メフィスト賞史上最大の問題作!!
「絶賛」か「激怒」しかいらない。
これはすべてのミステリ読みへの挑戦状――。
私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。
けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで
飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。
決めた! 私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育て上げる!
そのためには……ねえ。
「推理って、別にいらなくない――?」。
NO推理探偵VS.絶対予測不可能な真犯人、
本格ミステリの未来を賭けた死闘の幕が上がる!
***
ここんとこメフィスト賞らしい作品が受賞してないなあ、と思っていたら、
来ました。これぞ正にメフィスト賞受賞作。
「絶賛」か「激怒」しかいらない、と帯には書かれていましたが、
そのどちらでもなく、普通にメフィスト賞ならではの変化球を楽しませてもらいました。
ボケ(助手)とツッコミ(探偵)のやり取りがやや寒いのと、
一つのギャグがしつこいこと、表現がやや古い点(主人公がユウとアイ(YOU&I)
って。。。まあそれ以外にも「キターーー!!」とか色々あるのですが)を除けば、
要所要所でくすりとさせられ(助手が探偵をコケにしてるのも新しくていい)、
真相パートも「あー、そういう手で来たか」といい意味で裏切られ、
「探偵がごちゃごちゃ推理して真相を導き出すなんて今どき古いだろ」と
散々言っておきながらも、最終章では著者の本格ミステリへの愛が感じられ。
第三話の下ネタにはさすがに引きましたが、終始面白く読むことが出来た。
メフィスト賞受賞作には、自分の作品に入り込んでしまわず、
一歩引いた視点というか少し冷めた目線で「おまえら、こういうのもアリだと
思ってるんだろ?」みたいなスタンスで書かれた作品が紛れ込んでたりしますが
(深水黎一郎さんのデビュー作然り)、本作もその例に洩れず。
そういう作品を書ける作家さんというのは、本を大量に読んでおり、
筆力もある人である場合がほとんどなので、本作の作家さんもかなり書ける
人なんでしょう。
最終章の「読者への挑戦」も、真相が明かされたとき
「わかるわけねーだろ」と笑いながらツッコミを入れてしまいました。
本作は、小説家を目指す人が読んだらより楽しめるんじゃないかな。
ダブルクリップ云々のくだりは笑ってしまった。
メフィスト賞受賞作らしいものを読みたい人にはおすすめです。
逆に、普段ミステリを読まない人にはすすめません。
あと、東野圭吾さんの「名探偵の掟」が好きな人にもすすめたい。
本格ミステリをいい意味で茶化してる部分が共通しているので。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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