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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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俺はな、走れるのに走らないんじゃない。
走る道がないから走らないんだ――




人間魚雷「回天」。
発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。
ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、
みずから回天への搭乗を決意したのか。
命の重みとは、青春の哀しみとは――。
ベストセラー作家が描く戦争青春小説。

***

原作で号泣し映画まで観ました(主演の海老蔵の演技は微妙でしたが。。。)。
メインテーマ曲(これがまた最高)を延々垂れ流しながら小説のプロットを立てていた記憶もある。
それだけ私には影響の強い物語でした。

ストーリー自体はとりたてて斬新なところもなくだいたいこちらの予想通りに進んでいくのですが、
エピソードの一つ一つ、そして登場人物一人ひとりの内面や思考が実に細かく書き込まれていて、
彼らの存在や戦時下という世界観にすんなりと溶け込むことができます。
特に主人公の優しく誠実な性格には読み進めるごとに惹かれていき、ラストで彼が
ある大切な人に宛てて書いた手紙を読んだときにはまるで自分がそれを受け取ったかのように
苦しくなってボロボロに泣いてしまいました。

ちなみに私的に一番好きなのは、主人公と同じ〝回天〟乗りの、
いつも鏡ばかり見てる青年のエピソードかな。

本作を読んでいると、若い世代にはいかにも格好いいことのように思われている〝特攻〟と
いうものが、どれだけ無意味で無機質で虚しい行為なのかがわかって何とも言えない気分になる。
決して映画〝アルマゲドン〟や〝ディープインパクト〟のラストシーンみたいな
ダイナミックかつヒロイックなものじゃないよと言いたい。
もっと地味で、もっと残酷だ。
もちろんそれら特攻兵器に乗り込んだ青年(もしくは少年)たちの意志の力には
畏敬の念を抱いて止みませんが。。。

むちゃくちゃにおすすめの一冊です。
余談ですが〝回天〟を扱った物語、マンガだとこれ↓もおすすめ。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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