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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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シンプルで解放された世界に。



大手建設会社に総合職として勤めていた名門Q女子高出身の和恵。
学内で売春し退学した美貌のユリコ。
最下層の娼婦として渋谷で再会した二人は、ともに殺害される。
犯人と目される中国人チャン、東大医学部に進みながら新興宗教に入信、犯罪者となった
Q女子高時代トップのミツル、和恵と同級生だったユリコの姉……。
せめぎあう黒い魂たち――。

***

ミステリかと思いきや純文学に近い娯楽小説だった。
事件に関わった一人ひとりの語りから(読み手が)真相を突き詰めていく、という構成は
ミステリと言えなくもないけど。
ほんのちょっと〝告白〟(/湊かなえ)と似てるのであの作品が好きなひとは
読んでみてもいいかもしれない。

でもこの小説、(自分がエグい純文ばっかり読んでるせいかもしれないけど)
〝グロテスク〟というにはあまりにきれいすぎるんだよな。
こんなタイトルを冠した以上は、もっと眼を背けたくなるような描写や展開があっても
よかったんじゃないかと個人的には思う(それを自分が読みたいかどうかは別として)。

完璧な美貌を持つユリコのキャラも、歳とったら普通のオバちゃんになっちゃって
え? じゃあ前章で散々描写されていた若いころの彼女のあの独特のものの考え方、精神は
どこにいっちゃったの?とあっけにとられた。
美貌だったり頭がよかったり、どんな人間だろうが歳とりゃただのババアだよ、っていうことを
まさか作者は言いたかったんだろうか? それこそがグロテスクなことだと? そんな馬鹿な。

それにしても本作には本当に、グロテスクと呼べるほどの要素がないんだよなー。
やはり(偏見かもしれないけど)女性作家に〝エグさ〟を求めてはいけないんだろうか。
男性作家が書く本作を読んでみたかった(でもそれだとエグ描写ばっかりで中身がなくなりそう
だけど)。

でも何だかんだで面白くて一気読み。
おすすめです。

あー私にも〝チャン〟がいたらな。。。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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