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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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今晩は。
さようなら。




電話こそ知恵の根源であり、電話コードこそ人間の連帯の具現である――。
「電話」を通し、現在の閉塞感を打破し、絶対的なコミニュケーションを実現しようと企てる
“電話男”たち。
到来したインターネット時代を早々と予見し、その果てにある光と暗黒を
斬新な文体と秀れた想像力で描き出した不朽の名作。

***

眼に見えない存在だからこそ
より純化・神格化されて崇められる。頼られる。縋られる。
そう考えると確かに、神と電話というこれら二つのものは非常に似通っているのかもしれない。
25年前にこんなものを書くことが出来た著者はすごい。
それは言い換えれば〝これだけの時間が経ってすら世の中はそんなに変わっていない〟
という虚しい結論に行き着くのだけれど。

個人的には電話男に電話してくる自称女優の言葉が胸にこたえた。

おすすめ。
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そんな展開はつまんねーよな?



既にサークルの域は出た。活動内容もそうだが、集う人間の危険度が、だ。
ヤバイ奴らが巻き起こす熱血青春ドタバタ劇。理系男子って皆こんなに危ないの?

★収録作品★

 部長・上野直也という男 
 副部長・大神宏明の悲劇 
 三倍にしろ! 前編 
 三倍にしろ! 後編 
 勝たんまでも負けん! 
 落ち着け。俺たちは今、

***

正直面白くなかった。
Amazonで何であんなに絶賛されてるのかわからなかった。

でも、最終話のあのページを眼にしたあとだとどの話も感慨深く思えてくるから不思議。
〝読んでる最中はどうってことないのに読み終えたあと振り返ってみるとじわじわくる〟、
これ著者狙ってるんだろうなー。

主人公の奥さんは要らなかった気がするけど。
せっかくの〝キケン〟の絆に余分な第三者が介入してきたみたいで
「おい男のロマンに水さすなよ」
と思ってしまった。
(ドラマ〝深夜特急〟で大沢たかおの前に突然松嶋菜々子が現れたときの興醒め感に
似ていた←知らない人ごめんなさい)

1~5話は若い層向け、
最終話だけは30過ぎの大人向けの物語。
余談ですが私も高校時代が非常に楽しく今でも頻繁に思い返すので
ラストには泣きそうになってしまった。

あー、それにしてもラーメン食いたくなってきた。
優しいし、身勝手だし、忘れるんだ、人間は。



あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。中学二年でいじめを苦に自殺したあいつ。
遺書には四人の同級生の名前が書かれていた――。
背負った重荷をどう受け止めて生きればよいのだろう?
悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ二十年間の物語。

***

内容が凡庸かつ平坦で、重いテーマを扱っている割りにはあっさりと読了出来てしまう。
もうちょっとフジシュン(いじめられて自殺する子の名前)のキャラを掘り下げてくれれば
より共感して読めたかもな、といった感じ。
でもやっぱり全体的に薄っぺらい。新聞のいじめ記事の寄せ集め的な印象を受けた。
フジシュンの親父さんも何でそこまで?って感じだし。
仮に本作を、まさにいじめが行われている学校の子供たちに読ませても
その心を動かすのは難しいのではと思う。

駄作では決してないけど心にはあまり残らなかった。

ラストはちょっとよかったけどね。

070712_01.jpg













あのフィルムの最後の記憶(フレーム)。



1979年、NY――。
映画編集者デイヴィッドの作業スペースに紛れ込んでいた邪悪で完璧に美しい一本のフィルム。
あれは、本物の“スナッフ”!?
出演女優アンジェリカと、失踪したもう一人のアンジェリカの行方を追うデイヴィッドが覗いた
暗黒の淵とは?

***

新人とは思えないぐらい文章がうまい(前書きと共にややキザだけど)。
自分が主人公になったような倒錯した気分で読み終わることが出来た。

ただ、あらすじほど内容は面白くない。
某ホラーゲームと話の流れもオチもほぼ同じで(決してパクリじゃないのでしょうが)
新鮮味に欠けたし。

台詞の横にいちいち英語のルビを振るのも「あんた(著者)が英語出来るのはもうわかったから」
という感じでちょっと鼻についた。

まあおすすめ。
このまま無事に終わるといいわね。



津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。
高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、
漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

***

やばい、今現在の恩田陸さん作品より面白かった。。。
ホラー+ミステリ+青春ストーリー、これら三つの要素がもう見事に融合していて
各キャラの立ち具合もそれぞれの心理描写も秀逸。
ちょっと無理のある点や消化不良な部分、若書きならではのラノベ風文体が
多少引っかかりはするものの、内容に惹き込まれて一気に読んでしまった。

それにしても、最終選考で酷評されて落選、その後出版されるもすぐに絶版という本作が
栗山千明さん主演でドラマ化までされるなんてねー。
世の中わからないものです。

個人的にはこの小説、辻村深月さんファンのひとに一押ししたい(空気感が似ているので)。

おすすめです。
――ウマレタランカナ。



大阪の下町を流れる川・古川。長屋の人々の生活と密接に結びついている古川だが、
そこではかつて、何人もの人々が命を落としていた。
ある台風の夜、幼い少女の幽霊が古川から現れて――。
「癒し系」ホラーの名作。

★収録作品★

 古川
 冥い沼

***

ホラーにしてもノスタルジック・ファンタジーにしても弱く、あまり楽しめなかった。
内容も怖いと言うより〝不快〟だし(そしてありがち)。
話を無理やり感動的にしようという作為が透けて見えるし。
著者が野球ファンだということだけは読んでいてよくわかりました。

同じ和風ホラーなら、恒川光太郎氏の〝夜市〟のほうが遥かにおすすめ。

期待してたぶんがっかりでした。
Nothing really matters.



17歳の鴇谷春生は、自らの名に「鴇」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている。
俺の人生に大逆転劇を起こす! ――ネットで武装し、暗い部屋を飛び出して、
国の特別天然記念物トキをめぐる革命計画のシナリオを手に、
春生は佐渡トキ保護センターを目指した。
日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだし、
研ぎ澄まされた知的企みと白熱する物語のスリルに充ちた画期的長篇。

***

本作はあくまで〝小説〟なのに物語の半分をトキに関する文献が埋めているのはどうかと思うし
かと思えば旅先で主人公が女の子と出会うって展開は打って変わってペラいけど(というか
本作自体に正直深みはあまりないけど)
全体的には面白く読めた。
主人公の性格が一貫してないところにも妙にリアリティを感じてよかった(一歩間違えば
〝キャラの性格が破綻してる〟という評価も受けかねないスレスレのラインなんだけどね。。。)。

いい大学や会社に入ろうとか幸せな結婚しようとか人生の目標を見つけようとか
そういう〝プラスの目標〟に辟易してるひとにおすすめかも。
〝負の目標〟でも人間は動ける、それがわかって楽になれるはず。

他人に大迷惑かけない範囲でならそれもありかなと思う今日このごろ。。。

許せない、と思った。



若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔“指蒐集家”vs“名探偵”刑事。
ふたりの壮絶なる頭脳戦の行き着く先は…。
リアルな警察小説にして衝撃の本格ミステリ。『ポンツーン』連載を加筆・修正し単行本化。

***

犯人誰かわかりやすすぎ。
でも警察の面々には個性があって楽しく読めた。
物語自体もシンプルだけど面白かったし(〝乱反射〟には負けるけど。。。)。

でも某巨大掲示板(つまりあれ)のIDって日付けが変わると変わるんじゃなかったっけ。。。?
(初めはトリップ付けてるのかと思ったけどよくよく読むとそうじゃないみたいだし)

ていうか主人公がいきなりホームレスになってるのに笑った(でもそのあたりの、
〝弱りきっているからこそ人のほんのちょっとした優しさが身に染みるし泣けてくる〟
っていうのは(そんなの当然のこととはいえ)よかったけど)。
ていうか(again)愛人、実家に帰るとか言ってないで主人公を助けてやれよ。

それにしても、何でこの物語にこのタイトル?
合ってない気がするんだけど。。。これじゃ二流純文学だよ。もったいない。
不思議なことと言えばもう一つ、
犯人の過去にあんなすごいことがあったならもっと早く誰かが気づいたんじゃないかと
思うんだけど(だって実名も出たはずだし)そこんとこはどうなんだろうか。

何はともあれおすすめです。
――助けて。



ボランティアで児童虐待の電話相談をしている秋生。彼女自身、かつて
育児ノイローゼになりかけていたところを保健婦に救われたという過去があった。
人はなぜ、幼い子供を虐待しなくてはならないのか――。
そんな疑問を抱く秋生のもとにかかってきた一本の電話。それをきっかけに、
彼女は恐ろしい出来事へと巻き込まれていく――。

***

面白く読みやすく一日ちょいで読破。
人として正しく生まれ変わったが故に逆に闇に取り込まれてしまうヒロインの描写もよかった。
「なぜ人間は虐待をしなければならないのか?」
この問いかけに対する答えもホラー小説ならではの斬新さを持っていてよし。
本作がデビュー作とは思えない、やっぱり今でも第一線で活躍している作家さんは違いますね。
(冒頭で多少視点の混乱はあったものの)

それにしても、本作に登場する〝天使〟から、
〝伝染るんです。〟の「すばしこい子供」を連想したのは私だけだろうか。。。?
(知らない人ごめんなさい)
想像したらちょっと吹き出しそうになったよ。

おすすめです。
あんたたちにそれがわかるかい?



ぼく片桐稔は、ある日、姉の家で何者かに頭を殴られ、一ヶ月間意識不明に陥る。
目覚めたぼくは、姉があの日殺されたと知らされ、そして、鼻から「匂い」を失ったかわりに、
とてつもない嗅覚を宿すことになった。
姉を殺したヤツは同じ手口で次々と人妻を手にかけていき、ぼくは――。
斬新な発想で独自の世界を築き続けてきた著者が、満を持して放つ、新たな衝撃作。
類書なき、嗅覚サスペンス。

***

ひと言で言えば主人公が行方不明になった友人を嗅覚を使って探し出す物語なのですが、
全然作中に登場しないまま忽然と姿を消した〝友人〟をいくら主人公が必死に探しても
読んでいるほうはどうにも感情移入することが出来ず。
犯人を推理するような話でもないので「どいつが犯人だ!?」とハラハラすることもないし。
主人公が恋人に抱く感情も、嗅覚がベースになっているせいか妙に変態っぽいし。
あとは(個人的なことですが)「キュッキュッと笑う」という表現が生理的に受け付けなかった。
(おばけのQちゃんだってそんな風に笑わねえよ)

でも550Pという長さを感じさせない、一気に読ませる物語ではあったと思う。
ラストは、中盤で主人公の眼に異変が置き始めたことも絡めてアンハッピーエンドで締めれば
より印象深い物語になった気がするけどなー。

ちなみにタイトルは〝嗅覚記〟とでも訳せばいいかな?

なかなか楽しめた一作でした。
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自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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