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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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だからずっと、信じてる。



突然死したアイドルに。
癌で逝った母に。
喧嘩したまま亡くなった親友に。
失踪した婚約者に。
死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかもしれない。でも――
喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。
――4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。

★収録作品★

 アイドルの心得
 長男の心得
 親友の心得
 待ち人の心得
 使者の心得

***

この世から消えてしまった人間に、たったひとりだけ会うことができる。
今のところ私には会いたい相手はいません。それはいいことなのかどうなのか。。。

生者と死者が会う、というとほのぼの泣かせ系の物語を想起しますが、
まあ実際本作も強いて言うならそのラインなのですが、
〝親友の心得〟だけは読んでいておそろしく、胸を抉られるようだった。
友人にこんなリアクションをされたら一生引き摺る。怖すぎる。生きていけないかも知れない。
やっぱりこの著者に〝友情〟の機微を書かせたら天下一品です。

読後、今自分が一番会いたい人がこの世に留まってくれている人だということが
無性に幸せに感じられた。

おすすめです。



ていうかやっぱりこの物語を著者が思い付いたきっかけって
飯島愛さんなんだろうな。。。たぶん。いやかなりの確率で。
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いつかきっと会いに行く。



荒廃した渋谷でしたたかに生き抜くホームレスの少年・イオン。
彼は家族をもたず、全てのおとなを敵視する。
愛することを知らない孤独な魂はどこへ行くのか――。

***

著者の年齢からは考えられないほど(というのは偏見かもだけど)出てくる固有名詞の
いちいちがかっこいい(〝ブロドパーク〟とか〝マムズ〟とか)。
内容がイラストと絶妙にマッチしている。

と、内容と関係ないことばかり書き連ねていて肝心の中身はどうなんだと言われれば、
うーんと首を捻らざるを得ない。著者が本作を通して言いたいことが伝わってこなかったから。
ホームレスの世界の現状は本作で書かれているものよりずっと悲惨で凄惨だし、
だからといってファンタジーにも逃げ切れていない、中途半端な物語になっている気がした。

ラストであの二人を結婚させちゃったことも単純な展開な気がして微妙。
オチだけは非常に切なくてよかった。

桐野作品の中では今のところ私の中で〝グロテスク〟を超すものはないな。

似たテーマならこっち↓のほうがおすすめ(漫画だけど)

ここにいたい。
ずっとここにいたい。



「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」
やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。
やがてねじれた祈りは大人たちに、そして少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げる――。
やさしくも哀しい祈りが胸を衝く、俊英の最新長篇小説。

***

伊坂幸太郎氏しかり、ミステリ作家としてデビューしたひとが
年数を経るにつれミステリから別の方向へシフトしていく現状が悲しいです。
本作はミステリの要素かけらもなし(道尾さん。。。;-;)
序盤の大きな伏線もまったく解決されないまま終わるし、
小学生の少年少女の心の機微を描き出しているのだと言われれば
それに苦言を呈する気はないけれど
その手のテーマは何も道尾氏がやらずとも純文学作家のほうがよほど巧みにやってのけるし。
全体的に話がヤドカリうんちくに終始したことも本作にたるみを感じた原因では。
(ヤドカリを火で炙る描写もくどいほどに出てきて何か痛々しくて読む気失せることもしばしば)

あと前から思ってたのですが道尾作品は登場人物の挙動が大げさ。
特に老人。舞台俳優?ってぐらい表情や身体の動きのリアクションがでかい。
もうちょっとおさえてもいいのではないかと思う(軽くうざい)。

今回はあまり面白いとは思えなかったな。。。
同じミステリ要素の少ない同氏作品でも、〝光媒の花〟はけっこうよかったし。

よくも悪くも〝普通〟です。
拙作〝幽霊メモ〟が掲載されました。
立ち読みor図書館でいいのでよろしければ読んでやってくださいm(__)m



母に読ませて「つまらん」と言われ自分的にもあまり自信がなかった作品なので
困惑しつつも嬉しい限りです。
阿刀田先生、並びに小説現代編集部の皆さま、ありがとうございますm(__)m
だから、ここに立っている。



変種のアリを追って、東北の山村に迷い込んだ、東京の大学の講師で昆虫学者の山上一郎は、
瀧埜上村の仮巣地区の人々に助けられ、命をとりとめた。
翌年、山上は医師でもある妻の和子を説得し、一年間のフィールドワークのために、
再び仮巣地区を訪れた。この村には医師がいなかったため、和子にとってもそれは
やりがいのある仕事に思えたのだった。
優しくて、親切な村の人々。だが、何日かその村で生活していくうちに、和子は違和感を覚える。
――みんな健康的過ぎる…医師もいないのに…。

***

面白かったー!
いやもう純粋に面白かった。
一気読み。楽しめました。感動もした。良作です。

一見ミステリ?と思わせつつ、本書は親子三代にわたる伝記かつ伝奇的ストーリー。
親から子、子から親、そして村とそこに住まう人々との分かち難い絆が、見事に描き出されていた。

蜜姫の喋り方がちょっと大時代的に過ぎるのがいささか漫画っぽくもありましたが、
読み進めているうちにあまり気にならなくなってきた。
ラスボスが最後の最後であっけなく掌を返すのも、ちょっと肩透かしだったけどまあ許容範囲内。
(ていうかラスボスの蜜姫、使う妖術?が〝幽☆遊☆白書〟の食脱医師っぽかった←知らない人
ごめんなさい)


おすすめ。
恒川光太郎氏や朱川湊人氏が好きな人には特におすすめです。
俺たちに明日はない。



“「死神」と呼ばれる殺し屋のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される”。
特ダネを追うライター・陣内は、ある組長の死が、実は死神によるものだと聞く。
事故として処理された彼の死を追ううちに、陣内は破天荒な天才投資家・本宮や、
組長の仇討ちを誓うヤクザとともに、死神の正体に迫っていく。
一方で、退官間近の窓際警部と新人刑事もまた、独自に死神を追い始めていた…。
第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

【死亡フラグ】とは、漫画などで登場人物の死を予感させる伏線のこと。
キャラクターがそれらの言動をとることを「死亡フラグが立つ」という。

***

死亡フラグ〟、あんまり出てきません。タイトルの割に。。。
正直内容がタイトルに名前負けしてる。
文章は非常にうまいのですがやや詰め込みすぎの感があり、あまり楽しめなかった。
〝死神〟の存在もあまりにアバウトだし。
主人公たちが次々とピンチに遭いその都度潜り抜けても、そのピンチも偶然に見えるので
〝死神〟の仕掛けた罠だとは思えない。よってドキドキハラハラがない。
敢えてジャンル分けするなら(いや、敢えても何もなく普通に)バカミスの範疇だと思った。
(まあ、〝このミス大賞〟受賞作はライトな感じのバカミスが多いんだけど)

こんな斬新なラスト一行は読んだことがないのでそこだけは評価しますが。
この一行でこれだけの長編を締め括れるセンスはすごい。
(普通、長編の最後の一行ってもっとかっこつけるものだと思うし。。。)

もうちょっと登場人物を減らすか相関関係を明瞭にしてくれたら
よりいいものになったのにと思う。
ずっと楽しい気持ちが続くように。



身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。
理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。
強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。
七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。
ひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、そのリンクを見出した。
しかし江木の行方は杳として知れなかった…。
彼が求めたものは何か。次に狙われるのは誰か。
あまりに悲しく予想外の結末が待つ長編ミステリー。

***

社会派ミステリ。
とはいっても貫井氏の丁寧かつ魅力的な描写のおかげで、
「社会派系はちょっと。。。」というひとでも
ミステリ、もしくは人間ドラマとして十分に楽しめる内容になっています。
自分は読んでいて「ラストは読めた!」と自信満々に確信したにも関わらず、
少し意外なところに落とされ、でも「そうきたかー。。。」と清々しい気持ちで負けを認められた。
登場人物が例外なく「警察のすることは絶対」と信じているのがちょっと違和感あったけど。。。
あと、殺されていく人間たちが皆俗物なのが短絡的。もうちょっとキャラを練ったほうが
よかったんじゃないかという気も(まあ、そんなことまでしてたらもっと長大な話になっちゃうけど)。

〝冤罪〟――それが本書のテーマですが、こういうことが本当にあるかと思うと
それが決して新しいテーマというわけでないにも関わらず改めて
今の司法や罪状確定までの経緯に疑問を抱かされてしまう。

非常におすすめです。
愛を恥じるな。



それは純愛なのか、歪んだ欲望の軌跡か。
カルト集団、犯罪、妄想、女装、三角関係などが絡んで人間の本質を“むきだし”にしていく――。
気鋭の映画監督が実話をベースに挑む2009年公開映画の原作小説。

***

映画版を観てから読むこと、あるいは読んでから映画版を観ることをおすすめします。
本作(小説)単体じゃ足りない。
映画版で描かれていない登場人物たちの心理が書き込まれているところはいいのですが、
映画版でめちゃくちゃ感動したシーンがはしょられていたりしておい、と思ったりと
ちょっとバランスが悪いので。
ラスト一行なんか、何だそれ、中学生の創作かってぐらいめっちゃショボかったりもするし。
監督が自ら筆をとって書いた作品にも関わらず、文章もあまりうまいとは言えない。

繰り返しになりますが、映画とセットで読むのがおすすめ。
わたしを、待っている。



“幸運のさる”を見つけた中学生が次々と姿を消し、
盲導犬は飼い主の前で無残に殺されていく――。
狂気の犯罪者が街に忍び寄る中、アーチェリー部主将の女子高生・マドカが
不思議な邂逅を遂げたのは、この世界で最も無力な騎士だった。
瑞々しい青春と社会派要素がブレンドされた、ファンタジックミステリー。

***

チカ&ハルタシリーズ〟で有名な初野氏の初期作品。
正直難点のほうが多かったかな。。。

★事件が解決するまでが長い。
 冗長で何度も眠りそうになった。。。
 事件そのものも一見派手そうで地味だし。
★会話のセンスが。。。
 文章はうまいんだけど登場人物の台詞回しに独特のクセがあり、
 それが痛快で面白いときもあれば逆にイラっとくるときもあり。
★同性愛要素は蛇足。
 そのほうがよっぽど、ラストシーンが映えたと思う。
 ていうかこの著者同性愛好きだなあ。。。〝チカ&ハルタシリーズ〟も
 ハルタがホモだし。
★登場人物が読者を置いてけぼりにしてさっさと動き謎を解決してしまう。
 要するに著者が読者のことをあまり考えていないということ。
 最終章の読者を取り残した物語の進みっぷりには突っ込むのを通り越して
 もはやあっけにとられた(ラストありがちだし)。

何故〝ドッグキラー〟が盲導犬ばかりを殺すのか、
その理由がわかったときには戦慄をおぼえましたが。
あとは芥川龍之介の遺書を引用した〝ラフレシア〟の章のラストにもいい意味で鳥肌がたった。

初野晴作品の中ではあまりおすすめなほうじゃないなあ。。。
でも決して駄作ではないのでこの世界観にハマる人はハマるんじゃないかと思う。



ところで〝1/2の騎士〟というのはやはりオカマ(ニューハーフ)ってことなんだろうか。。。
私は娼婦だったのだ。



私は、よく娼婦の顔をしているといわれる。さまざまな仕事を経験したが、
それだけは絶対にしなかったのに。ところが私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。
売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった…。
多感な少女の自由を求めての旅立ちを描いて圧倒的話題となったベストセラー。

***

読みやすさと興味深さ(と言ったら語弊があるかな。。。)で一気に読んでしまった。
主人公の家族のいやらしさが(本作は実体験を元に書かれているのだから
当然といえば当然かもしれないけれど)これでもかというぐらいリアルに描写されていて、
そのいちいちが心に刺さった。不快だった。でもその〝不快〟を読者に感じさせることのできる
内田春菊さんの筆力は素直にすごいと思った。

文中からちょっとだけ「こんな自分はかわいそう」とでも言うような了見の狭さも感じたけれど
(特に母親に対してその傾向が顕著)、全体にみればごく客観的に春菊さんは自分のことを
見れていると思う。

個人的な話だけど私には家庭に問題のある友人が多く、
自分もどちらかと言えばそっちサイドの人間なので彼らとは話していて安らぐし
逆に円満な家庭に育ってきた友人にはついていけない距離感を感じてしまったりもするのですが、
本作にはそんな私さえ安易に共感することが憚られてしまうような
〝世界の遠さ〟のようなものを感じた。
主人公(春菊さん)のあまりに閉じられた世界(家族の手でそうされてしまっているのですが)に
入り込めなかった。彼女(たち?)は私とは違う世界にいた。実際的な意味でも、精神的にも。
彼女(たち)からの静かな拒絶、そんなものを切実に感じた。

このようなことが実際に起きているということを知る上でも一読の価値あり。
おすすめです。
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女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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