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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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タ・ス・ケ・テ……。



夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと
美貌の娘たちが集まった。
ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが
始まったかに見えたのだが…。
二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。
邸内の人間の犯行か、アリバイを持たぬ者は、動機は。
推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。
前人未到のメタ・ミステリー。

***

1990年の作品であるせいか、オチがすごいという前知識があったせいか、
かなり早い段階で真相には気付いてしまった。
今やこの手のトリックならミステリ界に氾濫してるもんなー。
でもやはり90年の時点では新しかったのでしょう。
名著と呼ばれているぐらいだし。
ミステリとしてのオチそのものよりも唸らされたのは、
各登場人物の心理描写の細やかさ。
この手のトリックを使う小説はトリックを含めミステリパートばかりが
前に出て、物語性や登場人物の心理なんかは蔑ろにされる傾向があるから、
その点本作は一人ひとりの感情の動きや思考が丹念に描写されていて
さすが大御所、と感心した。
惜しむらくは、ロートレックの絵が至るところに貼ってある館なのに、
それを使ったトリックがなかったこと。
これだけロートレックを(作中に絵まで出して)フィーチャーしてるのに、
何もないというのは正直肩透かし。
それとも私が気付いてないだけでロートレックの絵には何かしらの
暗喩があったりするのでしょうか。

短い作品なので読みやすいですが
ミステリ初心者にはおすすめしません。
中級者以上のひとにおすすめします。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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