(トビまくってる、というか)。

個人的にはおすすめ。
あとの責任は持ちませんので悪しからず。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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