世界が、今、音を立てて壊れていく――。
「道子さんを殺したのは、私なのよ――」
認知症が進んでから母はよく喋るようになった。
しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。
施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、
女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。
久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。
40年ぶりに手にした懐かしい人形。だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……
(「母の記憶」より)。
サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、そのすべての最後の1行が
衝撃的な台詞になっているという凝った構成。
『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。
星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!
***
ショートショートとしては抜群の出来。
ただ、ラスト一行ですべてが覆る仕様であることがわかっているせいか、
ほとんどの話のオチが途中で読める。
そんな前知識がなかったら純粋に楽しめたのにな。
本作の一編一編を、変な心構えなしで連載されていた雑誌で偶然読んだひとが羨ましい。
ラストの表題作だけが、最後までオチが読めず、やるせないなりに切なくてよかった。
おすすめです。
「道子さんを殺したのは、私なのよ――」
認知症が進んでから母はよく喋るようになった。
しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。
施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、
女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。
久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。
40年ぶりに手にした懐かしい人形。だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……
(「母の記憶」より)。
サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、そのすべての最後の1行が
衝撃的な台詞になっているという凝った構成。
『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。
星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!
***
ショートショートとしては抜群の出来。
ただ、ラスト一行ですべてが覆る仕様であることがわかっているせいか、
ほとんどの話のオチが途中で読める。
そんな前知識がなかったら純粋に楽しめたのにな。
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ラストの表題作だけが、最後までオチが読めず、やるせないなりに切なくてよかった。
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kovo
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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