私は娼婦だったのだ。
私は、よく娼婦の顔をしているといわれる。さまざまな仕事を経験したが、
それだけは絶対にしなかったのに。ところが私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。
売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった…。
多感な少女の自由を求めての旅立ちを描いて圧倒的話題となったベストセラー。
***
読みやすさと興味深さ(と言ったら語弊があるかな。。。)で一気に読んでしまった。
主人公の家族のいやらしさが(本作は実体験を元に書かれているのだから
当然といえば当然かもしれないけれど)これでもかというぐらいリアルに描写されていて、
そのいちいちが心に刺さった。不快だった。でもその〝不快〟を読者に感じさせることのできる
内田春菊さんの筆力は素直にすごいと思った。
文中からちょっとだけ「こんな自分はかわいそう」とでも言うような了見の狭さも感じたけれど
(特に母親に対してその傾向が顕著)、全体にみればごく客観的に春菊さんは自分のことを
見れていると思う。
個人的な話だけど私には家庭に問題のある友人が多く、
自分もどちらかと言えばそっちサイドの人間なので彼らとは話していて安らぐし
逆に円満な家庭に育ってきた友人にはついていけない距離感を感じてしまったりもするのですが、
本作にはそんな私さえ安易に共感することが憚られてしまうような
〝世界の遠さ〟のようなものを感じた。
主人公(春菊さん)のあまりに閉じられた世界(家族の手でそうされてしまっているのですが)に
入り込めなかった。彼女(たち?)は私とは違う世界にいた。実際的な意味でも、精神的にも。
彼女(たち)からの静かな拒絶、そんなものを切実に感じた。
このようなことが実際に起きているということを知る上でも一読の価値あり。
おすすめです。
私は、よく娼婦の顔をしているといわれる。さまざまな仕事を経験したが、
それだけは絶対にしなかったのに。ところが私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。
売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった…。
多感な少女の自由を求めての旅立ちを描いて圧倒的話題となったベストセラー。
***
読みやすさと興味深さ(と言ったら語弊があるかな。。。)で一気に読んでしまった。
主人公の家族のいやらしさが(本作は実体験を元に書かれているのだから
当然といえば当然かもしれないけれど)これでもかというぐらいリアルに描写されていて、
そのいちいちが心に刺さった。不快だった。でもその〝不快〟を読者に感じさせることのできる
内田春菊さんの筆力は素直にすごいと思った。
文中からちょっとだけ「こんな自分はかわいそう」とでも言うような了見の狭さも感じたけれど
(特に母親に対してその傾向が顕著)、全体にみればごく客観的に春菊さんは自分のことを
見れていると思う。
個人的な話だけど私には家庭に問題のある友人が多く、
自分もどちらかと言えばそっちサイドの人間なので彼らとは話していて安らぐし
逆に円満な家庭に育ってきた友人にはついていけない距離感を感じてしまったりもするのですが、
本作にはそんな私さえ安易に共感することが憚られてしまうような
〝世界の遠さ〟のようなものを感じた。
主人公(春菊さん)のあまりに閉じられた世界(家族の手でそうされてしまっているのですが)に
入り込めなかった。彼女(たち?)は私とは違う世界にいた。実際的な意味でも、精神的にも。
彼女(たち)からの静かな拒絶、そんなものを切実に感じた。
このようなことが実際に起きているということを知る上でも一読の価値あり。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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