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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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まだ、私の居場所はありますか?



ねえ、七虹。私は親友だけど、やっぱりあんたが何を考えていたのか
最後まで分からなかったよ。
悪魔みたいに綺麗で、誰もがうらやむほどの才能に恵まれていて、それなのに、
いつだって寂しそうに笑っていたよね。
でも、私はそんな不器用なあんたが大好きだった。
だから、教えて欲しい。あんたはずっと、誰を愛していたのかな?――
永遠を願い続けた舞原七虹の人生を辿る、あまりにも儚く、忘れがたいほどに愛しい、
「虹」の青春恋愛ミステリー。

***

後発の〝ノーブルチルドレン〟シリーズを先に読んでいたので、
それに登場する七虹(なな)がこんな人生を歩んでいたなんて、とびっくり。
ノーブル~では高校生の彼女の、30代までの出来事が描かれています。

花鳥風月シリーズの中では〝初恋彗星〟が飛びぬけてよすぎたせいで
そこまで感動はしなかったかな。
七虹のその後を知れたのがよかった、程度で。
七虹と彼女の好きな相手との絆をもうちょっと掘り下げて書いてほしかったかも。
不知火さんのキャラはすごくよかった。
実際知り合いになったらウザそうだけど友達になりたいと思った。
不知火さんと出会えただけでも本作を読む価値はあったかな。

まあおすすめ。

未来から過去にどんどん話が遡っていくという構成には
それにしても唸らされたな。
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ああ、神様、早くまた来て。



50年間におよぶ長い時間に一組の男女の間を行き来したラヴ・レターズ。

***

俳優をしている友人から
「小説だけじゃなくて戯曲も面白いから読んでみろ」
と貸してもらった作品。
役者でもないのに戯曲なんて理解出来るのかと不安だったのですが、
大好きな本谷有希子さんの戯曲を過去に数点読んでいたこと、そして
「ひと組の男女の往復書簡だから難しいことはない」
と言われて読んでみることにしたのですが。。。

よかった!
互いに違う人生を歩んでいくことになり、ほかの誰かを愛しても、
決して途切れることのない、アンディーとメリッサの手紙のやり取り。
恋愛や友情といったものを超越した揺るぎない〝絆〟を、
彼らからは感じ取ることが出来た。
こういう関係でいられる相手といつかめぐり会いたいものだと思った。

どういう風にこの物語が終わるのかまったく予想がつかなかったのですが、
最後の手紙でアンディーがメリッサに送ったのは
本当の意味での、たぶん世界一といっても過言ではないぐらいの
愛の言葉、本物の『ラブ・レター』で、
それに対するメリッサの、たったひと言なのに言いたいことのすべてが凝縮された
返信に背筋をぞっと感動が駆け抜けた。
もしこんな手紙をもらったらわたしは後生大事にその言葉を胸に抱えて
生きていけるだろうと思う。

『戯曲の入門編』と貸してくれた友人は言っていたので、
もうちょっとレベルの高いものでも今度頼んで借りてみようと思う。

おすすめです。

ちなみに本作が面白かったひとは、
乙一氏の〝さみしさの周波数〟収録の
〝未来予報〟にもハマることうけあいなので是非一読を。
世界の果てのその場所で。



暴力、ドラッグ、幼女売春…。
ジャズバーのバーテンの顔をもちながら、闇の世界に生きる真彦。
彼を次々と襲う危機また危機。果たして夏彦は、暴力と欲望の地獄から
幼女アリスを連れて逃げ出すことができるのか?
骨太なストーリー展開と押し寄せる感動の波が見事に共振する、
第六回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

***

ひとりの少女を助けるために前科持ちの男が悪い組織とドンパチ、
というストーリーラインは二時間ドラマを彷彿とさせますが、
そして先の展開もうすうす読めますが、
それでもしっかりとした構成と文章力で読み応えのある作品になっていた。

いたいけな少女を守るおっさん(って歳でも主人公はないけど)、
というシチュエーションに萌えるひとにはたまらない内容なのではと。
映画〝レオン〟みたいに(まあ、〝レオン〟のほうが断然いいですが)。

それにしても同氏の著作〝マリアの月〟を読んでいても思ったけど、
三上氏は本当に魅力的な敵役の変態を書くのがうまい。
今回も、ラスボスの人格的なイキっぷりを十分堪能させていただきました。
しかも彼の終盤の弁舌にも「ああ、確かにそういうこと思うことあるよなあ」と
共感までしてしまったり。。。あぶないあぶない。
この著者の作品は何故だか悪役に感情移入してしまいそうになるものが多い。

〝マリアの月〟ほどじゃないけど楽しめました。
まあまあおすすめ。
それだけで世界は優しくなる。



ある夜、逢坂柚希は幼馴染の紗雪と共に、重大な罪を犯そうとしていた
舞原星乃叶を助ける。彼女は紗雪の家で居候を始め、やがて、
導かれるように柚希に惹かれていった。
それから一年。星乃叶が引っ越すことになり、次の彗星を一緒に見ようと、
固い約束を三人は交わす。しかし、星乃叶と紗雪には、
決して柚希に明かすことが出来ない哀しい秘密があって…。
精緻な構成で描かれた、狂おしいまでのすれ違いが引き起こす、
『星』の青春恋愛ミステリー。

***

ラノベだし、ありがちな恋愛小説なんだろうなー。

。。。と思っていた本作を読む前の私を殴り飛ばしてやりたい。
こんな恋愛の形もあるんだ、
こんな友情の形もあるんだ、
と眼からぼろぼろうろこが落ちた物語だった。
率直に言って感動した。

ちょっと昔にやってたドラマ〝ラストフレンズ〟に似てる気もするけど、
それよりずっと奥が深くて、登場人物たちの絆が強くて、
最後の数ページを読み終えたときには
もしこれがコンサートか何かで自分が劇場で観覧しているのならば
惜しみないスタンディングオベーションを捧げたい気持ちになった。

いやいや、月並みな言い方をすれば
人生どこでどう転ぶかわからないから
自分の中の大切な気持ちに早々に見切りをつけてはいかんということですな。
形を変えて、姿を変えて、いつか叶う願いというのがある。

おすすめです。
今までの綾崎隼作品の中で一番よかったと思える。
綾崎さん、素敵な物語をありがとう。
いつか将来自分が子供を産んだら、
ここまで一途な思いを貫ける人間に出来れば育て上げたいと思う。
恋をして、生きていた。



偶然の「雨宿り」から始まる、切ないラヴ・ストーリー。
ある夜、舞原零央はアパートの前で倒れていた女、譲原紗矢を助ける。
帰る場所がないと語る彼女は居候を始め、次第に猜疑心に満ちた
零央の心を解いていった。やがて零央が紗矢に惹かれ始めた頃、
彼女は黙していた秘密を語り始める。その内容に驚く零央だったが、しかし、
彼にも重大な秘密があって…。
巧妙に張り巡らされた伏線が、いくつも折り重なったエピソードで紐解かれる、
新感覚の青春群像ストーリー。
第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞受賞作。

***

これまでラノベは西尾維新氏ぐらいしか読まなかったのですが、
最近ハマっている綾崎隼氏のデビュー作。

は~、こういう恋もあるんだなあと、
読後切ないような温かいような気持ちにさせられた。
過ぎた過去の恋を大切に抱えながらも、今手にした恋を大事に思う。
憧れと現実は違うけど、必ずしも現実が憧れに劣るとは限らない。
遠くにいる誰かを思うことよりも、今そばにいる相手を、
そばにいるぶん欠点がより見えたとしても一緒に生きていくことを決意する、
そんな恋の形もある。
そういうことを学ばされました。

ラノベといっても文体はしっかりしているし、
一見何の不自由もなく生きている人間たちにも皆それぞれ抱えているものがある、
そんな当たり前のことを改めて教えてくれる、そんな物語でした。

好きな相手を自分の中で勝手に理想化して恋をする、
そんな年代を過ぎた私には、
相手の弱さや欠点を受け入れた上で愛するというヒロインの恋の形が沁みた。

おすすめです。
このここにこそすべてがある。



出版社に勤務する29歳の「僕」は3人の女性と同時に関係を持ちながら、
その誰とも深い繋がりを結ぼうとしない。一方で、自宅には鍵をかけず、
行き場のない若者2人を自由に出入りさせていた。
常に、生まれてこなければよかった、という絶望感を抱く「僕」は、
驚異的な記憶力を持つ。その理由は、彼の特異な過去にあった。
―生と死の分かちがたい関係を突き詰める傑作。

***

主人公の性格がとにかくいやで読み進めるのが苦痛だった。
常に何かの文献からの受け売りを口にして悦に入っているわ
自己中でワガママだわ。
純文学の主人公は気難しいキャラクターが多いけど
彼らがそれぞれに抱えているものが見えるから人間的な瑕疵も許せるし
共感出来るのだけど、本作の主人公には反発と嫌悪しか覚えなかった。
彼が長ったらしい弁舌をぶつたびに
「うるさい。死んでしまえ」とすら(笑)思った。

登場人物たちが話す言葉の内容もベタだし。
とにかく私の好みではなかったな。
〝僕のなかの壊れていない部分〟というタイトルに惹かれて
手に取ったけれど、どこが壊れていない部分なのか
最後までわからなかったし。
ひょっとして幼い拓也への思いのことか?
あまりに漠然としすぎてわからない。

おすすめしません。
それにしても純文学の主人公が、
屈折しまくって孤独を感じている割に
やたらと異性にモテるのはいったいどういう了見なんだろうか。
人数分の物語を乗せて、
電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。



隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。
片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。
乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。
恋の始まり、別れの兆し、途中下車――
人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。
ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

***

映画を先に観たのだけど、正直映画のほうがよかったかも。
脚本・演出・キャスティングが見事にハマっていたので。

でも本作もなかなかの名著です。
有川流のサバサバした文章で、軽くないのに一気に読ませる。
この著者の恋愛描写は健全でリアル過ぎてたまに顔が赤くなってしまうのですが、
(微笑ましさが過ぎて数十年前の少女漫画を読んでいるような気にさせられる。。。)
ちょっとそこがいい歳した自分には合わないなーと感じてしまうところもあるのですが、
それでも楽しく読ませてもらった。

電車の中で見知らぬ他人とちょっとした会話を交わして
何だか温かい気持ちになった経験は誰しもあると思いますが、
本作はそういう、小さな出会いと清々しい別れを思い出させてくれる。

ちなみに自分が経験した電車内のエピソードで私が一番印象に残っているのは、
酔ったおじさんがひとりのおばさんに眼をつけて
めっちゃ気さくに話しかけ続けていて、おばさんもひとがいいのか
嫌な顔ひとつせずにはいはいとおじさんの話に耳を傾けてあげていて、
おじさんが降りるときに「どうもありがとね~っ!」と軽快に去っていって
そのあとその車両にいたほぼ全員が「おつかれさま」とでもいった苦笑を
おばさんに向けていたことかな。
あのときは車内が一体になった笑

電車に乗るのはあまり好きじゃないですが
たまにそういう〝物語〟があるからまた乗ってみようかな、と思える。
本作は電車嫌いのひとに「電車も捨てたもんじゃないよ」と
ささやかな希望を教えてくれる物語です。
死にたくなかった。
生きたかった。




陰惨な歴史が残る四国山中の集落・尾峨に赴任した中学教師・金沢には、
競技中の事故で陸上を諦めた疵があった。
彼の教え子になった金髪の転校生・杏奈には、田舎を嫌う根深い鬱屈が。
一方、疎外感に苛まれるIターン就農者・松岡は、そんな杏奈を苦々しく見ていた。
一見、無関係な三人。だが、彼らが平家の落人伝説も残る不入森で交錯した時、
地の底で何かが蠢き始める…。
ホラーの俊英が、ミステリ要素満載で贈るダーク・ファンタジー。

***

とにかく謎やエピソードの出し方が上手ではない作家さんだなあと。
ただ調べたことを箇条書きにしているだけ、
物語を面白味も抑揚も何もなくただだらだらと書き連ねているだけで、
「見せ方」に魅力がない。
何度途中で投げ出そうと思ったかわからないほどつまらなかった。
文章はめちゃくちゃうまいだけにもったいない作家さんだなあと
偉そうながらも思ってしまった。

平家伝説が序盤でやたらほのめかされる割には
大してそれに絡むまでもなくあっという間にはい終わり、だし
ホラー小説の割には出てくる怪物が全然怖くないし
オチは死ぬほどありきたりだし。
出てくる登場人物たちも魅力がなくて誰が誰だか覚えにくい。

〝入らずの森〟ならぬ〝入らずの小説〟だった←うまくない

おすすめしません。
今、鮮明に全てが見える。



プロ棋士の夢が破れた男と、金髪碧眼の不思議な美少女が出会う。
彼女に将棋を教えるといつしか奇跡的な才能が開花する…。
「天才とは何か?」
厳しくも豊かな勝負の世界を生き生きと描き出す快作。
第24回小説すばる新人賞受賞作。

***

雑誌〝ダ・ヴィンチ〟でおすすめされてたので読んでみた本。
正直私はチェスが多少指せるだけで将棋のことはまったくわからないので、
読んでいても将棋のシーンは何が何やらさっぱりだったのですが、
それでも将棋の専門用語や著者の言葉選びのセンスが心地よく
一気に読み切ることが出来た。

物語の構成力も非常に高く読者を飽きさせない工夫が凝らされている。
これは、実際に将棋を長年指してきた著者だからこその、
物語を個々ではなく〝全体〟として俯瞰することが出来る才能に
裏打ちされているものだと思う。

登場人物たちもそんなに個性的というわけではないのにやたらと魅力的で、
彼らの持つ数々のエピソードにも強く惹き付けられるものがあり、
小説すばる新人賞受賞もさもありなんという感じ。

漫画〝ヒカルの碁〟なんかを読んでいても思ったけど、
本当に力のある物語というものは、その世界を知らなくても
読者を魅了するのだなあと改めて実感したり。

おすすめです。
実際のボードゲームを観戦しているかのような、
決して派手ではないけれどどこか壮大で清々しい物語だった。

ちなみに本作に感動したひとは、
山之口洋氏著〝オルガニスト〟もおすすめ。
天才とはどういうものなのかが痛いほどよくわかる。
過去は、未来に作られる。



「お前たちは島から生きて出られない」――突如送られてきた動画メールの中、
『5年後の未来』にいるという『ミイラ男』がそう宣言した。
廃墟の島『矢郷島』でのロケ中に、TV番組の出演者とスタッフたちを襲う死の恐怖。
誰が殺しているのか。なぜ殺されるのか。一体この島で何が起きているのか。
仲間たちに疑念がはびこり、信頼関係は次第に崩されていく…異色ホラーミステリー。

***

プロットはなかなかいいのに筆力がそれに伴っていないので
損をしている、某山田○介氏のような作風。
ひとがどんどん死んでいってもまるで臨場感がないし先も気にならない。
本格ミステリとオカルトが不自然に混在していてどっちつかず。
オチも、うまく書けば読み手を「そうだったのか。。。」と唸らせるものに
なったんだろうけど、この著者の力量では失礼だけど
「そんなうまくいくわけねーだろ」と突っ込むしかない的な。。。

文章も悪い意味で軽過ぎてのっけから駄作臭がぷんぷんしていたし。。。
途中何度も読むのをやめようと思ったけど根性でどうにか乗り切った。

おすすめしません。
著者のミスなのか校正のミスなのかわからないけど
誤字脱字もやたら多いし。

この著者の作品は〝THE CHAT〟だけ読んだことがあるのですが、
あれはまあまあ読める程度には面白かったのですが、
これで次また彼の作品を読んでつまらなかったらもう彼の書く本は読まないと思う。

ああ、久々に読んで時間の無駄だと思える小説に出会ってしまった。。。
〝時間島〟っていうより〝時間盗〟だよまじで。。。
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自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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