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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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答えはいつもそこにある。



栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。
ここでは常に医師が不足している。専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、
睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、
休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、
精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
第十回小学館文庫小説賞受賞作。

***

最初の一行からかたっくるしくて「げっ」と思ったけど
その後そのかたっくるしさの理由を説明されるととたんに本作がコミカルなものに
様変わりする、それが面白い小説だった。
中身は淡々と進むけど、作中に出てくるさまざまなエピソードの一つひとつが
読み手をじんわりと温めてくれる、ホッカイロみたいな物語だった。
登場キャラに対する主人公のネーミングセンスも抜群で、すぐに人物を覚えられることにも
著者のセンスを感じる。
終盤の安曇さんの手紙には、純粋に泣かされて涙が出てしまった。もしかするとこれ
著者自身の体験談なんじゃないの?ってぐらい真に迫ってて。
全体的に高評価。
ただ、もうちょっと主人公の奥さんのハルを活躍させてもよかったんじゃないかとも思う。
(もし続編が出るようなことがあれば、是非登場頻度を多くしてほしい)

それにしても主人公(著者)、本当に夏目漱石好きなんだな。
なつかわそうすけ、なつめそうせき。
この著者の、漱石のオマージュ的なものじゃなくありのままの文章を読んでみたい。

おすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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