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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「――死ね。」

 

デビューから10年、平野啓一郎が連続殺人に挑む、新たな代表作誕生!

2002年10月全国で犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。
容疑者として疑われたのは、被害者の兄でエリート公務員の沢野崇だったが……。
〈悪魔〉とは誰か? 〈離脱者〉とは何か? 止まらぬ殺人の連鎖。明かされる真相。
そして東京を襲ったテロの嵐!“決して赦されない罪”を通じて
現代人の孤独な生を見つめる感動の大作。

***

本作を読んだ率直な感想。
私は今までこの著者を誤解していた。
いい方向に。

ひと言で言うなら〝ものすごく頭のいい中二病患者が書いた小説〟だった。
ここ何年間の社会問題をこれでもかと詰め込んで一つの物語にしたよう。
主題がまったく見えてこない。著者が一番言いたかったことがわからない。
作中に『〝リアル〟と〝ミステリー〟の間』という本が出てくるけど、まさに本作が
レベルの低いそれだろう、と思ってしまった。

出だしからびっくりしたのが、著者の三人称で書かれた地の文のヘタさ。
読み進めるにつれてましになっていくものの、これが芥川賞を獲った人の文章? というほど、
場面場面の挙動や思考が誰のものなのかわかりにくい。
〝崇〟という、(登場人物たちの会話によって)並々ならぬ才覚を持った
いかにも一癖ありそうな人物として表現されていた男も、実際出てきてみれば
あまりに普通のあんちゃんだし(敢えてそう振舞っている、という風には到底見えない)、
彼が〝言葉〟というものに過剰にこだわる性格であることを表すシーンが警察の取調室での
徹底した黙秘だけって。。。
そもそも〝言葉〟にそんなにこだわるなら、いい歳して女たちにあんなアホなメール打つなよ。。。
(まあこれは「彼女たちには本気の言葉を使う必要なんかない」と思ってやってるのかもしれないけど。。。
それにしてもひどすぎな気が)

これじゃラストの崇の行動もよっぽど勘のいい人が深読みできる人じゃないと
「まさか。。。?!」と思えないよ。
〝崇〟の悪魔性が(彼が本当にそれを秘めているのだとしたら)あまりに描かれてなさすぎる。
登場人物たちの口を借りて今の世の中に対する自分の意見なんか振りかざさなくていいから、
そういうところをもっと書き込んでほしかったよ、平野さん。。。(世論の論議はテレビでやってほしい。
あなたは喋りがうまくてしょっちゅうテレビに出てるんだから。。。)

タイトル決壊、中身は崩壊。
。。。うまくねえー。。。(私も、平野さんも)

まあ最低限は面白くて割と一気に読めちゃったのですが。
あんまり人に薦める気にはなれないなあ*
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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