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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あんたたちにそれがわかるかい?



ぼく片桐稔は、ある日、姉の家で何者かに頭を殴られ、一ヶ月間意識不明に陥る。
目覚めたぼくは、姉があの日殺されたと知らされ、そして、鼻から「匂い」を失ったかわりに、
とてつもない嗅覚を宿すことになった。
姉を殺したヤツは同じ手口で次々と人妻を手にかけていき、ぼくは――。
斬新な発想で独自の世界を築き続けてきた著者が、満を持して放つ、新たな衝撃作。
類書なき、嗅覚サスペンス。

***

ひと言で言えば主人公が行方不明になった友人を嗅覚を使って探し出す物語なのですが、
全然作中に登場しないまま忽然と姿を消した〝友人〟をいくら主人公が必死に探しても
読んでいるほうはどうにも感情移入することが出来ず。
犯人を推理するような話でもないので「どいつが犯人だ!?」とハラハラすることもないし。
主人公が恋人に抱く感情も、嗅覚がベースになっているせいか妙に変態っぽいし。
あとは(個人的なことですが)「キュッキュッと笑う」という表現が生理的に受け付けなかった。
(おばけのQちゃんだってそんな風に笑わねえよ)

でも550Pという長さを感じさせない、一気に読ませる物語ではあったと思う。
ラストは、中盤で主人公の眼に異変が置き始めたことも絡めてアンハッピーエンドで締めれば
より印象深い物語になった気がするけどなー。

ちなみにタイトルは〝嗅覚記〟とでも訳せばいいかな?

なかなか楽しめた一作でした。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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