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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「いらっしゃーい」



人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。
困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。
ここはどこ? なんでこうなるの?
怪作『イン・ザ・プール』から二年。トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。


★収録作品★

 空中ブランコ
 ハリネズミ
 義父のヅラ
 ホットコーナー
 女流作家

***

直木賞受賞作品。

月に一度、2時間かけて病院に通院している母の出掛けに手渡し、
帰宅した母に「電車で吹き出しそうになるの何度もこらえるハメになって大変だったわよ」と
怒られたといういわくつきの(笑)一作。

通常では考えられない方法で
自分の心をうまくコントロールできなくなってしまった患者たちを完治させていく、
そもそも親の七光りで精神科医になったというだけで患者を治療しようなんて気は
まるでない伊良部医師がどうしてここまでの腕を発揮できるのかといえば、
〝医者である自覚がない〟イコールで〝患者とまったく同じ目線に立てる〟つまりは
〝友人のように相手といられる〟からに他ならないでしょう。
同じアドバイスや励まし的なひと言でも、医者目線で言われるのと友人や身内ににさらっと、
それでいて人間味溢れる言い方で言われるんじゃ雲泥の差があるからなー。

以前、心療内科の医師に〝すべてが汚く思えて何も触れない強迫神経症の患者が、
大震災に見舞われてその対処に精一杯になり、ふと気づくと極度の潔癖症が治っていた〟
という話を聞いたことがあるのですが、本作の患者たちも、ストーカー並につきまとってきて、
行く先々で破天荒すぎる問題行動を起こす伊良部医師のフォローに追われるうちに、
もしかしたら自分の病気を忘れてしまうのかもしれません。

基本的にコメディの本作ですが、表題作〝空中ブランコ〟のラストはなんか不思議と泣けた。

かなりおすすめです。
シリーズ三部作のはじめから読みたい人はまずは↓の〝イン・ザ・プール〟からどうぞ。
本作ほどじゃないですが面白いです。
〝町長選挙〟は。。。メインキャラの伊良部医師&看護師の性格がいやなほうに
変わっちゃってるからなあ。。。私の中では三作目はなかったことになってますが、
別に駄作というわけじゃないのでまあ読んでみてもいいんじゃない? といったところです。

 
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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