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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。
当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。
真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?
息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、死の謎を追い、
賢剛の父・智士の自殺とのつながりを疑うが…。
隅田川で死んだふたり。そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?
辰司と智士、亮輔と賢剛、男たちの「絆」と「葛藤」を描く、
儚くも哀しい、衝撃の長編ミステリー!

***

「ドミノ倒し」で作者の才能も倒れたと思って以来、
警戒してその著書を読むようになった作家さん。
今回こそはと期待したのですが。。。やっぱり才能枯れちゃったのかな、というのが
正直な感想です。

まず、過去パートの登場人物たちが事件を起こそうと思った動機が弱すぎる。
「そこまで親しくなかった」とかいう描写が頻発するほど関係性が希薄なのに、
何故その人の敵を討つためにこんな犯罪に手を染めようと思ったのか納得がいかない。
ものすごく親しい人間が命を落としたというならまだわかるんだけど。
バブルという時代がその当時を生きる地元の人間たちを死に追いやったという
ことに対する怒りも、主人公たちからまったく伝わってこない。
犯行グループの女に至っては、グループに入った理由が
「好きな人がグループにいるから一緒にいたかった」だし。バカ女丸出し。
誘拐した子供が死んだ理由もとってつけたようで「は? そんな理由で死んだの?」と
呆気に取られた。ここはもっと衝撃的な別の理由にしたほうがよかった。
大体、子供を相手にする職業に就いている人間なら、子供にアレルギーがないかどうか
確認するのが普通なのにそれもしないのがおかしい。
私は子供相手の仕事をしているけど、お菓子をあげるときは必ず
「アレルギーない?」と確認するので。
その時代はアレルギーの知識があまりなかったとか作中ではフォロー入れてるけど、
繰り返しになりますが子供相手の仕事で「知りませんでした」は通用しない。
加えて、自分たちの友人を死に向かわせた会社に対する復讐のために
動いているはずなのに、奪った身代金はちゃっかり山分けしようとしているのが
不快だった。
それ以前に、どうして自分たちが誘拐という犯罪に手を染めたのか
先方に言わなきゃ何も伝わらないだろうにと頭の中に疑問符浮かびまくり。

そして現在パートの主人公のひとり、亮輔の父親が殺された理由ですが。。。
何それ? それが真相? という感じ。
賢剛の父親が自殺した理由ですら「は? 何で自殺すんの?」という感じなのに、
亮輔の父親の死因がそれだとは。。。
そして犯人の動機もショボすぎる。慕ってる人が亮輔の父親のせいで死んだから
悔しくて殺したとか言ってるけど、犯人がその人を慕ってる描写が
後半中の後半になってちょろっと出てくるだけなので、感情移入もクソもない。
もっと最初から「慕ってる」描写なりエピソードなりを入れておけば
少しは違ったかも知れないのに。
というかそうだとしても逆恨みもいいとこ。
大体亮輔の父親も、自分の死の原因を他人に押し付けるなよと。

タイトルである「罪と祈り」も、書かれていることは「罪」がほとんどで、
「祈り」は最後のページにちょろっと出てくるだけ。タイトル意味なし。

もうこの作者に「慟哭」「乱反射」みたいな傑作を書くことは無理なんだろうか。
好きな作家さんだっただけに残念です。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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