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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「あたりまえですよ。俺は……ミュージシャンですから」



唐島英治クインテットの面々が遭遇した不思議な出来事や謎。
テナーサックス奏者・永見緋太郎の鮮やかな名推理は――。
ライヴ感溢れる文体が魅力の“日常の謎”的ジャズミステリシリーズ、第二弾。
名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、
九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、
“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など七編を収録。
田中啓文おすすめのジャズレコード、CD情報付。

★収録作品★

 苦い水
 酸っぱい酒
 甘い土
 辛い飴
 塩っぱい球
 渋い夢
 淡白な毒

***

あまりに好きで、図書館で借りてきたものを読んだ直後に購入してしまった
↓の続編となる音楽ミステリ。



音楽ミステリ作家を志す者として音楽をテーマにした様々な小説を読み漁ってきた
私ではありますが、初めて〝落下する緑〟に出会ったときには、大きな衝撃を感じると共に
「うわーこんなものを書く人が先達にいるんじゃ自分が音楽ミステリ作家として大成するのは
難しいなあ。。。」
と焦りを感じた記憶があります。

文体も非常にテンポがよくて読みやすく、登場人物も全員一癖ありつつも
魅力溢れる人物ばかり。特に探偵役の天才サックスプレイヤー・永見には、
一時期本気で惚れていた時期もあったほど。
それだけ著者の生み出すキャラが見事に立っているんだよなー。
たぶん永見は男性から見ても友人になりたいタイプなんじゃないかな。
それか直接的には関わりたくないけど遠くから見守っていたいような笑。

収録されている短編も、それぞれに音楽ミステリならではのトリックが仕掛けられていて
読むたびに「うおー音楽をそうトリックに使ってくるかあ!」とうならされます。

シリーズ二作目になる本作は、一作目に比べてやや永見のキャラが弱いことと、
彼と狂言回しの唐島との掛け合いがあまり面白くなかったことが少し残念でしたが、
一話一話のクオリティは相変わらず保たれていて最後までとても楽しく読めた。
特に表題作〝辛い飴〟は、現実にはあり得ないことだろうとわかってはいても
思わず鳥肌が立ってしまいました。

でもやっぱり何より本シリーズの一番すごいところは、読んでいると
サックスやピアノ、トランペットの音が実際に聴こえてくるその表現力&臨場感。
まさに〝読む音楽〟です、これは。

ちなみに蛇足ですが、本作のある短編のトリックが
今自分が考えているものと若干かぶっていてやばい。。。と焦り中。
尊敬する作家と考えがかぶったというのは栄誉だけどでもそれじゃあなあ。。。
。。。ま、いっか。自分は自分だし偶然だし。

とにかくおすすめのシリーズ。
是非是非是非、読んでみてください。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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