十一月七日、水曜日。女子大生の藍は、秋のその一日を、何度も繰り返している。
毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、
再び十一月七日が始まる。
彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。
この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか――。
まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる精緻な文体。
心地良さに導かれて読み進んでいくと、思いもかけない物語の激流に巻き込まれ、
気付いた時には一人取り残されている――。
★収録作品★
秋の牢獄
神国没落
幻は夜に成長する
***
やっぱり恒川氏はすごいです。
図書館で借りた氏のデビュー作〝夜市〟であまりに心を揺さぶられ単行本まで購入し、
続く二作目〝雷の季節の終わりに〟では夜市の二番煎じか、と軽く失望した私ですが、
本作でまたもやしてやられました。
この作家さんは文体的にも物語的にも長編じゃなく短編のほうが向いてるのかもしれない。
登場人物のものの考え方や世界観が明らかに現実から外れているのに
それにまったく違和感を抱かせない、そんな不思議な作風と筆力は乙一氏に通ずるものがある。
なので片方の作家が好きな人はもう片方も好きなんじゃないかな。
以前読んだ小説に
「作家には二種類ある。経験したことしか書けない作家と、
経験していないことでも想像で書ける作家だ」
というような言葉がありましたが、恒川氏は明らかに後者。それでいて
「いやこれ絶対作者の体験談だろ」と訝りたくなるほどのリアリティ溢れる描写は本当にすごい。
たまに読んでいて「この人の頭の中どうなってるのか覗いてみたい」と思わせる作家がいるけど、
この著者も紛れもなくその一人。
残念ながら本作が私の中で〝夜市〟を超えることはなかったけど、なかなかの傑作短編集です。
表題作〝秋の牢獄〟のラスト一行なんて鳥肌もの。
なので(ベタだけど)これからちょうど秋も来ることだし、是非一度手にとってみてください。
ちなみに〝同じ一日を繰り返してしまう〟というリピートものが好きな人は
↓もおすすめ(本作に比べて内容が軽い上に出てくる人間全員が身勝手でむかつきますが
話としてはまあまあ面白いです)
北村薫氏の〝ターン〟はあれもリピートものだけど。。。
文体が生理的に肌に合わず数ページ読んだ時点で挫折しました。
なのでもし最後まで読んだ人がいたら感想教えてください。
(大昔に古本で買ったのでがんばって読みます笑)
存在を秘匿された組織、市ヶ谷・防衛庁情報局で過酷な任務に身を投じる
工作員の男たち、女たち…。
「いまできる最善のこと」「畳算」「サクラ」等、全6編を収録した初短篇集。
★収録作品★
いまできる最善のこと
畳算
サクラ
媽媽(マーマー)
断ち切る
920を待ちながら
***
直木賞候補にもなった福井氏初短編集。
上下巻組の大長編を執筆することが主な彼の、短編ならではの魅力を堪能することができます。
(とはいえ〝断ち切る〟は〝媽媽〟の後日談だし、〝920を待ちながら〟は
同著者の某長編と主人公がかぶっていたりするので、正確には連作といったほうが
いいのかもしれませんが)
福井氏の長編は〝暗い過去を抱え心を閉ざした青年の心をうだつのあがらない中年主人公が
行動を共にしていくうちに徐々に開いていく〟というパターンが多いですが、
この短編集はそのマンネリパターンを(一話をのぞいて)見事に一掃しているので、
長編モノしか読んだことのない人でも新鮮に読むことができるはず。
ちなみに私的には〝媽媽〟が本作中で一番琴線に触れた物語なのですが、
ヒロインの性格が自己中で軽くメスっ気(汚い言葉ですいません)が強くて
どうしても好きになれずそれだけが残念。
それ以外の主人公はほぼ皆好印象なのですが。
福井作品の入門書としてor〝亡国のイージス〟ファンにおすすめの一冊です。
因みに蛇足ですが、上記で紹介した文庫版じゃなくハードカバーのほうが
表紙も帯も無茶苦茶かっこいいです。
なので私は敢えてそっちを買ってしまった。
本作と〝亡国のイージス〟の時間軸的にちょうど中間になる物語↓
もおすすめ(福井氏原作のマンガですが)。
私の憧れの女性だった家庭教師の彩子さんが自殺!?
後悔なんかするもんか。岡本佳奈子、16歳、真面目で平凡な女子高生。そして――。
家庭教師の謎の死+ザ・ゾンビーズ+憎むべき敵+赤い車=初めての冒険!
註:本作を読まれる前(or後)に、必ず↓収録の〝永遠の円環〟をお読みください。
***
ゾンビーズ・シリーズはやっぱり面白い!
ノリのいい作品ていうのは得てして中身が薄っぺらい場合が多いですが、
金城氏の著作は別。
ものすごいライトタッチで書かれているにも関わらず、笑いや泣きのツボをしっかり押さえてくるから
読み終えたあとに単に爽快感を感じるだけじゃなくいつまでも内容が心に残ってるんだよな。
今回はゾンビーズの中では朴舜臣よりアギーや南方のほうが目立っててちょっと残念だったけど、
語り部のヒロインが平凡ながらもすごく魅力的な女の子なので満足。
男性作家の書く女ってどうにもニセモノくさくなりがちであまり好きじゃないんだけど、
本作主人公の佳奈子はかなりかわいかっこよくて好きです。
ラストの皆で駆け出すシーンでの佳奈子のある〝悔しさ〟も、同じ女としてすごくわかって
なんか涙出そうになった。
思わず宇多田ヒカルの〝You Make Me Want To Be A Man〟↓を口ずさんでしまった。
あなたは私を「男になりたい」と思わせる♪
それにしても、出てくるキャラ皆が皆魅力的な小説って稀だよなー。
すごくオススメの一冊です。
できればゾンビーズシリーズは順番どおりに読んでほしいので、
興味ある人にはまず下記の二つを先に手にとってもらいたいなー。
ぼく花山仁は迷宮入り事件を捜査する特捜班に配属された。
憧れの刑事になれたと喜んだのも束の間、他のメンバーを知って愕然とする。
囮捜査で左遷された前泊ナナ、定年間近の久保主任…。要は警視庁のお荷物軍団なのだ。
極めつけは波田煌子とかいう犯罪心理分析官。
野暮な容姿と惚けた言動。プロファイルはおろか心理学についての知識さえ覚束ない。
「エレベーターガール生首ゴロリ事件」「プロ野球スモール人形殺人事件」など、
立ちはだかる七つの難事件をぼくらは解決できるのか。
★収録作品★
涙の赤い薔薇
涙の冷蔵庫殺人
涙の海岸物語
涙のエレベーターガール
涙の少女人形
涙のクニタチーゼ
涙のサヨナラホームラン
***
〝なみだ研究所へようこそ!〟の続編。
心療クリニックから警察へと場を変えて、波田煌子がまたしても大活躍です。
。。。が、一時期デスノート第二部でのニアの推理が「超能力推理」と揶揄されていたのと
似て、「いくらなんでもそれだけの情報でそこまでわかるわけないだろうよ」と
突っ込みたくなってしまう部分がけっこう多かったかな。
シリーズ一作目は辛うじて真っ当な推理によってたどり着ける地点に答えがあったし。
でも猟奇殺人を犯す人間の心の動きはリアルに描写されていて全部面白く読めた。
毎回時事ネタがギャグとして入るのにもくすりとできる(まあ、数年後に読み返したら
「うわ、ネタ古っ!」と思うんでしょうが。。。)。
オチが一作目と同じになるかと思いきや斜めに逸れていったのにも笑えた(一作目のラストは
正直「ケッ」と思ってしまったもので)。
天才ながらものほほんとした煌子のボケへの語り部・花山くんのツッコミも、
いささかお高くとまっていて自信過多だった一作目の語り部と比べるとほほえましいし
息も合ってるし楽しく読み進められた。
やっぱり鯨氏はこういうコメディっぽいミステリを書かせたほうが圧倒的に面白いよなー。
(前回読んだ同著者の〝MORNING GIRL〟には正直キレかけたし)
おすすめです。
因みに前もってこれ↓を読んでおくと、本作がより面白くなること請け合い。
『そのケータイはXXで』が映画化され、いまもっとも注目を浴びている気鋭の作家・上甲宣之の
『コスプレ幽霊 紅蓮女』が早くも文庫化です!
人づきあいに臆病で内気な主人公・史代の生きがいは、ちまたで有名な「紅蓮女」と呼ばれる
幽霊の変装をして、人を驚かすこと。
夜な夜な、「紅蓮女」の仮装に身を包み、怪奇スポットや自殺の名所を徘徊、
その場に居合わせた人々を怖がらせることに悦びを感じていた。
口裂け女、都市伝説パーティー、生き神信仰、呪いの手紙、電話男――
さまざまな怪奇スポットで遭遇する事件に、「紅蓮女」が立ち向かう。
(註:本作を手に取る前に、必ず上甲氏のデビュー作〝そのケータイはXXで〟↓をお読みください)
***
〝そのケータイはXXで〟は映画化されたの知ってたけど、
本作がドラマ化されてたのは知らなかったな。。。
ミステリ読みの人からは「山田○介と同種」などと(著者には失礼ですが)敬遠されがちな
作家さんですが、文体がマンガっぽいだけでかなりの筆力を持った人だと思う。
少なくとも私は好きです。
〝――っ!〟みたいなマンガ的な表現が頻発するのは、小説として違和感を覚えるというよりも
「こんな書き方しなかったらもっと緊迫感出るし感動も増すのに」と勿体無く思ってしまう。
著者がそういう筆致が好きなら仕方ないけど、もっと小説らしく物語を書けば絶対彼の評価
上がるのにな~。
少年マンガ的ノリが楽しくて一気に読み終えてしまいました。
連作短編集ではあるものの、序盤の話で張られた伏線がクライマックスで驚きの真相と共に
明かされたりと、ミステリとしてもしっかり成り立っているのでミステリ好きの人にもおすすめ。
本作は時間軸的には〝そのケータイはXXで〟と〝地獄のババぬき〟の中間の物語になるので、
まずは上記でも触れたとおり上甲氏のデビュー作を読んでから読むのが○です。
ちなみにこの手の都市伝説ネタミステリが好きな人は、朱川湊人氏の著作
〝都市伝説セピア〟もおすすめ。
芥川賞受賞後、初の長篇小説!
「アサッテ」実践編!
「あなた!そうです、あなたのことです!あなただって、『書かれている』のですよ。
他でもない、あなた自身の手によって……。それを、あなた自身に『聴かせる』ために。」
――作者より
遠い親戚だけど兄妹のように育った2人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。
病室で繰り広げられる2人の会話。ある時、2人は同室の女性患者が
自分たちの会話を盗聴していることに気づく。
2人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切り型と小説の作為とに抗い続けるが――。
小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。
さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた
待望の長篇。
芥川賞受賞後、初の小説!
***
ある意味第一作〝アサッテの人〟の外伝、もしくは続編にあたる作品なので、
まずは諏訪氏のデビュー作を読んでから本作を手にとったほうが何倍も楽しめるし
テーマも深くまで見えてきます。
それにしても、〝アサッテの人〟を読んだときにも思ったけど、
この人の著作は(私的な話で恐縮ですが)私にとってこの世で一番の恐怖の対象である
〝平凡〟を見事に打ち砕いてくれるから(とはいえここでいう〝平凡〟の定義は
外見が普通とか何の才能も個性もないとかいったことじゃなく、
自分なりの言葉・行為・ルール・美学を持たずただ誰かの受け売りの言葉を喋るだけ、
他人の価値観に流されているだけ、という意味)
読んでいてとてもほっとするし本作を読んで私と同じ感想を持ってくれる相手となら
ものすごく気が合うんじゃないかと思う(ていうか著者と友人になりたい)。
ミステリやショートショート(もしくはマンガ)でこの手法(読めばわかります)で書かれた小説を
読んだことはけっこうあるけど、まさか純文学でこれをやらかす作家がいるとは思わずびっくりした。
「よくやった!」と喝采を送りたい気持ち。
同じ病気モノだったら〝恋空〟なんて読んでる間にこっちを読んだほうがよっぽどいい。
本作を理解できる中高生のほうがよっぽど格好いいと思う(まあ、十代でこれを理解できちゃったら
それはそれで老成し過ぎでちょっとやばいかもしれないけど)。
諏訪氏はストーリーよりもそれを織り成す言葉そのものに重きを置く作家さんなので、
物語で心を揺さぶられる、ということを求めている人には向かないかもしれないけど、
ラストの見開きは思わず泣きそうになってしまった。
それもこれまでに経験したことのない、感動とも何ともつかない感情に衝き動かされて。
かなりのおすすめ。えらそうに言えばちょっと読み手にそれなりの読解力が要求されるけど、
著者の言わんとすることを理屈ではなく感覚で、まさに〝聴く(Listen)〟ことができたときには
深い感銘を抱くこと間違いなしの作品です。
今度は諏訪氏が言葉じゃなく〝物語〟にこだわって書いた小説を読んでみたい。
切実にそう思った。
PS:ちょっと独り言
。。。あの献辞は実在の人物に向けて書かれたものなのかな。それとも
架空→現実に姿を変えた〝彼女〟に向けて書かれたものかな。。。
望みどおりの結末になることなんて、現実ではめったにないと思いませんか?
小説の企みに満ちた、アンチ・ハッピーエンド・ストーリー。
前人未到のミステリ四冠を達成した偉才が仕掛ける未曾有の殺意!
★収録作品★
おねえちゃん
サクラチル
天国の兄に一筆啓上
消された15番
死面
防疫
玉川上死
殺人休暇
永遠の契り
In the lap of the mother
尊厳、死
***
先の読めてしまう話もいくつかはあったけど、これだけの物語が収録された短編集で
ほとんど外れがないっていうのはなかなかすごいことなんじゃないかと思う。
あらゆる賞を総なめにした〝葉桜の季節に君を想うということ〟は、トリックもオチも
序盤で読めてしまって「これが何でこんなにも大評判なんだろう?」と不思議に思ったものだけど、
本作には非常に満足。むしろ本作が何かしらの賞を受賞すべきなのになー。わからないもんだな。
ミステリ好きにもホラー好きにもおすすめの一冊です。各ストーリーの筋もゴテゴテしてなくて
さらっと読めてしまうから(それでいてオチのインパクトはなかなかにすごいものがあるので)、
ショートショートが好きな人にもいいかも。
久しぶりにただ純粋に「面白い!」と思えた一冊だった。
――罪とはなんだね。
両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。
無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。
弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。
そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。
美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、
その事件は未だ解決されていないことを知る。
数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、
その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める――。
***
前作〝146gの孤独〟の主人公の人間性がギリギリだったため
今回はどうなのだろうと危ぶんでいたんですが。。。
やはりギリギリだった。
メイン登場人物のほとんどが、一見普通の人間のようでいて
よくよく見ると心の動きや行動が常人と違うような。
しかも著者が狙ってそういうふうに書いているという感じではなく、
書き手の性格が無意識ににじみ出てしまってるんじゃないかというような
そんな印象を受けるんだよなあ。
一人一人の人間は個性があってすごくよく書けてるんだけど
どこか生理的な嫌悪を微かに感じてしまって近づきがたい、的な。
物語としては前著より面白かった。
偉そうに意見すれば構成力が今ひとつで、
「えっ今ここでそれを明かしちゃうの?」みたいな突っ込みどころも多少あったし
起こるエピソードの何もかもが突飛に感じられたりはしたけど、
文章はうまいし長編にも関わらず最後までスラスラ読めた。
ラストで明かされるある〝事件〟の真相や仕掛けられたサプライズはありきたりで
読めてしまったけどそれでも楽しめた。
読んで損はないです。
ちょっと暗い世界観の中にもほんの少しの、でも確かな温もりと希望を感じ取れる良作だった。
十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。
中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。
僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――
そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。
***
女性の子宮から島田荘司ばりの一大建築物まで――少ないページ数の中に
ありとあらゆる密室を詰め込んだ本作。
ただし探偵をはじめとした登場人物たちのキャラ&トリックはかなり舞城節というか
〝本格〟からははずれているので、いや、はずれてはいないのかもしれないけど
謎を解いて真相にいたるまでの過程がかなりトントン拍子すぎて伏線も何もあったもんじゃないから
徐々に真実に近づいていく醍醐味がない。
だから正統派の本格好きにはあまりおすすめしなません。
まあそれが舞城節っちゃあ舞城節なので私的には非常に楽しく読めましたが。
あくまでストーリーの奇抜さやキャラの奇矯さ、独特の文体を楽しみの主体として読んだほうが吉。
でも作中に登場するある密室の光景を思わず自分の将来に当てはめて考え込んでしまう語り部の
ラスト1ページの〝祈り〟の言葉は純文チックでちょっと感動。
ちなみに舞城氏のデビュー作を読んでから読むとニヤリとできるシーンが終盤にあります。
それにしても舞城氏は絵がうまいよなあ。。。
私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。
吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。
我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。
「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、
彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」……
「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。
二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。
天然キャラ女子に萌える男子の純情! キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
***
いたって地味なエピソードも独特の文体と圧倒的な表現力で臨場感たっぷりに面白く読ませる、
逆に「そりゃないだろ」というファンタジーな展開もリアリティ溢れる描写で違和感なく読ませてしまう、
この著者は本当に〝書ける〟人だなあと思う。20代にして直木賞候補に挙がるだけはあるなー。
ヒロインの性格は一歩間違えればぶりっ子だし(「オモチロイ」とか普通に言うし)、
ヒーローの性格も一歩間違えれば(いや、間違えなくても相当)自己中野郎なのに、
それを崩す魅力的な個性で気づくと好意を持っている。「がんばれ」と応援してしまっている。
ラスト一行のヒロインのひと言が物語全体を見事なまでにまとめきっていて、
思わず背筋が寒くなった。同世代の作家がここまで書けるのは(プロと比べるのも
おこがましいですが)もう本当に尊敬の一念。
東野圭吾氏〝白夜行〟をコメディタッチにしたら本作みたいになるのかも。
なんとなくそんな風にも感じた。
ラブストーリーが苦手な人でも非常に楽しく読める内容になっています。
ミステリ好き(本格は除く)の人にもおすすめ。
あーそれにしても〝火鍋合戦〟、是非私も参加したい(超辛党としては。。。)。
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |