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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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届きますか、届きません。



片思い以外経験ナシの26歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ現実の扉を開けてゆく
キュートで奇妙な恋愛小説。3年ぶりの注目作!

***

ついに来たよ綿矢さん。待ってたよ。

彼女も大人になったせいか、おっさん女みたいな〝下品さ〟を今回は作中に散りばめていて
それが非常に痛快で(〝下のふせん~ってか。〟には爆笑)、
これまでの作品の〝斬新ながらもどこか優等生くさい〟っていう負の特徴も消えていて
おっと思わされた。
でも前作にも感じた〝比喩表現をひねり過ぎ・乱用し過ぎ〟な点が読んでてちょっと疲れたけど。
(一つひとつは抜群にうまいんだけど、綿矢さんが文章に込めた気合いが透けて見えてしまう。
まあ自分ならではの文体を試行錯誤してるんだろうなー。。。)

今回すごいなと思ったのは、
「フラれたわけでも相手に彼女が出来たわけでも幻滅させられたわけでもないのに終わる恋」、
それを非常にリアルかつわかりやすく描ききってるところ。
恋する女は妄想人間、惚れた相手をどんどん美化してく。
あまつ相手に惚れる自分さえも美化していざ自己陶酔の世界へ。
それが破られ現実に立ち返る、その瞬間のあまりの呆気なさ。その描写が秀逸。
独り善がり「運命の恋」は怖いです。往々にしてこういうことが起きるから。

秀逸といえば
「この男は単純なんじゃなくて自分に惚れてるから単純になっちゃってるんだ」
というひと言には眼からウロコボロボロ落ちました。なーるほど!
(まったくモテない私にも思い当たる節があったよ。。。)

オチは無難にまとまってしまってて残念。
あとヒロインの挙動・感情の流れにリアリティがあまりないことも。

彼女が最終的に選んだ〝恋のかたち〟、
私なら絶対選ばない(選べない)けど、まああれはあれでアリなんだろうな。
リスクや後悔を怖れない人だけがとれるかたち、なのだろうとそう思う。

読んで損はない小説です(爆笑も出来ます)。



余談:
本作のタイトルはやっぱりヒロインがポジティブに本命男・イチを跳ね除けた、って解釈で
いいんだよね? まあそこには怒りと開き直りも当然含まれてるのでしょうが。
そして〝ニ〟の本名、あれ〝ピンキリ〟から来てるんだよねたぶん?
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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