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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「治外法権なんだな。子宮は」

 

エンブリオ―それは受精後八週までの胎児。
天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、
異常な「医療行為」に手を染めていた。
優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。
彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。
神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向かうのか。
生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。

***

本作の続編である〝インターセックス〟を先に読んでしまったので
なかなか手を出す気になれなかったのですが、ようやく読了。

岸川医師のマッドぶりはやはり第一作であるこちらのほうがすごかった。
ただ、続編のレビューにも書いたのですが、内容のほとんどを
セレブ同士の会話やカジノ等の娯楽やどうでもいい会話等に費やしてしまっているので
読んでいてだるだるでした。
どうせ蛇足を書くのなら、医学うんちくを書いてほしかった。
誰が医師としてではない、プライベートモードの主人公のことなんか知りたいもんか(でも
島田荘司氏の〝御手洗シリーズ〟の〝御手洗潔の一日〟的な話は大喜びで読んだ私です)。

平行して起こる数々のエピソードも、どれも中途半端に終わるし、
何だか小説と医者の日記の中間みたいな読み物を読んでいる気分にさせられた。

そして岸川医師、天才の癖に、中盤で起こるある事件の真相に気づくの遅すぎ。
まあだいたいが読み進めていくうちに、〝狂的な天才〟に見えていた彼がだんだん
〝腕のよさを笠に着る自己中なオッサン〟に自分の中で変化していったぐらいだしな。
やはり彼も、天才なれど人間なんでしょう。
オチなんかもう天才どころか〝ただの嫌がらせオヤジ〟だし(狂気より情けなさを感じた。
おまえは幼児か、と。偉そうに患者を救いたいとか言ってたプライドはどうした、と)。

帚木氏には今後もうちょっと、余計な描写をそぎ落としたシャープなものを書いてほしい。
料亭のエビの活けづくりとかモナコで買ったTシャツとかもうそういうネタはまじいらないから。
(そして水族館でのあのサメのダジャレ。正直殺意が湧いたのでほんとかんべんしてください)

というかこの著者、精神科医なのにどうして産婦人科ネタばっかり書くんだろう。
彼が全身全霊で書き上げた精神医療ものの長編を読んでみたいのに。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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