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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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僕ってそんなにお人好しですか?



人の頼みを断れないお人好し青年・白戸修。いつも事件に巻き込まれる彼は、
「No!」と言えない草食系男子!? 
クスッと笑えて、ほろっと泣けるハートウォーミングなミステリー。
『小説推理』などの掲載作品を単行本化。

★収録作品★

 ウォールアート 
 ベストスタッフ 
 タップ 
 ラリー 
 ベストスタッフ2 オリキ

***

前作〝ツール&ストール〟に比べて、主人公のお人好しっぷりに拍車がかかってて
笑った。
でも正直個性はそれだけ。
同じドタバタ系ミステリなら、加藤実秋氏の〝インディゴの夜〟シリーズのほうが
キャラの立ち具合も文章の軽妙さも格段に上だと思う。
本作はどこか華がないというか。。。
本作最終話〝オリキ〟も、調べたこと丸写しって感じだったし。。。

もっと個性的なサブキャラとか出してくれれば楽しくなるのに。

とかいろいろ書いたけどまあまあ面白いです。
本書の値段はあり得ないけど。。。
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聞こえる?



青森で農業をする陽人は、東京から来た幼稚園の先生・町子に恋をする。
その一途な恋心は、やがて大きな奇跡を生んでいく! 
究極の片思いが起こすミラクルいっぱいのハッピーファンタジー。
2009年6月公開同名映画の原作。

***

本作が面白いかどうかは、
タイトルが示すとおりの〝ウルトラミラクル〟な設定を読者が受け入れられるかどうかに
かかっている。
現実離れしていない普通のラブストーリーが読みたいひとには
この物語はおすすめできない。

まあそういうのを差し引いても、
何で町子先生がああも唐突に陽人に惹かれていったのか、
ラストで何の伏線もなく唐突にクマが現れたのか、
と、腑に落ちない点は多いんだけど。

エンターテインメントとしては面白さに欠け、
純文学としては若干筆力が足りない、
率直に言ってどっちつかずの、何が言いたいのかわからない内容だった。

先日本作の映画版を借りてきたのでそれを観てまたレビューを書くとします。
(それにしても最近若手女性監督増えたよな。西川美和然り、(こっちは舞台じゃないけど)
本谷有希子然り。かっこいいわー)



追記:
映画観ました。
津軽弁聞き取れねえ~!(特に松ケン)
そして原作を読んでなきゃまず理解できないだろう内容。
これなら小説のほうがいいな。。。

理解できなくていい。
ただ許容して。




人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は
美しい女性型アンドロイドと出会う。
戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、
ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。
アイビスの真意は何か? なぜマシンは地球を支配するのか?
彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた――。
機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。

***

頭脳や科学力・戦闘力が人間を超え敵対化する、
そんなロボット話は映画・小説問わず数あれど、
精神的に人間を超えてしまったロボットの話というのはあまりお眼にかかったことがない。
だから本作は新鮮だった。

理屈じゃなく本能的に「敵わない」、そう思ってしまったとき、
人間は生態系ピラミッドの頂点から降りることになるんだろう。
若干の不満・恐怖・屈辱と、けれどそれ以上に大きな安堵に包まれて。
この物語を読んでそう思った。

ていうか本作、普通に短編集にしておいたほうが面白かったんじゃ?
アンドロイドが人間の少年にそれぞれの短編を語って聞かせるというスタンスは、
無理やり長編に仕立て上げたようで読んでいて違和感があった。
一話一話が個性に富んでいて面白いぶん余計に。

まあ、表題作〝アイの物語〟のロボット同士の会話には頭爆発しそうになったけど。

<私はVIL0を警戒し、嫌悪する(5+1i)>
<タヌードで同意。マスターたちはネーベルフェラーだが、血液王の人々は
高い確率でグラーギのドラムを打つだろう>

↑こんなん。
ちょっとしか出てこないなら雰囲気だけ読み取って楽しめるけど、
これが延々数十ページ続いたのにはさすがに参った。

そこさえなければまあまあの良作です。

ていうか蛇足だけど作中に出てくる会社名〝ジオダイン〟に
ゲームの〝ペルソナ〟思い出してしまった。。。
カミナリ系の最強魔法(知らないひとごめんなさい)。。。

あさっての話をしよう。 



東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。
ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、
一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。
友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく
14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。

★収録作品★
 
 びっくりプレゼント
 月の草
 飛ぶ少年
 十四歳の情事
 大華火の夜に
 ぼくたちがセックスについて話すこと
 空色の自転車
 十五歳への旅

***

普通とは異なる価値観・世界観を提示して読者に違和感を感じさせない、
そういうのが本当の優れた小説だと思うのですが、本作はまさにその〝本当〟を
感じさせる作品だった。
正直石田衣良さんの書く恋愛小説は受け付けないんだけど、
〝池袋ウエストゲートパーク〟を初め、若者の活躍するストーリーを書かせたら
この人は本当にうまいと思う。本作も読んでいて素直にすごいと思えた。
登場人物皆が抱える暗黒の部分をここまであっけらかんと、でも決して薄っぺらでも軽くもなく
描き切れる才能は貴重だと思う。

この四人の少年たちの友情が何十年先にも揺らぐことなく続いていることを願う。
願うまでもなく余裕で大丈夫だろうけど。

おすすめです。
別れは近い。



近代日本美術の父・岡倉天心の直筆画が発見された!?
「筆を持たない芸術家」と呼ばれた天心の実作はきわめてまれだが、
神永はズバリ、破格の値をつけた。果たして本当に天心の作なのか。

★収録作品★

 天才までの距離
 文庫本今昔
 マリーさんの時計
 どちらが属国
 レンブラント光線

***

神永美有シリーズ第二段。
文章が読みにくいのは相変わらず。。。
正直本作を読むんだったら、〝ギャラリーフェイク〟のほうがよっぽどおすすめ。
やっぱり文章で美術を味わうっていうのは難しいことなんだなと本作を読んで改めて思った。
&各話ともワンパターン過ぎ。少しは趣向を変えてみてほしい。

今回はシリーズ前回よりも主人公・佐々木の心情が細かく描写されていて、
その点だけは面白かった。

神永の共感覚(本物の絵を見るとベロに甘い味覚を感じる)をもっと内容に活かせば
ずっと面白くなるのにと思う。

ray.jpg








仮令(たとえ)それが、どこへ続くのか、分からなかったとしても。



大学生らが集い吹雪の山荘で行った“探偵ゲーム”。
余興のつもりが、翌朝現実の刺殺死体が発見されて事態は一変した。
現場の不可解な錠の開閉は何を意味するのか。
五十年前に起きた探偵小説家の惨殺事件との暗合は。
ヴィッキーという仇名を持つチャーミングな女子高校生が圧倒的活躍を魅せる
メフィスト賞受賞作。

***

おもんなかった(面白くなかった)。
タイトルと内容に何の関係があるのかも不明。
主人公(ヒロイン)はまずヴィッキーってニックネームからしてダサいし、
トリックもストーリーも読んだそばから忘れていく。
そして何より犯行動機。「自業自得じゃん」と思わず心中で呟いた。
こういう、自業自得でバカをやる人間をヒロインは一番嫌ってそうなものなのに、
この犯人に限っては許してしまう、その矛盾ぶりにもイラっときた。
数十年前の女性画家に纏わる悲劇も、本筋とちょいちょいちょい絡んでくる割に
全然印象に残らないし。

同じ〝殺人者の罪を赦す〟展開でも、
乙一氏の〝GOTH〟は違和感ないのに本作は違和感あるのは何でだろう。
やっぱり筆力・キャラの魅力の問題だろうか。
事故や病気で障害を抱えることになった人間の誰もが死ぬ思いでやっているリハビリを、
「お遊戯みたいで楽しい」なんて軽く言えちゃうキャラに感情移入しろというほうが無理だ。

もうお会いする機会はないでしょうね。さようなら、ヴィッキーちゃん(本作254Pへの返答)。
もう止まらない。



推理小説家志望の氷川透は久々にバンド仲間と再会した。が、
散会後に外で別れたはずのリーダーが地下鉄の駅構内で撲殺された。
現場/人の出入りなしの閉鎖空間。
容疑者/メンバー全員。
新展開/仲間の自殺!? 
非情の論理が唸りをあげ華麗な捻り技が立て続けに炸裂する。
島田荘司氏も瞠目する第15回メフィスト賞受賞作。

***

何がどう〝真っ暗な夜明け〟だったんだろう。。。
島田荘司さんがこれを推した? 嘘。。。
ほんのちょっとのびっくりを最後に潮が引くように終わってしまった。
メフィスト賞特有の驚愕の展開がカケラも見れず。
登場人物たちの行動の時系列を淡々と分析していくことで真実にたどり着く、
その手法はなかなかすごかったし文章力・構成力もある作家さんだと思うけど、でも。
どうにも読後もにょもにょ感が(何かすっきりというか釈然としない感じ)。
警察が探偵を持ち上げるのがいかに気持ち悪いかも本作で初めてわかった。
やっぱり警察は探偵と反目し合っているのが最良のスタンスだよなー。
唯一森博嗣氏へのオマージュ部分?は楽しませてもらった。

個人的には楽しめませんでした。
よくも悪くもなく普通の出来。
おすすめも否定もしません。
おあとがよろしいようで。



新作落語で絶大な人気を誇る若手真打ち春之家春兆が、衆人監視の高座で不可能犯罪。
さてそのトリックとは? 落語好き必読の長篇推理小説。

***

落語ミステリを書いている作家さんは数あれど、
やっぱり私の中のベストは田中啓文さんの書く笑酔亭梅寿謎解噺シリーズだなー。
本作はあまり面白いと思えなかった。
これっぽっちの事件を書くのに二段組400P弱も必要か?と思ってしまった。
出だしが面白そうだっただけに読み進めても読み進めても目新しい展開がない中~終盤には
肩透かし。

ていうか最初の一行、文法間違ってるし。。。

あまり楽しめなかった。
落語ミステリが好きな人には上記の笑酔亭梅寿謎解噺シリーズをおすすめします。
ずっとこの時を待っていた。



女性を殺し、焼却する猟奇犯罪が続く地方都市――。
幼なじみを殺され、跡追い自殺を図った高校生・甘祢山紫郎は、
“共感覚”を持つ美少女探偵・音宮美夜と出会い、ともに捜査に乗り出した。
少女の特殊能力で、殺人鬼を追い詰められるのか?
二人を待ち受ける“凶感覚”の世界とは?
第43回メフィスト賞受賞作。

***

デスノートと西尾維新氏の影響は多分に受けているだろう作風。
展開がある程度読めてしまえたりもする。

でも面白かった!
やっぱりメフィスト賞受賞作は最高だー(一部除く)。

ワトソン役が多少ウザいけど探偵の美夜が非常に魅力的なので相殺。
最終章で真実が明かされたときも普通に「えっそうだったの?!」と驚いたし(玲も共感覚の
持ち主
だということには割りと早い段階で気づいてしまったけど、動機までは読めなかった。
ていうかこんなのが犯人だったら警察は絶対捕まえられないだろ)。

漫画〝寄生獣〟を読んでから読むとより楽しむことが(ちょっとだけ)出来るかも。

おすすめです。
今日発売の文庫です。



拙作〝NOW ON FAKE!〟が収録されているので
お暇の際は是非手にとってやってください。
今まで本に掲載してもらった中で一番好きな物語です。
内容を膨らませて短編まで書いてしまったぐらいです。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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