ワイパー動くよ。
大学生の望月良夫は愛車のデミオ運転中に、
偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。
だが翌日、翠は事故死する。
本当に事故だったのか?
良夫とその弟で大人びた小学5年生の亨は、
翠を追いかけ回していた芸能記者・玉田と知り合い、
事件に首を突っ込み始める。
姉、母まで望月一家が巻き込まれて、謎は広がるばかり――。
朝日新聞夕刊の人気連載が待望の単行本化。
物語の語り手はなんと本邦初! ?の「車」。
町を走る様々な車たちの楽しいおしゃべりが全編にさんざめく、
前代未聞のユーモアミステリーにして、 のんきな長男・大人びた弟…と
個性的なキャラが揃った家族の暖かいエピソードに溢れた、
チャーミングで愛すべき長編家族小説!
***
うちでは過去に二回車を売ったことがあるのですが、
その車たちがいなくなることに寂しさを感じ涙が出そうになった覚えがあります。
見た目が生き物っぽいし動くし一緒に行動するし、
無生物でも彼らは立派な人間のパートナーなんでしょう。
なので車が語り部の本作には非常に感情移入することが出来た。
主人公のミドデミ(緑のデミオ)がとにかく可愛い。
ほかの車の登場人(?)物たちも個性があって、皆人間が大好きで、
読んでいてとにかく愛着が湧く。
渋滞に巻き込まれたミドデミの周りに何故かやたらとクラウンが多くて
ミドデミが笑いを堪えるシーンでは思わず一緒に吹き出しそうになったし、
序盤から登場するブルーバードの活躍シーンも気分が爽快になった。
著者の伊坂氏が何故主人公に緑のデミオを選んだのかがわかるラストでは、
ミドデミの、持ち主である望月家の人間たちを想う気持ちに思わず涙が滲んだ。
そしてあの小気味よくも感動的なエピローグ。
いい歳して読むと伊坂氏の小説はちょっと子供っぽいきらいがあるのですが、
それでもやっぱり好きで新作が出るたびに手にとってしまうのは
伊坂氏の人間を見る目が優しくて温かくてそれがとても心地いいから。
今回はその「人間」を語るのが同じ人間ではなく「車」ということで、
より一層伊坂氏が人間の悪い部分も受け入れ、肯定的に描写するという在り方が
際立っているように感じた。
車の免許をとろうとしているひと、もしくは取得したひとに、
プレゼントとして渡したい本です。
本作は車を運転するひとなら誰でも確実に楽しむことが出来る。
そして自分の車に今まで以上に愛着が湧くに違いないと思う。
おすすめです。
大学生の望月良夫は愛車のデミオ運転中に、
偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。
だが翌日、翠は事故死する。
本当に事故だったのか?
良夫とその弟で大人びた小学5年生の亨は、
翠を追いかけ回していた芸能記者・玉田と知り合い、
事件に首を突っ込み始める。
姉、母まで望月一家が巻き込まれて、謎は広がるばかり――。
朝日新聞夕刊の人気連載が待望の単行本化。
物語の語り手はなんと本邦初! ?の「車」。
町を走る様々な車たちの楽しいおしゃべりが全編にさんざめく、
前代未聞のユーモアミステリーにして、 のんきな長男・大人びた弟…と
個性的なキャラが揃った家族の暖かいエピソードに溢れた、
チャーミングで愛すべき長編家族小説!
***
うちでは過去に二回車を売ったことがあるのですが、
その車たちがいなくなることに寂しさを感じ涙が出そうになった覚えがあります。
見た目が生き物っぽいし動くし一緒に行動するし、
無生物でも彼らは立派な人間のパートナーなんでしょう。
なので車が語り部の本作には非常に感情移入することが出来た。
主人公のミドデミ(緑のデミオ)がとにかく可愛い。
ほかの車の登場人(?)物たちも個性があって、皆人間が大好きで、
読んでいてとにかく愛着が湧く。
渋滞に巻き込まれたミドデミの周りに何故かやたらとクラウンが多くて
ミドデミが笑いを堪えるシーンでは思わず一緒に吹き出しそうになったし、
序盤から登場するブルーバードの活躍シーンも気分が爽快になった。
著者の伊坂氏が何故主人公に緑のデミオを選んだのかがわかるラストでは、
ミドデミの、持ち主である望月家の人間たちを想う気持ちに思わず涙が滲んだ。
そしてあの小気味よくも感動的なエピローグ。
いい歳して読むと伊坂氏の小説はちょっと子供っぽいきらいがあるのですが、
それでもやっぱり好きで新作が出るたびに手にとってしまうのは
伊坂氏の人間を見る目が優しくて温かくてそれがとても心地いいから。
今回はその「人間」を語るのが同じ人間ではなく「車」ということで、
より一層伊坂氏が人間の悪い部分も受け入れ、肯定的に描写するという在り方が
際立っているように感じた。
車の免許をとろうとしているひと、もしくは取得したひとに、
プレゼントとして渡したい本です。
本作は車を運転するひとなら誰でも確実に楽しむことが出来る。
そして自分の車に今まで以上に愛着が湧くに違いないと思う。
おすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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