「それは犯罪っていうんだ」
女房の尻にしかれ、毎日の小遣い500円でカツカツの生活を送る須賀啓一、50歳。
彼が通勤電車の中でみかけた美しい女子高生に恋をする。
人生の半ばを過ぎながらも、生まれて初めてとも言える恋に燃えた啓一は、
女子高生を陰ながら支える守護天使になることを決意する。
その一方的、盲目的、騎士道的な恋は成就なるのか?
ネットブログの書き込みから変質者に誘拐されてしまった女子高生を
彼は救うことができるのか?
笑いとペーソスに満ちた、爆笑ハートフルラブストーリー!
***
〝空中ブランコ〟(奥田英朗)・〝神さまからひと言〟(荻原浩)以来だなあ。。。
小説を読んでここまで爆笑したのは。
もうほんと、うだつのあがらない主人公・啓一のやることなすこと裏目に出っぷりと
彼と登場人物たちとの絡みが、本作がデビュー作の新人作家が書いたとは思えないほど
面白いので、絶対に他人がいる場所では読まないほうがいいです。たぶん恥かきます。
それにしても著者の上村氏のこの筆力・表現力・構成力。。。言われなきゃ到底新人だなんて
信じられない。本作が大賞を射止めた〝日本ラブストーリー大賞〟はプロも応募可能な賞であり、
作者も経歴を見る限りもちろんまったくの素人ではないみたいですが、それにしてもすごい。
次の作品がとても楽しみな作家さんです。
冒頭から主人公がぶちかます数々のバカエピソードが実は重大な伏線になっており、
それがラストで一気に一つに収束する様も爽快&圧巻。
「伏線を読者に気づかれたくなければそれらを笑いの中に紛れ込ませればいい」と
外国の某有名ミステリ作家が言っていましたが、ほんとそうだなあと
こんなところで実感することになってしまった。
本大賞受賞作は映画化するそうなので、絶対に観に行きたいところです。
一人の作家を別の作家と比較して語るのは失礼かとも思いますが、
荻原浩氏や金城一紀氏の作品とテイストが似ているので、彼らのファンには特におすすめの
一冊です。
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