本当の自分の姿を知るために――。
市議会議員の選挙アルバイトを始めたことがきっかけで、議員の妻となった私は、
幸せな日々を送っていた。激務にもかかわらず夫は優しく、子宝にも恵まれ、
誰もが羨む結婚生活だった。
だが、人生の落とし穴は突然やってきた。
所属する党から県議会議員への立候補を余儀なくされた夫は、僅差で落選し、失職。
そこから何かが狂いはじめた。
あれだけ優しかった夫が豹変し、暴力を振るうようになってしまった。
思いあまった私は……。
絶望の淵にいた私の前に現れた一人の女性――有名な弁護士だという。
彼女は忘れるはずもない、私のかけがえのない
同級生だった……。(「ムーンストーン」より)
7つの宝石が織りなす物語。湊かなえ新境地がここに。
★収録作品★
真珠
ルビー
ダイヤモンド
猫目石
ムーンストーン
サファイア
ガーネット
***
〝告白〟のクオリティが高すぎたせいで
そのあとに出す湊かなえ作品は見劣りがするなあと感じていたのですが、
本作は久々面白いと思える内容だった。
様々な形式で展開する七つの物語に飽きることなく最後まで読めた。
ミステリだけじゃなくロマンチックな雰囲気もあったりして。
傑作というほどではないけれどなかなかの佳作なのではと。
続きが気になって一気読み出来たし。
話の構成やジャンルも多岐に及んでいてバラエティ豊かで。
湊かなえさんの作品の中ではかなり普通におすすめ出来る一品です。
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最初のドミノを押すために。
その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは――。
未来三部作。
★収録作品★
PK
超人
密使
***
ひと言で言ってしまえば「つまらない」で終わるのだけど、
あれほど好きだった作家さんに対してそんな感想しか持ち得ないのが
悲しい。
最近の伊坂作品は
政治と著名人の格言、このふたつで構成されていて
かつての自由な言葉の羽ばたきといったものがない。
あれほどやわらかくしなるようだった物語がカチカチに凝り固まったものに
感じられる。
読み手を日常の鬱屈から解放してくれるようだった物語が、
今は伊坂氏の「こう読まれたい」という意識でまるで鎖のように縛られている
みたいだった。
「どうしてこうなった♪」のAAを張り付けたいところだけどやめておく笑
個人的には楽しめませんでした。
はー。。。〝アヒルと鴨のコインロッカー〟でも読みなおそ。
その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは――。
未来三部作。
★収録作品★
PK
超人
密使
***
ひと言で言ってしまえば「つまらない」で終わるのだけど、
あれほど好きだった作家さんに対してそんな感想しか持ち得ないのが
悲しい。
最近の伊坂作品は
政治と著名人の格言、このふたつで構成されていて
かつての自由な言葉の羽ばたきといったものがない。
あれほどやわらかくしなるようだった物語がカチカチに凝り固まったものに
感じられる。
読み手を日常の鬱屈から解放してくれるようだった物語が、
今は伊坂氏の「こう読まれたい」という意識でまるで鎖のように縛られている
みたいだった。
「どうしてこうなった♪」のAAを張り付けたいところだけどやめておく笑
個人的には楽しめませんでした。
はー。。。〝アヒルと鴨のコインロッカー〟でも読みなおそ。
夢は、必ず覚める。
八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、
若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。
そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった――。
***
正直ラブストーリーは苦手なのですが、
この話は非常に面白く読めた。
恋愛を書いてもベタベタした感じにならずいい意味で淡々としているのが
貫井氏のいいところ。
そして主人公・怜花の心理描写が絶妙。
〝愚行録〟のときにも思ったけど、どうしてここまで女性の心理がわかるの?と
訊きたくなる。女性だけじゃない。人物造形がこの著者は抜群にうまくて
登場人物一人ひとりのキャラクターが鮮明に想像出来る。
そしてこの著者は導入で読者の興味を惹き付けるのがとてもうまいので
先がどうなるんだろう、と気になって気になって一気に読ませる。
さして特殊でもない〝不倫〟という恋愛を、言い方は悪いけど
ここまで面白く描けるひとはなかなかいないのではないかと思う。
やっぱり貫井氏最高。
怜花が筆を折った理由がちょっとあっさりしすぎていたのが
ちょっとだけ物足りなかったけど、彼女の立場に自分を重ね合わせてみれば
わたしでも筆を折るかも知れないな。
ひとりの女性作家の成長ストーリーでもあるので
文筆に携わっている方が読んでも面白いのではないかと思う。
その点は桜庭一樹さんの〝ファミリーポートレイト〟にちょっと似てたかな。
非常におすすめです。
本作は〝ひとりの男性しか愛せなかった女〟を書いていますが、
ヒロインがただ相手の男性を好きだ好きだ言うだけじゃなく、
何故彼しか好きになれないのかを胸が痛くなるほど具体的に描写しているので
ふたりの絆が推し量れて切ない気持ちになる。
わたしも「ああ、やっぱりこのひとしかいないな」
と心から思えるような恋愛をしてみたいものです。
八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は、
若い編集者の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。
そこで明かされたのは、ある男性との凄絶な恋愛の顛末だった――。
***
正直ラブストーリーは苦手なのですが、
この話は非常に面白く読めた。
恋愛を書いてもベタベタした感じにならずいい意味で淡々としているのが
貫井氏のいいところ。
そして主人公・怜花の心理描写が絶妙。
〝愚行録〟のときにも思ったけど、どうしてここまで女性の心理がわかるの?と
訊きたくなる。女性だけじゃない。人物造形がこの著者は抜群にうまくて
登場人物一人ひとりのキャラクターが鮮明に想像出来る。
そしてこの著者は導入で読者の興味を惹き付けるのがとてもうまいので
先がどうなるんだろう、と気になって気になって一気に読ませる。
さして特殊でもない〝不倫〟という恋愛を、言い方は悪いけど
ここまで面白く描けるひとはなかなかいないのではないかと思う。
やっぱり貫井氏最高。
怜花が筆を折った理由がちょっとあっさりしすぎていたのが
ちょっとだけ物足りなかったけど、彼女の立場に自分を重ね合わせてみれば
わたしでも筆を折るかも知れないな。
ひとりの女性作家の成長ストーリーでもあるので
文筆に携わっている方が読んでも面白いのではないかと思う。
その点は桜庭一樹さんの〝ファミリーポートレイト〟にちょっと似てたかな。
非常におすすめです。
本作は〝ひとりの男性しか愛せなかった女〟を書いていますが、
ヒロインがただ相手の男性を好きだ好きだ言うだけじゃなく、
何故彼しか好きになれないのかを胸が痛くなるほど具体的に描写しているので
ふたりの絆が推し量れて切ない気持ちになる。
わたしも「ああ、やっぱりこのひとしかいないな」
と心から思えるような恋愛をしてみたいものです。
おかえりなさい。
「一緒に北海道に行かないか」。
女子大生の夏希の前に、10年前まで施設で一緒に暮らしていた司が突如現れ、
こんな誘いを持ちかけてきた。
ともに親から虐待を受け、捨てられた子供だった司と夏希は、強い絆で結ばれていたが、
この10年音信不通となっていたのだ。
ためらうことなくおんぼろのフォルクスワーゲンに乗り込んだ夏希・・・・・・。
こうして二人の「ひたすら北を目指す旅」がはじまった。
***
幼いころそれぞれ虐待を受けていた男女が
10年ぶりに再会し、北海道までの道のりを目指す、という基本的にはロードノベル。
虐待の描写は少しですがすさまじく、これまで児童虐待をテーマにした小説や
ノンフィクションを読んできた私でも目を背けたくなるほど。
けれどそのぶん、同じつらさや傷を共に抱えてきた男女ふたりの絆が
ひしひしと伝わってきます。
恋人とも兄妹とも友情ともつかない関係。
そんなくだらないジャンル分けを超越したところでふたりは繋がっているのでしょう。
陳腐な言い方をすれば〝魂〟の部分で。
物語のテーマや展開はひと昔まえのドラマのような感じで正直目新しさはないし、
ラストが若干ご都合主義的に展開しすぎな気もしましたが、
各登場人物の挙動や心理描写が丁寧に書き込まれていてしみじみとした心持ちで
読むことが出来ます。
小説教室の同期である、シンセイ(真生)さんの作品は
以前からうまいなあ、この方はプロでもいけるなと思っていたのですが、
本当にデビューされてしまった。
自分の目は確かだったと己の読解力を誰にともなく誇ってみたり。
おすすめです。
切ない物語が好きなひと、
人間の絆というのはいかなるものかを知りたいひとは是非。
それにしても、死にたい死にたいと思っているときに
一番大切なひとから「生きろ」と言われたら自分ならいったいどうするだろうか。
それもその大切なひとがもうすぐこの世から消えてしまうとわかっていたら。
答えは未だ出ません。。。
「一緒に北海道に行かないか」。
女子大生の夏希の前に、10年前まで施設で一緒に暮らしていた司が突如現れ、
こんな誘いを持ちかけてきた。
ともに親から虐待を受け、捨てられた子供だった司と夏希は、強い絆で結ばれていたが、
この10年音信不通となっていたのだ。
ためらうことなくおんぼろのフォルクスワーゲンに乗り込んだ夏希・・・・・・。
こうして二人の「ひたすら北を目指す旅」がはじまった。
***
幼いころそれぞれ虐待を受けていた男女が
10年ぶりに再会し、北海道までの道のりを目指す、という基本的にはロードノベル。
虐待の描写は少しですがすさまじく、これまで児童虐待をテーマにした小説や
ノンフィクションを読んできた私でも目を背けたくなるほど。
けれどそのぶん、同じつらさや傷を共に抱えてきた男女ふたりの絆が
ひしひしと伝わってきます。
恋人とも兄妹とも友情ともつかない関係。
そんなくだらないジャンル分けを超越したところでふたりは繋がっているのでしょう。
陳腐な言い方をすれば〝魂〟の部分で。
物語のテーマや展開はひと昔まえのドラマのような感じで正直目新しさはないし、
ラストが若干ご都合主義的に展開しすぎな気もしましたが、
各登場人物の挙動や心理描写が丁寧に書き込まれていてしみじみとした心持ちで
読むことが出来ます。
小説教室の同期である、シンセイ(真生)さんの作品は
以前からうまいなあ、この方はプロでもいけるなと思っていたのですが、
本当にデビューされてしまった。
自分の目は確かだったと己の読解力を誰にともなく誇ってみたり。
おすすめです。
切ない物語が好きなひと、
人間の絆というのはいかなるものかを知りたいひとは是非。
それにしても、死にたい死にたいと思っているときに
一番大切なひとから「生きろ」と言われたら自分ならいったいどうするだろうか。
それもその大切なひとがもうすぐこの世から消えてしまうとわかっていたら。
答えは未だ出ません。。。
明日、同じ時間にここで会おう。
都市伝説と噂されるわりに頼りない探偵、
霧村雨と助手のシホ、自称作家の三木幹夫が謎を解く。
『ドS刑事』で人気の著者による連作短編小説!
***
小説教室の先輩である七尾師匠の最新作。
「今回はほっこりミステリを書いた」
と仰っていたのでめっちゃハートウォーミングな物語を予想していたのですが。。。
やっぱり七尾節は健在だった。
冒頭からショッキングな描写で始まり、
その謎がクライマックスまでまったく読めない。
どうしてこんなことになったのか。。。その真相はあまりにやるせないもので
「七尾師匠、ほっこりミステリじゃないじゃん!」
と思わず心中で突っ込んでしまったり笑
でも読みやすく、面白くて最後まで一気に読めます。
シホ、雨、ミキミキさんのキャラもめちゃくちゃ立っていて彼らのやりとりが
とても楽しい。
というかシホの小学生としての思考が見事に描写されていて
「大人の男性なのにどうして女子小学生をそこまでうまく書けるんだ。。。」
と、そんなところでも七尾氏を尊敬してしまったり。
続編が出そうな感じの終わり方だったから
次回作にも期待します。
都市伝説と噂されるわりに頼りない探偵、
霧村雨と助手のシホ、自称作家の三木幹夫が謎を解く。
『ドS刑事』で人気の著者による連作短編小説!
***
小説教室の先輩である七尾師匠の最新作。
「今回はほっこりミステリを書いた」
と仰っていたのでめっちゃハートウォーミングな物語を予想していたのですが。。。
やっぱり七尾節は健在だった。
冒頭からショッキングな描写で始まり、
その謎がクライマックスまでまったく読めない。
どうしてこんなことになったのか。。。その真相はあまりにやるせないもので
「七尾師匠、ほっこりミステリじゃないじゃん!」
と思わず心中で突っ込んでしまったり笑
でも読みやすく、面白くて最後まで一気に読めます。
シホ、雨、ミキミキさんのキャラもめちゃくちゃ立っていて彼らのやりとりが
とても楽しい。
というかシホの小学生としての思考が見事に描写されていて
「大人の男性なのにどうして女子小学生をそこまでうまく書けるんだ。。。」
と、そんなところでも七尾氏を尊敬してしまったり。
続編が出そうな感じの終わり方だったから
次回作にも期待します。
夢は外からやってくる。
「何かが教室に侵入してきた」。
学校で頻発する、集団白昼夢。
夢が記録されデータ化される時代、「夢判断」を手がける浩章のもとに、
夢の解析依頼が入る。
悪夢は現実化するのか?
戦慄と驚愕の幻視サスペンス。
***
ゆめちがい、と読みます。
悪夢が現実にならないよう守ってくれる夢違観音から来ているそうです。
本を読み慣れていないひとには理解が難しい話なのではないかと。。。
ある程度本に触れてきた方向きの一冊です。
というか、
それなりには面白かったけど、そこまでハマれなかったな~。。。
謎の提起が弱いし、世界観も悪い意味で詩的で漠然としていて臨場感がない。
展開もそこまで興味を惹かれるものではないし。。。
何より、著者が自分の趣味を総動員して書いた、といったような印象を受けた。
多少の自己満足がちらつく、というか。
でも、苦しい予知夢ばかりを見てしまい、そのつらさから逃れるために
静かに狂っていってしまった彼女は見ていてあまりに痛々しくて切なかった。
だからあのラストはほっとした。
あのふたりの結びつきの強さをもうちょっと詳細に描写してくれていたら
もっといいラストになったのではと個人的には思う。
それにしても確かに、あまりに鮮明な夢(特に悪夢)を見ると
それだけで体力と精神力を使い果たしてしまって
起きてからもその余韻を一日引きずってしまうつらさは自分も知っているので、
やはり予知夢を見る彼女の痛々しさが作中で一番心に刺さる部分だった。
ファンタジーと科学が半々に融合した世界観に
抵抗がないひとにはおすすめです。
あ、ちなみに洋画〝ミスト〟を観てからだとより楽しめるかも。
「何かが教室に侵入してきた」。
学校で頻発する、集団白昼夢。
夢が記録されデータ化される時代、「夢判断」を手がける浩章のもとに、
夢の解析依頼が入る。
悪夢は現実化するのか?
戦慄と驚愕の幻視サスペンス。
***
ゆめちがい、と読みます。
悪夢が現実にならないよう守ってくれる夢違観音から来ているそうです。
本を読み慣れていないひとには理解が難しい話なのではないかと。。。
ある程度本に触れてきた方向きの一冊です。
というか、
それなりには面白かったけど、そこまでハマれなかったな~。。。
謎の提起が弱いし、世界観も悪い意味で詩的で漠然としていて臨場感がない。
展開もそこまで興味を惹かれるものではないし。。。
何より、著者が自分の趣味を総動員して書いた、といったような印象を受けた。
多少の自己満足がちらつく、というか。
でも、苦しい予知夢ばかりを見てしまい、そのつらさから逃れるために
静かに狂っていってしまった彼女は見ていてあまりに痛々しくて切なかった。
だからあのラストはほっとした。
あのふたりの結びつきの強さをもうちょっと詳細に描写してくれていたら
もっといいラストになったのではと個人的には思う。
それにしても確かに、あまりに鮮明な夢(特に悪夢)を見ると
それだけで体力と精神力を使い果たしてしまって
起きてからもその余韻を一日引きずってしまうつらさは自分も知っているので、
やはり予知夢を見る彼女の痛々しさが作中で一番心に刺さる部分だった。
ファンタジーと科学が半々に融合した世界観に
抵抗がないひとにはおすすめです。
あ、ちなみに洋画〝ミスト〟を観てからだとより楽しめるかも。
会いたい。
編集者の古川真也は、幼い頃から触れたものに残る記憶が見えた。
ある日、同僚のカオルの父親が、20年ぶりに帰国する。
彼はハリウッドで映画の仕事をしているはずだったが、真也に見えたものは――。
表題作ほか、実際に上演された舞台に着想を得て執筆された
「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」。
有川浩が贈る、物語の新境地。
***
有川さんは、「こんな人間が本当にいたらなあ。。。」という男性を書くのが
非常にうまい。
先日読んだ〝レインツリーの国〟でも思ったけど、
ただ格好いいとかだけじゃなくて人間的に素晴らしい男性が必ず出てくる
(そういえば〝ストーリーセラー〟もそうだったな)。
サイコメトラーである主人公の力が
あまり発揮されていない気がしてそれがちょっと残念だったけど、
(まああまり発揮してしまうと人間ドラマじゃなくてSFになってしまうから
ある意味ちょうどよかったのかも知れないけど)
その力で愛する女性の危機とかそういう派手なものではなく
「心」を救ってやる、そのいい意味での地味さ、素朴さに胸を打たれた。
そう、これはあくまで素朴な物語ですが、
「家族」というものにしがらみをちょっとでも感じたことがあるような方には
おすすめの一作です。
編集者の古川真也は、幼い頃から触れたものに残る記憶が見えた。
ある日、同僚のカオルの父親が、20年ぶりに帰国する。
彼はハリウッドで映画の仕事をしているはずだったが、真也に見えたものは――。
表題作ほか、実際に上演された舞台に着想を得て執筆された
「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」。
有川浩が贈る、物語の新境地。
***
有川さんは、「こんな人間が本当にいたらなあ。。。」という男性を書くのが
非常にうまい。
先日読んだ〝レインツリーの国〟でも思ったけど、
ただ格好いいとかだけじゃなくて人間的に素晴らしい男性が必ず出てくる
(そういえば〝ストーリーセラー〟もそうだったな)。
サイコメトラーである主人公の力が
あまり発揮されていない気がしてそれがちょっと残念だったけど、
(まああまり発揮してしまうと人間ドラマじゃなくてSFになってしまうから
ある意味ちょうどよかったのかも知れないけど)
その力で愛する女性の危機とかそういう派手なものではなく
「心」を救ってやる、そのいい意味での地味さ、素朴さに胸を打たれた。
そう、これはあくまで素朴な物語ですが、
「家族」というものにしがらみをちょっとでも感じたことがあるような方には
おすすめの一作です。
彼は英雄だ。
科学警察研究所の職員・津久井操は、事件を未然に防げるかどうか、の
「分かれ目」について研究をしている。
難題を前に行き詰まった操が、大学の大先輩でもある大迫警視正にこぼすと、
ひとりの民間人を紹介された。「警察官の愚痴を聞かせたら日本一」と紹介された彼は、
あの『月の扉』事件で活躍した“座間味くん”だった――。
★収録作品★
傘の花
最強の盾
襲撃の準備
玩具店の英雄
住宅街の迷惑
警察官の選択
警察の幸運
***
〝月の扉〟〝心臓と左手〟に続く、座間味くんシリーズ第三弾。
警察関係者が既に終わった事件について語り、
それを聞いた座間味くん(これは彼が『座間味』と書かれたTシャツを着
ていたことに由来するあだ名)が
その事件を違う角度で見据え新解釈を与える、という趣向の物語。
それは面白いんだけど、著者の石持氏の特徴として、
◆短編集の最後の話が面白くない。
◆やたらとテロや発展途上国や政治の話が出てくる。
◆登場人物のリアクションが大げさ。
というのがあって、いい加減慣れたつもりでいたけどやっぱり少し
イラっときた(笑)。
そして表題作でもある〝玩具店の英雄〟、この話が腑に落ちなかった。
父親なら自分の子供の命を守ることを最優先させる、というなら
万引きを隠そうとすらしないんじゃないの? と思うのは私だけなんだろうか。。。
座間味くんの魅力だけは相変わらず足りすぎるほど十分でしたが。
まあおすすめかな。
科学警察研究所の職員・津久井操は、事件を未然に防げるかどうか、の
「分かれ目」について研究をしている。
難題を前に行き詰まった操が、大学の大先輩でもある大迫警視正にこぼすと、
ひとりの民間人を紹介された。「警察官の愚痴を聞かせたら日本一」と紹介された彼は、
あの『月の扉』事件で活躍した“座間味くん”だった――。
★収録作品★
傘の花
最強の盾
襲撃の準備
玩具店の英雄
住宅街の迷惑
警察官の選択
警察の幸運
***
〝月の扉〟〝心臓と左手〟に続く、座間味くんシリーズ第三弾。
警察関係者が既に終わった事件について語り、
それを聞いた座間味くん(これは彼が『座間味』と書かれたTシャツを着
ていたことに由来するあだ名)が
その事件を違う角度で見据え新解釈を与える、という趣向の物語。
それは面白いんだけど、著者の石持氏の特徴として、
◆短編集の最後の話が面白くない。
◆やたらとテロや発展途上国や政治の話が出てくる。
◆登場人物のリアクションが大げさ。
というのがあって、いい加減慣れたつもりでいたけどやっぱり少し
イラっときた(笑)。
そして表題作でもある〝玩具店の英雄〟、この話が腑に落ちなかった。
父親なら自分の子供の命を守ることを最優先させる、というなら
万引きを隠そうとすらしないんじゃないの? と思うのは私だけなんだろうか。。。
座間味くんの魅力だけは相変わらず足りすぎるほど十分でしたが。
まあおすすめかな。
それなのに、たまらなく、伝えたい。
自分の容姿に自信がもてないミラ、
クラスの人気者カオリ、
「わたし」というしがらみに悩む秋穂、
そして誰とも交わろうとしないシズ。
同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、
それぞれのコンプレックスと戦っていた。
カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に
不可解な謎が広がっていて…。
高校の写真部を舞台に、女子高生たちが構えるカメラに写るのは
ともだち、コンプレックス、未来、そしてミステリー。
★収録作品★
コンプレックス・フィルタ
ピンホール・キャッチ
ツインレンズ・パララックス
ペンタプリズム・コントラスト
***
〝酉乃初シリーズ〟のようなミステリ要素はほとんどないです。
純粋な青春小説。
でもひょっとしたら、著者の相沢氏はこういうジャンルのほうが向いているかも、と
本作を読んで思った。
下手にミステリ要素を取り込むより、思春期の少女たちの心理描写をメインにした
物語を紡いだほうが、作品がより輝いているような気がするから。
それにしても相沢氏は、30近い男性であるにも関わらず
年ごろの女の子たちの友情や葛藤を書かせたら天下一品です。
女の子たちの心の揺れ動きをカメラというモチーフを組み込んで表現するセンスには
脱帽。
そういう書き方、いったいどうやって研究してるんだろう。お会い出来る機会でもあれば
是非訊いてみたい。
どうして思春期のころの私たち女の心がここまでわかるんですか、と。
おすすめです。
自分の容姿に自信がもてないミラ、
クラスの人気者カオリ、
「わたし」というしがらみに悩む秋穂、
そして誰とも交わろうとしないシズ。
同じ高校の写真部に所属する4人は、性格も、好きなカメラも違うけれど、
それぞれのコンプレックスと戦っていた。
カメラを構えると忘れられる悩み。しかし、ファインダーを覗く先に
不可解な謎が広がっていて…。
高校の写真部を舞台に、女子高生たちが構えるカメラに写るのは
ともだち、コンプレックス、未来、そしてミステリー。
★収録作品★
コンプレックス・フィルタ
ピンホール・キャッチ
ツインレンズ・パララックス
ペンタプリズム・コントラスト
***
〝酉乃初シリーズ〟のようなミステリ要素はほとんどないです。
純粋な青春小説。
でもひょっとしたら、著者の相沢氏はこういうジャンルのほうが向いているかも、と
本作を読んで思った。
下手にミステリ要素を取り込むより、思春期の少女たちの心理描写をメインにした
物語を紡いだほうが、作品がより輝いているような気がするから。
それにしても相沢氏は、30近い男性であるにも関わらず
年ごろの女の子たちの友情や葛藤を書かせたら天下一品です。
女の子たちの心の揺れ動きをカメラというモチーフを組み込んで表現するセンスには
脱帽。
そういう書き方、いったいどうやって研究してるんだろう。お会い出来る機会でもあれば
是非訊いてみたい。
どうして思春期のころの私たち女の心がここまでわかるんですか、と。
おすすめです。
殺人は癖になる。
戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた三人の花魁が絡む不可解な連続身投げ事件。
誰もいないはずの階段から聞こえる足音、窓から逆さまに部屋をのぞき込むなにか……。
大人気の刀城言耶シリーズ最新書き下ろし長編!
***
刀城言耶シリーズを未読の方でも楽しく読むことが出来ます。
ホラーの要素は入っていますが、クライマックスでは探偵役の刀城言耶が
合理的な説明をつけてくれるのでごく王道なミステリとして読むことが出来る。
でも最後の最後で、「これはやっぱり人知を超えた出来事なのでは。。。?」
と感じさせる不気味さは秀逸。麻耶雄嵩氏の〝蛍〟を何となく彷彿とさせる。
これまで読んだ(といっても大した数読んではいないけど)
刀城言耶シリーズの中では一番面白かった。
遊廓というのがどんな場所なのか、花魁はどういう仕事かというものが
綿密な取材に基づいて描き出されていて、
非常に興味深く読むことが出来た。
(まあ、リアルすぎて読んでいて「痛い」描写も多々あるにはあるのだけど)
おすすめです。
あー、やっぱり最後で探偵役がすかっとこれまでの謎を一気に解き明かしてくれる
王道ミステリは読んでいて気持ちがいいわ~。
戦前、戦中、戦後にわたる三軒の遊郭で起きた三人の花魁が絡む不可解な連続身投げ事件。
誰もいないはずの階段から聞こえる足音、窓から逆さまに部屋をのぞき込むなにか……。
大人気の刀城言耶シリーズ最新書き下ろし長編!
***
刀城言耶シリーズを未読の方でも楽しく読むことが出来ます。
ホラーの要素は入っていますが、クライマックスでは探偵役の刀城言耶が
合理的な説明をつけてくれるのでごく王道なミステリとして読むことが出来る。
でも最後の最後で、「これはやっぱり人知を超えた出来事なのでは。。。?」
と感じさせる不気味さは秀逸。麻耶雄嵩氏の〝蛍〟を何となく彷彿とさせる。
これまで読んだ(といっても大した数読んではいないけど)
刀城言耶シリーズの中では一番面白かった。
遊廓というのがどんな場所なのか、花魁はどういう仕事かというものが
綿密な取材に基づいて描き出されていて、
非常に興味深く読むことが出来た。
(まあ、リアルすぎて読んでいて「痛い」描写も多々あるにはあるのだけど)
おすすめです。
あー、やっぱり最後で探偵役がすかっとこれまでの謎を一気に解き明かしてくれる
王道ミステリは読んでいて気持ちがいいわ~。
プロフィール
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kovo
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女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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