「お互いの、暗黙の…」
芥川賞受賞後、初の長篇小説!
「アサッテ」実践編!
「あなた!そうです、あなたのことです!あなただって、『書かれている』のですよ。
他でもない、あなた自身の手によって……。それを、あなた自身に『聴かせる』ために。」
――作者より
遠い親戚だけど兄妹のように育った2人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。
病室で繰り広げられる2人の会話。ある時、2人は同室の女性患者が
自分たちの会話を盗聴していることに気づく。
2人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切り型と小説の作為とに抗い続けるが――。
小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。
さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた
待望の長篇。
芥川賞受賞後、初の小説!
***
ある意味第一作〝アサッテの人〟の外伝、もしくは続編にあたる作品なので、
まずは諏訪氏のデビュー作を読んでから本作を手にとったほうが何倍も楽しめるし
テーマも深くまで見えてきます。
それにしても、〝アサッテの人〟を読んだときにも思ったけど、
この人の著作は(私的な話で恐縮ですが)私にとってこの世で一番の恐怖の対象である
〝平凡〟を見事に打ち砕いてくれるから(とはいえここでいう〝平凡〟の定義は
外見が普通とか何の才能も個性もないとかいったことじゃなく、
自分なりの言葉・行為・ルール・美学を持たずただ誰かの受け売りの言葉を喋るだけ、
他人の価値観に流されているだけ、という意味)
読んでいてとてもほっとするし本作を読んで私と同じ感想を持ってくれる相手となら
ものすごく気が合うんじゃないかと思う(ていうか著者と友人になりたい)。
ミステリやショートショート(もしくはマンガ)でこの手法(読めばわかります)で書かれた小説を
読んだことはけっこうあるけど、まさか純文学でこれをやらかす作家がいるとは思わずびっくりした。
「よくやった!」と喝采を送りたい気持ち。
同じ病気モノだったら〝恋空〟なんて読んでる間にこっちを読んだほうがよっぽどいい。
本作を理解できる中高生のほうがよっぽど格好いいと思う(まあ、十代でこれを理解できちゃったら
それはそれで老成し過ぎでちょっとやばいかもしれないけど)。
諏訪氏はストーリーよりもそれを織り成す言葉そのものに重きを置く作家さんなので、
物語で心を揺さぶられる、ということを求めている人には向かないかもしれないけど、
ラストの見開きは思わず泣きそうになってしまった。
それもこれまでに経験したことのない、感動とも何ともつかない感情に衝き動かされて。
かなりのおすすめ。えらそうに言えばちょっと読み手にそれなりの読解力が要求されるけど、
著者の言わんとすることを理屈ではなく感覚で、まさに〝聴く(Listen)〟ことができたときには
深い感銘を抱くこと間違いなしの作品です。
今度は諏訪氏が言葉じゃなく〝物語〟にこだわって書いた小説を読んでみたい。
切実にそう思った。
PS:ちょっと独り言
。。。あの献辞は実在の人物に向けて書かれたものなのかな。それとも
架空→現実に姿を変えた〝彼女〟に向けて書かれたものかな。。。
芥川賞受賞後、初の長篇小説!
「アサッテ」実践編!
「あなた!そうです、あなたのことです!あなただって、『書かれている』のですよ。
他でもない、あなた自身の手によって……。それを、あなた自身に『聴かせる』ために。」
――作者より
遠い親戚だけど兄妹のように育った2人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。
病室で繰り広げられる2人の会話。ある時、2人は同室の女性患者が
自分たちの会話を盗聴していることに気づく。
2人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切り型と小説の作為とに抗い続けるが――。
小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。
さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた
待望の長篇。
芥川賞受賞後、初の小説!
***
ある意味第一作〝アサッテの人〟の外伝、もしくは続編にあたる作品なので、
まずは諏訪氏のデビュー作を読んでから本作を手にとったほうが何倍も楽しめるし
テーマも深くまで見えてきます。
それにしても、〝アサッテの人〟を読んだときにも思ったけど、
この人の著作は(私的な話で恐縮ですが)私にとってこの世で一番の恐怖の対象である
〝平凡〟を見事に打ち砕いてくれるから(とはいえここでいう〝平凡〟の定義は
外見が普通とか何の才能も個性もないとかいったことじゃなく、
自分なりの言葉・行為・ルール・美学を持たずただ誰かの受け売りの言葉を喋るだけ、
他人の価値観に流されているだけ、という意味)
読んでいてとてもほっとするし本作を読んで私と同じ感想を持ってくれる相手となら
ものすごく気が合うんじゃないかと思う(ていうか著者と友人になりたい)。
ミステリやショートショート(もしくはマンガ)でこの手法(読めばわかります)で書かれた小説を
読んだことはけっこうあるけど、まさか純文学でこれをやらかす作家がいるとは思わずびっくりした。
「よくやった!」と喝采を送りたい気持ち。
同じ病気モノだったら〝恋空〟なんて読んでる間にこっちを読んだほうがよっぽどいい。
本作を理解できる中高生のほうがよっぽど格好いいと思う(まあ、十代でこれを理解できちゃったら
それはそれで老成し過ぎでちょっとやばいかもしれないけど)。
諏訪氏はストーリーよりもそれを織り成す言葉そのものに重きを置く作家さんなので、
物語で心を揺さぶられる、ということを求めている人には向かないかもしれないけど、
ラストの見開きは思わず泣きそうになってしまった。
それもこれまでに経験したことのない、感動とも何ともつかない感情に衝き動かされて。
かなりのおすすめ。えらそうに言えばちょっと読み手にそれなりの読解力が要求されるけど、
著者の言わんとすることを理屈ではなく感覚で、まさに〝聴く(Listen)〟ことができたときには
深い感銘を抱くこと間違いなしの作品です。
今度は諏訪氏が言葉じゃなく〝物語〟にこだわって書いた小説を読んでみたい。
切実にそう思った。
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。。。あの献辞は実在の人物に向けて書かれたものなのかな。それとも
架空→現実に姿を変えた〝彼女〟に向けて書かれたものかな。。。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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