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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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その間違いが、でも愛らしいぞ?



ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。
記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と僕は思う。
自分が誰だってどうでもいい…のに、正彦が僕を弟にする。
それからヒトとしての生活にようやく馴れてきたところに蛇に乗る少女楡が現れ、
僕を殺人現場に誘う。冒険が始まる。
失踪した父親。地下密室。獣の大革命。そして恋。
混乱と騒動の中、僕は暗い森を駆ける駆ける駆け抜けていく。
舞城王太郎が講談社ノベルスに舞い戻り投下する、新しい小説。

***

荒唐無稽・ハチャメチャシュールは舞城氏のお家芸みたいなものなのですが、
今回ばかりはついていくのに苦労した。
本作よりずっと登場人物も多くて長くて込み入った内容の〝ディスコ探偵水曜日〟は
面白く読めたんだけどなあ。。。

あ、ちなみに本作は〝SPEEDBOY!〟〝山ん中の獅見朋成雄〟の流れを汲む
物語なので、先に上記二作を読んでおくことをおすすめします。
(ていうかナルオシリーズいつまでやるんだろう舞城氏。。。よっぽど気に入ってるのか?)

いっそ絵本か童話にすればほどよく違和感のない内容になるんだろうか?
(絵本とか童話ってヘタな小説よりすっとんきょうな設定がごく普通に出てきたりするので)

上記のあらすじを読んで引いたひとor「これほんとに面白いのか?」と思ったひとには
おすすめしません。マジでこのあらすじのまんまだから。
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いいものを見せてあげようか。



殺意の矛先は犬や猫、そして人間へ――。
小さな地方都市を震撼させる事件の容疑者は、県警本部長も務めた元警察官僚・最上倉太朗!
“共感覚”美少女探偵・音宮美夜は妙な出会い方をした高校生・城之内愛澄とともに
捜査を開始する。だが最上は「私は音宮くんを殺したい」と宣戦布告!
狙われた探偵は、裏を知り尽くした男を追い詰められるか。

***

キョウカンカク〟シリーズ第二弾。

気付いたこと↓
●前回より文章が下手になっている(デビュー作はさんざん吟味してから応募するため
レベルが高いがいきなり書かされる次回作はちょっと。。。ということは本作に限らず多いけど)。
●ラスボスが迫力に欠ける(たいそうな肩書きの割に)。
●視点の混乱。語り部ころころ変わりすぎ。

でも
●真相がしょぼい。
。。。と思いきや、最初はともかくそれから次々と明かされる新事実に
「えっ?」「ああっ!?」「そうだったのか!!!」と気付いたらのめり込んでいる自分がいた。
メフィスト賞出身作家の真骨頂をここに見た気がした。
要するに楽しかった。
(まあミステリとして捉えると納得いかない部分も多いけど。。。)

これから読むよという人は、深く考えず純粋に楽しみましょう。
まあちょっと切ないところもあるけど。

それにしても探偵・音宮美夜、どんどん魅力が増してくなー。
今後が非常に楽しみです。

あ、でも
●西尾維新氏に文体がちょっと似てる。
はやめてほしいかも。たぶん偶然じゃないと思うので。
早く私を見つけ出して。
誰かが私を見つけ出す前に。




1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、
ちょうど同じように。

そこは世界にただひとつの完結した場所だった。
どこまでも孤立しながら、孤独に染まることのない場所だった。

***

1&2だけでよかったんじゃ?
というのが率直な感想。
一見進んでいるようで遅々として進まないストーリー、どんどん現実離れしていく展開、
饒舌に過ぎる文章(というか本作自体が冗長だった。つまり〝要らない〟)。。。

本シリーズにはずっと物語の端々(いや、全体かな)に著者の村上氏の息遣いを感じたので、
終盤で彼が物語内に一瞬だけ姿を現してくれた(リトル・ピープルのくだり)のは嬉しかったけど、
とにかく内容に興味を惹かれず読み進めるのに1&2を合わせたより時間がかかった。
そしてシリアスな局面(葬式のシーン、拷問のシーンetc.。。。)に於いても
この期に及んでまだのん気にポエムみたいな喋り方をする登場人物についていけず(というか
村上春樹節はもともと受け付けない)。
オチは映画〝ミラーズ〟とかぶってるし。

もしこれが何かの新人賞受賞作だとか言うならかなりの高評価をしたところですが、
村上氏のような大ベテランがわざわざ書くようなものではなかった。と思う。
要は〝パラレルワールド・ラブストーリー〟だし(東野圭吾氏の著作にそんなタイトルのがあったな
そういえば)。

私の中では〝1Q84〟は前二作で完結したことにします。。。


追記:
前に〝ザ!世界仰天ニュース〟で
幼いころ別れ別れになり十数年以上にわたる紆余曲折の末
ようやく再会し結婚した〝運命の恋人〟の話(実話)を取り上げていたのですが、
ラスト間際で鶴瓶が
「実はな、このあとこの二人。。。」

離婚したらしい。

所詮現実は幻想には勝てないか。
(中居が「わー聞きたくない聞きたくない!」と耳を塞いでいたのが印象的だった。。。笑)

何か本作の青豆と天吾にもそういうオチがこの後待ち構えてそうで虚しい。。。

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彼らに大人の言葉は通じない。



思慮深かった中学二年の息子・優馬がマンションから飛び降り、自殺を遂げた。
動機を見出せなかった父親の青木は、真相を追うべく、同級生たちに話を聞き始めるが…。
“子供の論理”を身にまとい、決して本心を明かさない子供たち。
そして、さらに同級生が一人、また一人とビルから身を投げた。
「14歳」という年代特有の不可解な少年の世界と心理をあぶり出し、衝撃の真相へと読者を導く、
気鋭による力作長編ミステリー。

***

あらすじが面白そうで読んでみたのですが、
オチはすぐわかる、
主人公である死んだ少年の父親・青木の行動がワンパターン、
ラストで明かされる真相に説得力がまるでなし、
序盤は手に汗握らんばかりの面白さなのに読み進めるごとにダレてくる、と
あまりいいことのなかった本作。
本書が発売された14年前といえば私も物語に登場する少年たちと同世代でしたが、
こんな大人びまくった同級生いなかったよ(中二病ならたくさんいたけど)。。。
主人公とその妻の思考回路も何か変だし。
「何でそんなことに気付かない?」「親ならもっとショック受けない?」
といちいち突っ込んでしまった。
特に気になったのが、自分の子供が死んだにも関わらずほかの子供の幸せを普通に喜べる
その(悪い意味での)大らかさ。普通なら自分の子供と比べて哀しみなり怒りなり嫉妬なり
感じるだろうに。あまりに青木夫妻さわやかすぎ。のん気すぎ。(これも悪い意味で)いい人すぎ。
そのせいで物語全体が何だかペラい印象に。

面白いかどうかと聞かれればまあまあ面白いのですが、
本を読むことで何かを得ようという信念で読書するひとには向きません。

こう言っちゃなんだけど貫井氏の著作は当たりはずれがあまりにでかすぎる。。。
永遠に青春の場所だった。



芥川賞作家が描く、オンボロアパート物語。
木造二階建て、屋上には一本の白い旗。
まるで“人生の降参者”が集うかのようなここ「白旗アパート」では、
今日も誰かが青春の落とし前をつけている……はず!?

★収録作品★
 
 哀愁のサンサローサ
 東京モノレール
 あなたの馬になりたい
 満里奈のこんにゃく
 青春の落とし前
 虫どもの一夜

***

明日をも知れぬ身でそれでも明るく生きていく一つ屋根の下の男どもの物語なら、
I LOVE YOU〟というアンソロジーに収録されている中村航氏の〝突き抜けろ〟のほうが
よっぽどおすすめ。

本作も、〝東京モノレール〟と〝あなたの馬になりたい〟はよかったけど
それ以外は総じてキャラ立ちもなく、ストーリーも興味を惹かれるほどのものでなく、
中盤からは惰性で読んでしまっていた(フトシの北海道弁は懐かしかったけど。
ていうか何でフトシだけ北海道弁?←だらだら読んでいたので見落としている可能性あり)。
特に一番最後の数行、著者が突然物語世界に登場して蛇足を付け足していったって感じで、
もしこの数行がなければ本作は私にとって秀作足りえたのに、とちょっと歯がゆい。

〝突き抜けろ〟と読み比べると面白い、という意地の悪い意味でおすすめです。
人間って何なの?



物語には生をもたらすキスと、死を招くキスがある。
青春、恋愛、セックス、暴力、家族。
みんなカナグリ生きている。

痛く切なく暖かい。舞城小説の結晶。
文学の世界に舞い降りた、その男は天使か悪魔か。
舞城王太郎が描く、新・文学!

★収録作品★

 イキルキス
 鼻クソご飯
 パッキャラ魔道

***

スキトキメキトキス♪(すいません何でもないです。。。ていうか年齢バレるなこれ)

ていうか表題作〝イキルキス〟のニュータイプSIDSの理論面白かったー!
確かに老若男女問わず皆の精神が軒並み低年齢化している昨今、
基本ファンタジーでありながらもこういうことが本当にあってもおかしくないと思える
ほどほどのリアリティがいい。好き。

でも本作中で一番好きなのは〝鼻クソご飯〟かな。
これが一番テーマも内容も簡潔にまとまっている気がした(〝パッキャラ魔道〟は
ちょっと展開急ぎすぎな感が)。

あーそれにしても舞城氏、ノミネートはされるのに芥川賞獲らないなあ。
そんなものただの肩書きに過ぎないとわかってはいてもやっぱり好きだから獲ってほしい。
(選考委員の○原■太郎が最大のネックなんだよな。。。いい加減若い感性を認めろよ、
自分だって若いときすごい小説書いてるくせにさ。。。)

おすすめです。

心音が聴こえる。
気配を感じる。



10年前の約束を果たすためNYから帰国した青年と、母を失った名家の少年。
ふたりが出会うとき浮かび上がる、意外な構図と清冽な余韻。
「暗闇」の中から帰還した青年の、約束と再会の物語。

***

ミステリ・フロンティアから出ているにも関わらず、ミステリパートは大したことないです。
物語としてもそこまで惹き込まれるものはない。
すべてはあくまで淡々と過ぎていきます。
それでも何度も読んでしまうのは、ラストの切なさを何度でも味わいたいから。
初めてラストを読んだときには、切なすぎて「うっ」とか呻いてしまった。
(FF某シリーズに激似ですがそれでもかまわない)

本作にひと言言いたいのは、
主人公と、行方不明になってしまった主人公の想い人・ヤオとの学生時代のエピソードを
もっと書いてほしかったということ。そこのところの描写がほとんどないから
終盤もあまり感動できないんだよな。

主人公と学生以来の友人・メグリヤとの友情パートはけっこう好きです。

切ない気分を味わいたいひとにはおすすめ。
続編も出てます(こちらはおすすめしませんが)。
醒めるまではわからない。



長男の腎臓移植手術を待ちわびる、型破りで個性的な家族の面々、
彼らの周囲で蠢く謎の臓器ブローカー、
カルト宗教の信者とその教祖、
常軌を逸した行動に出る奇岩マニア、
圧倒的な精度を誇る事故予測ソフト“トリンキュロー”、
そして誰もが必死の形相で追い求める「フロストハート」とは。
日本ホラー小説大賞長編賞受賞第一作。

***

何だかテレビ放映用に二時間に短縮した三時間の映画のような。。。
物語の展開が急すぎてついていくのが大変だった。
デビュー作が〝植物の不思議な力〟がテーマだとしたら本作は〝石の不思議な力〟で
大して変わらないし。。。
正直あまり面白くはなかったです。

モラルぎりぎりの人間描写は相変わらず絶妙で楽しかったですが。
(私も「弱い者は淘汰されるべき」説には賛成だったりするし。。。)
登場人物が皆うさんくさくて誰を信じていいのかわからないスリルもそのまま。
ただ、主人公の姉のエピソードを初め、尻切れトンボというか詰め込みすぎ感があったのは
否めませんが。もっと焦点を絞って書くべきだったんじゃないかと僭越ながら思う。

デビュー作〝夏の滴〟は本当に面白いです。
先に本作を読んでからそっちを読むのが最適かも。
罰の紙、引くよ。



則文は、またあのおばさんに出くわすかもしれないと思うと、
それだけで冷や汗がにじんでしまう。
しかし、おびえているのは、本当はあのおばさんの方だった…。
「言いません」他、平穏な日常が歪みはじめる傑作短篇集。

★収録作品★

 言いません
 ガラス
 罰ゲーム
 ヒッチハイク
 かかってる?
 嘘だろ
 言いなさい

***

〝世にも奇妙な物語〟好きにはおすすめしたい作品。
実際、本書収録〝罰ゲーム〟なんかは観月ありさ主演でドラマ化されてたし。
ちょっとオチがかぶってる話や盛り上がりに欠ける話も収録されてますが、
さらっと読むぶんには最適な一冊。

ちなみに本作はホラーですが、お化けは一切出てきません。
人間が怖い物語です。個人的にはそういうの一番好きです。
特に〝嘘だろ〟が面白かった。これもいつか〝世にも~〟でドラマ化してくれないかな。

そして未だ行方不明らしい著者の多島さん、無事帰ってきて。
子供から大人になるための儀式。



僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。
甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説――と思いきや、
最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

***

数年前、ミステリ小説を読み始めたばかりの自分にはオチの意味がわからなくて
「え? 何これ? ただの恋愛小説じゃん」
としか思わなかったものです(恥ずかしながら。。。)。

気付かないひとにはラブストーリー、気付いたひとにはミステリと、
読む人間によって姿を変えるのが本作の面白いところ。
今回再読してみて、そのシンプルながらも巧妙な伏線に
「なるほどねえー」とにやにやさせられてしまった。楽しかった。

本作発売当時にも言われていたことですが、この小説は二度読み返すことをおすすめします。

いやそれにしても。。。女って怖いな。
そして人と人の絆なんてはかないな。
そしてある伏線(タック)を張りたいがためだけに時代設定を80年代にしてしまった著者は
いろんな意味ですごいな。。。

今自分のしている恋愛は永遠だ、
と考えているひとにおすすめです(←意地悪いですが)。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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