「ガキでいいんだよ。いずれ嫌でも大人になる、誰だってな」
1968年12月10日。
東京・府中。
雷雨の朝、白いオートバイ。
18歳の少女。
1968年12月10日。
東京・府中。
雷雨の朝、白いオートバイ。
18歳の少女。
あの「三億円事件」の秘密の扉が、今静かに開かれる。
***
登場人物たちがほぼ全員ステロタイプで面白みがない、
岸が強奪事件を計画した理由は自分自身の〝復讐〟のためなのに
自分はあくまで客観に徹し過ぎ・主人公にすべてをまかせすぎ、
全体的な雰囲気は悪くないのに主人公の喋り口調がスケバン調(まあ本作の
時代背景を考えればある意味リアルですが)で興醒め、
といろいろと突っ込みたいポイントはありますが、なかなかの良作なのではと思います。
ただ、〝三億円事件の犯人が実は女子高生だった!〟というあらすじのインパクトが
あまりに強く期待し過ぎたためか、読後「なんだ、こんなもんか」とちょっとがっかり。
強奪事件そのものよりも、終盤で明らかになるある人物二人の隠された人間関係のほうに
よっぽど驚かされました。
まあただ、三億円騒動の顛末には著者の皮肉を感じて苦笑してしまいましたが。
「そんなもんだよな」と少し笑えた。
純文とエンタメとミステリがほどよく混ざった、良質な青春小説だとは思う。
ページ数もそんなにないので三億円事件を知っている人、興味のある人は
一度手にとってみてほしい一冊です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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