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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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あなたに会えてよかった。




世界が終わっても、
ずっと一緒にいるよ。

終末論が囁かれる荒廃した世界で、
孤独な女性のもとに現れたのは、
言葉を話す不思議な赤毛のサルだった――。
ひとつ屋根の下、奇妙で幸せな
一人と一匹の“ふたり暮らし”がはじまる。
一日一杯のミルクをわけあい、
収穫を待ちわびながらリンゴの木を育て、
映画を観る約束をする――。
しかし、隠された彼の“秘密”が明かされるとき、
物語は終わりとはじまりを迎える……。
赤毛のサルの正体は? そして彼が現れた目的とは?
壊れかけた世界で見える、本当に大切なもの――
不条理で切ない絆を描き出す寓話ミステリー。

***

シズカというひとりの女性と人語を解する赤毛ザル・ノーマジーンとの
ユーモラスでほのぼのしたやり取りがほとんどを占める本作、
やはりポプラ社から出ているだけあって
小説というより童話めいた話なのかな、と思っていたのですがとんだ勘違いだった。
第二章でノーマジーンのある重大な秘密が明かされたとき、
そのときの衝撃とやるせなさはもう何物にも代えがたい。
退廃的ながらもメルヘンチックだった世界が一変し、
ページを繰るにつれて増していっていたノーマジーンへの愛情がぐらつくのは
まさにヒロイン・シズカと同じ気分。
そして真実を知ったシズカが選んだ道、それは何だか
飼い主とペット、雇い主と介護者、そんな関係を超えた、まるで
「恋人同士」を見ているように切なくて、月並みな表現だけど胸を打たれ、
読み終えたあともしばらく物語の余韻から抜け出すことが出来なかった。
とてもとても素晴らしい物語だった。

非常におすすめです。
やっぱり初野晴さんは素敵な作家さんだな。
これからもついていきます。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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