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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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愛してる。



同じ保育園に子どもを預ける三人の若い母親たち――。
家を出た夫と週末婚をつづけ、クスリに手を出しながらあやういバランスを保っている
“作家のユカ”。
密室育児に疲れ果て、乳児を虐待するようになる“主婦の涼子”。
夫に心を残しながら、恋人の子を妊娠する“モデルの五月”。
現代の母親が抱える孤独と焦燥、母であることの幸福を、作家がそのすべてを注いで描きだす、
最高傑作長篇。

***

著者の金原ひとみさんは結婚・出産を経てから作風が変わったような気がする。
それとも単に今そうなだけで、しばらくすればまた元のバイオレンスなノリに戻るんだろうか。
私はそっちのほうが好きなので、是非またあの乱暴で破天荒な世界観を見せてほしいと
思っているのだけれど、でも本作も、主人公である三人の母親の
子供や結婚に対する思考や心理描写が巧みで、最後まで非常に面白く読めた。
(ラスト間際がちょっと駆け足だった気もするけど)
特に涼子の物語(本作は三人の母親のモノローグで成り立っています)は、
「何で世間の母親はあんなに普通に子供を育てあげられるんだろう」
と常々疑問に思っていた私に深い共感を呼び起こさせるものだった(本当なら共感しちゃ
駄目なんだけど)。

陳腐な言葉で言わせてもらえば、人間は皆自分の中に何かを抱えて生きる生き物であり、
そして母親になったとしてもその前にひとりの人間である、ということなんだろう。
それにしても、〝母親〟というものは、〝母親〟であるためにまず〝人間〟である自分を
消さなきゃいけないというのなら、私は一生子供はいなくてもいいかもな、と思う自分を否定できない。
子供を何人も作って幸せそうにしている周りの人間たちが、私にはエイリアンにしか見えない。
そもそも私は心に病気を持っているので、子供は作らないほうがいいのかも知れない。

。。。といろいろ考えさせられる物語だった。
女性だけじゃなく、男性にもおすすめ。
こういう作品は夫婦で読めば互いの理解が増すような気がする(そもそもふたりで一冊の本を
読むぐらい仲がよければ、本作のような問題も起きないんだろうけど)。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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