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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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この呪いを、解かなければならない。



15年前のサマーキャンプに参加した27歳の男女5人が、
キャンプ主催者の遺言執行者と名乗る女性弁護士に突然集められた。
この中の1人が遺産31億円の相続資格者だと言うのだ。
「“或る事”をした者」という以外故人が明確にしなかった該当者確定のために、
5人はキャンプの詳細をレポートにするよう求められる。
事実を捻じ曲げて独り占めしようとする者、分割して相続することを望む者、
少額でも掠め取ろうと謀略を練る者、端から関心がない者…。
莫大な遺産への欲望に差はあるものの、5人は遠い夏の記憶を手繰り寄せる。

***

著者初の本格ミステリ!などと銘打ってはいますが本作は本格ミステリどころか
そもそもミステリですらない。
ミステリに失礼。
第一部最後で明かされる真相にあ然として第二部に進める手が止まったし。
ラストのご都合主義丸出し感は言葉も失くすほどだったし(何じゃこの二人?と呆気にとられた)。
だいたいがこの著者の著作は台詞がほとんどなくて地の文がみっちりで
読みづらいから(文章はうまいけど)敬遠していたのに、
ついあらすじに惹かれて手にとってしまったのが運の尽き。
タイトルの〝偽憶〟ってそういう意味?とも脱力しながら思いましたよ。。。

おすすめしません。
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〝やがて〟その日はやって来る。



少女は、魅力的な大人たちに囲まれて、大人になっていく。
すべてを包み込んで穏やかに流れていく時間と人生のきらめきを描き出す、
今、最注目の著者の最高傑作。

***

文章はふわふわと心地いいし何が言いたいのかもわかるんだけど、
それが表現しきれていなくてこちらまで伝わってこない。そんな感じの小説だった。
ひとの命をテーマに物語を描きたいんだという意志は伝わってくるんだけれど
作中でばんばんひとが死にすぎて逆に〝命〟の概念が薄っぺらいものになっている。
物語内に数行挟まれるヒロインの恋愛の話も、
なぜかそこだけ異様に温度を帯びていて唐突に感じたし全体の中で浮いていた。

かといって際立った瑕疵もないし、つまりは〝凡作〟だと思う。
内容がタイトル負けしている気がした。

おすすめも否定もしません。
ぼくたちはうたう。



かなしい時も、うれしい時も、音楽はぼくらをつないでくれる…。
6人の著者がそれぞれに描く「音楽+青春」アンソロジー。

★収録作品★

ティーンエイジ・ライオット/天野純希
ピエタ/大島真寿美
晴れた空に、ブラスが響く/風野潮
カモメたちの歌/川島誠
peacemaker 1974年の赤星祭/小路幸也
ド派手じゃなけりゃロックじゃない!/丁田政二郎

***

◆ティーンエイジ・ライオット◆

最高。ごくごく普通のエピソードを輝かせる表現力を著者が持っているので
読んでいて感心するやら笑わされるやらじんとさせられるやらのオンパレード。
作家を志す身からすれば、著者には同世代として憧れと羨ましさを感じました。。。
本編中これが自分的には最高だった。

◆ピエタ◆

特に心に残る話ではなかった(私的に)。
それにしても本編のような純文学系の話が後半に集中しているのは
バランスが悪いとしか言いようがない。
もうちょっと並びとか考えればよかったのに。。。

◆晴れた空に、ブラスが響く◆

数十年前の恋愛漫画? ベタ中のベタな展開。
そして文体は関西弁なのか標準語なのかどっちつかずな一人称。
本編中もっともハマれなかった物語。
本作は著者の別の著書のスピンオフ作品だということですが、その著書と併せて読めば
違う感想が持てたかも知れないけど。

◆カモメたちの歌/川島誠◆

こんな調子でだらだらいくのかな。。。と思いながら読んでいたら
ラストでまさかの会心の一撃。
こんなにもシンプルなのにここまでの衝撃を読者に与える物語を書けるとは、と
素直に敬服しました。
一番短いし読みやすいのでおすすめの一遍。

◆peacemaker 1974年の赤星祭◆

よくも悪くも普通。
たぶん一ヶ月ぐらい経ったら内容を忘れてるだろうと思う。
嫌いな作家さんじゃないんだけどなあ。。。

◆ド派手じゃなけりゃロックじゃない!◆

文章が苦手すぎて読み進めるのが苦痛だった。
あまり好きじゃない。
ていうか子供っぽすぎやしないか? 
やっぱりポプラ社だからなのかな。。。
あなたの気持ち、思い出探偵社が受け止めさせていただきます。



遊園地に残された一枚の写真、
撮影現場から姿を消した斬られ役――。
「思い出探偵社」が、人生の謎を解きほぐす。
乱歩賞作家が贈るハートフルストーリー。

***

↑とあるとおり、バリバリのヒューマンストーリーであるはずが
キャラクターの人間らしさが記号的で読み手にあまり伝わってこず、
一人ひとりを脳裏に思い浮かべて楽しむということも出来ずそれがちょっと残念。

ミステリとしては、地味だけどどれも手堅くまとまっていて面白い。
急速な物語展開についていけない部分も若干あったけどまあ許容範囲内。

ちなみに本作は
雨の日の来園者
大芝居を打つ男
歌声の向こう側に
思い出をなくした男
の四つからなる連作ミステリなので、タイトルが〝思い出をなくした男〟だからって
たとえば記憶を失ったある男の数奇な人生を追う壮大なミステリ、というわけではないので
誤解なきよう。。。

著者には失礼だけど、こういう題材のものは
たとえば加藤実秋氏なんかに書かせれば輝くんじゃないかと思う。

でもまあおすすめ。
作中にやたら伏線が張られていたから続編もあり得るかもな、これは。。。

いられると。



もどりたい。いちばん美しい季節の光あふれる世界へ。
幼なじみの美奈子と美耶。11歳の夏、美耶の「ある能力」が
ふたりの「特別」な関係に深い影を落とす…。
純粋な想いが奇跡をよぶ、「絆」の物語。

***

本作を学生のころに読んでいれば純粋に感動できたのだろうと思う。
大人になってしまった今読むと、ポエティックに過ぎる表現やストレートなメッセージを
こそばゆく感じてしまいどうしても物語世界に入っていけず、客観的に見てしまった。
結果そこまでの感動は得られず(文章力の確かな作家さんなので、
ところどころぞっとするほどの表現がありそれに身を委ねるのは気分がよかったけれど)。
最終章では〝すごいよ!! マサルさん〟の
「ふぁいと!」(プルプル)
「老いてる――!!」
を思い出して笑うところじゃ全然ないのに笑ってしまった私を許してくださいルカさん。。。

高校生のときとかに読みたかったな。
まだ友情が不変のものとして自分の中に根付いていたころに戻って。

それぞれの闇を。



誰が嘘を吐いている?
幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。
それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます――!
全てはタイムカプセルにとじ込めた――はずだった。
第56回江戸川乱歩賞受賞作。

***

よく言えばシンプル、悪く言えば幼稚。
文章はうまいけど表現に幅がなく、物語の構成も稚拙。
冒頭は面白くぐいと惹き込まれるものの、読んでいるうちに次第に退屈に。
とっくに時効を迎えているエピソードがメインであることもつまらなさに一役買っていた。
ほんと最近の乱歩賞は昔と比べてかなり質が落ちていると思う。
昔から〝ペンネームと作品タイトルがその著者の実力を表す〟と言うけど、
本作の元々のタイトルが〝再会のタイムカプセル〟だったことを鑑みれば
中身には期待できないということにもっと早く気付くべきだった(ペンネームも微妙だし←本名
だったらごめんなさい)。

乱歩賞に8年応募し続けた著者の根性には敬服するけどあまりおすすめはしません。



newnumb.jpg









光の中にひきこもる。



自動車事故で、片足を切断する大怪我を負った女優の叶世久美子。
偶然、現場に駆けつけたデザイナーの相良郁哉は、その後、彼女の義足を作ることになる。
しだいに心を通わせていく二人は、それぞれの人生の中で見失っていた
「愛」を取り戻そうとするが…。
平野啓一郎が描く、愛のかたち。

***

よくも悪くも普通の小説。
タイトルが大仰な割に中身は平凡。
ていうか全体を通して〝かたちだけの愛〟が出てきたことがあったっけ? ごく普通の男女の
(それぞれの職業は特殊だけど)ありふれた恋物語じゃないか、と思ってしまった。
主人公が義足をデザインする過程も、期待していたほど緻密な描写はなく
「主人公があんなに(義足デザインに)燃えてた前半はいったい何だったんだ?」という感じ。
元妻との結婚の失敗も、そんな設定なくてもいいんじゃ?と思ったし(幼児期の母親への不信が
イコールで奥さんへの不信と被ったせいで離婚したのかと思ったけどそういう描写もないし)。

今までの平野作品の中では凡庸に思う。
次回に期待。
ただ細かい点に眼をつぶれば物語展開は面白く一気に読めた。

まあおすすめかな。

答えを。



東野圭吾氏の単行本未刊行作品を一挙に集めて文庫オリジナルで(ゼイタクに)刊行! 
単なる蔵出しではなく、著者自身のアイデアによる大幅な改稿によって、あの「バブル時代」を
改めて振り返る作品集として、見事に生まれ変わっています。
あの頃のあなたに出会えるかも? 全8編。

★収録作品★

 シャレードがいっぱい
 レイコと玲子 
 再生魔術の女
 さよなら『お父さん』
 名探偵退場 
 女も虎も
 眠りたい死にたくない
 二十年目の約束

***

◆シャレードがいっぱい◆

本作で〝シャレード〟の意味を初めて知った。
トリックはシンプルながらも大胆で、これぞ東野!といった感じ。
若書きなのか、伏線の張り方がちょっと陳腐であからさまだった。

◆レイコと玲子◆ 

話自体はありふれている。
でも最後の一行には斬新さと恐怖と感じた。
多重人格ネタの新しい魅せ方を心得ているなーと感心。

◆再生魔術の女◆

ある意味殺されるより怖いよな、心を破壊されるって。。。
言葉だけでひとは殺せると思う。
面白かった。

◆さよなら『お父さん』◆

映画化・ドラマ化もされた〝秘密〟のプロトタイプ。
ここから話をあんなに広げたのか東野氏は。。。と感銘を受けることしきり。

◆名探偵退場◆ 

探偵という過去の遺物(私はそうは思っていませんが)を茶化してるのかと思いきや、
ラストでほろっとさせる物語。
タイトルもいいです。

◆女も虎も◆

昔からあるリドルストーリーを少し捻った物語。
シンプルだけど面白い。

◆眠りたい死にたくない◆

ラストがありがち。物語もそこまで面白いとは思えず。

◆二十年目の約束◆

これもありがちな話。
登場人物の二人の男、子供時代にあんなことがあったからってそこまで頑なになるもの?
ちょっとリアリティが感じられない内容だった。
僕はここにいるよ。



直径二十センチほどの透明な球状のディスプレイにシミュレーションされた「宇宙モデル」。
かつて世間で流行し、今はすっかり廃れてしまった「それ」の開発に携わっていた“僕”は、
様々なことに絶望し、会社も辞めた。
そして、初めて作った「宇宙モデル」を捨てようとした時、“僕”の前に一人の少女が現れた――。

***

デビュー作を含む前作二作より格段に(もともとうまい)文章がうまくなっている。
文章表現のテキストとして大いに活用させてもらった。
ただ、内容はというとあのデビュー作にして名作〝エレGY〟を超せていない。
全体的に何が言いたいのかよくわからない物語だった。
二作目〝spica〟に比べれば登場人物が魅力的になってはいるけど。
どちらかというとエンタメ小説というより〝純文学〟って言ったほうがカテゴリ的には近いのかな。
主人公の心理描写も非常に詳細かつ巧みだし。

それにしても「宇宙を育てる」って話、ドラえもんにもなかったっけ(「台風の子を育てる」
っていうのは確実にあったって記憶があるけど)。

個人的に〝spica〟よりはおすすめ。
これから泉和良を読むひとは、〝spica〟→本作→〝エレGY〟の順に
読むことをおすすめします。
一緒に。


 

髪はピンク。眉や睫毛までもがピンク。そして虚言癖のある元・彼女――遙香。
でも、彼女との“別れ”なんかより、遙かに苦しくて、辛くて、最低最悪なことがある…それは、
「続く」。
恋愛は甘くて音楽のように心地の良いものだと思っているやつがいたら死ね。
ファッキンラブ!
デビュー作『エレGY』にてあの乙一、滝本竜彦をうならせた疾走感が
“恋愛小説”を新たな次元に押し上げる!
かつて恋愛した人、今恋愛してる人、そしてこれから恋愛する人に泉和良が贈る、
とびきりのラブストーリー。

***

まずヒロインが気に入らない。
なーにが〝ドンサのムハ〟(ハムのサンドのこと)だ、といちいちケッと思いながら読んでいた。
私は変わっている人が好きだけど、いくら好きでもその〝変〟の方向性ってものがある。
このヒロインの〝変〟は私には受け付けなかった。
優柔不断もいいところだし。虚言癖があると言ったってそれも言い訳の粋を出ないし。
主人公の男も女々しいし。

そりゃ確かに〝分かりすぎるほどに分かり合えたカップルは離れがたい〟
っていうのは同意できるし認めるけど、本作のカップルに於いてはそれがやたら鬱陶しい。
(主人公ただのパシリだし)

デビュー作〝エレGY〟の感動はどこ行っちゃったんだろう?
期待大だっただけに肩透かしを食らった気分。
しかも私事だけど本をペットの鳥が齧っちゃって図書館に弁償するハメに。
どうせならもっといい本を弁償して齧られたほうを自分のものにしたかった。。。

本作で唯一好きなのはコンビニのにいちゃんだけです。

まあでも、片思い真っ只中のひとにはおすすめ、かな。

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自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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