「幕が開きます。もう逃げられませんよ」
本選集は日本推理作家協会が、1996年に雑誌等に発表された数多い短篇推理小説から、
すぐれた15篇の傑作を選出して、推理小説界とSF界の1996年の展望と共に収録した
代表作アンソロジー「決定版推理小説年鑑」です。
★収録作品★
子を思う闇/貫井徳郎
経理課心中/山田正紀
プラットホームのカオス/歌野晶午
マリーゴールド/永井するみ
猟奇小説家/我孫子武丸
音の密室/今邑彩
彼なりの美学/小池真理子
刑事部屋(でかべや)の容疑者たち/今野敏
鑑定証拠/中嶋博行
わざわざの鎖/佐野洋
背信(シザーズ)の交点(クロッシング)/法月綸太郎
右手に秋風/渡辺容子
裁かれる女/連城三紀彦
死ぬ時は意地悪/西澤保彦
ポートレート/北森鴻
***
作品ごとのレビュー。
◆子を思う闇◆
各サイトで「短編小説の傑作」と絶賛されているのでドキドキしながら読んだものの
さして衝撃も感銘も受けず。
これだけの短さでよくもこんなにインパクトたっぷりに書けるなあとは思いましたが。
冒頭から読み手を惹きつける技量もすごい。
でも皆が傑作傑作というほどには感じなかった。私には佳作というところ。
◆経理課心中◆
物語の中核を成す二人の人間の思考回路がどちらもひとりよがりすぎで
話を動かすために著者に無理やり動かされている駒のように感じた。
なのでどうにもリアリティがない。
読後の感想は「あー楽しかった」という感じ。
◆プラットホームのカオス◆
伏線の張り方はうまいのですが、後半での〝犯人〟の挙動が浅はかすぎ。
相手を見れば自分を脅そうとしているのかどうかぐらいわかると思うのですが。
あと、(蛇足ですが)このタイトルセンスはどうにかならないものか。
結構楽しく読めたのにタイトルがこれじゃ。。。
◆マリーゴールド◆
隣の芝生は。。。ってやつですね。
ちょっと偶然が重なりすぎ&展開が強引すぎる気もしましたが、
あとオチがやや二時間ドラマ風だったのがあれですが、
それなりに楽しく読めました。
◆猟奇小説家◆
こういう、主人公も含めて誰が悪役で誰が被害者なのかわからない小説は
スリルがあって好きです。
オチはまさかそう来るかというぐらい怒涛の展開ですが、
ラストに登場するある人物は私的には好みだったり←狂人好き
◆音の密室◆
。。。。。。。。。
トリック読めすぎ。
くだらなすぎ。
やっつけで書いたんですか?と嫌味じゃなく本気で問いたい。
タイトルを見て期待していただけに拍子抜けもいいところだった。
作家志望の素人レベル。
◆彼なりの美学◆
ここまで長々と引っ張った割りにはオチは想像の範疇内だった。
ある有名な翻訳ものミステリのラストをちょっとひねったような話。
とりあえず突っ込みたいのは、西洋人はともかく日本人女性は
よっぽど不摂生してない限り26歳でシワなんかできたりしません。
女性作家なのになぜ知らない?
◆刑事部屋(でかべや)の容疑者たち◆
出だしでだいたいどういう話か、オチはどうなるのかは読めてしまいましたが
ショートショート風ですぱっとまとまっていて面白かった。
ただ、刑事たちがそろいもそろってお人よし(というかおせっかい?)すぎるのと、
ラストがちょっとクサいのが難。
◆鑑定証拠◆
一時期何を思ったかアホみたいに遺伝子工学の本を読み漁った自分には
オチが見えてしまい、中盤のDNAに関する長々とした説明もつらかった。
長々と引っ張る割りにそのオチもかなり単純だし。
ていうか容疑者の彼に対する疑問なんだけど、
腹違いの兄弟に遺産をとられるのが嫌で恋人と養子縁組したはいいけど、
もし彼女がとんだ食わせ物だったら今後どうするつもりなんだろう?
その点は普通にあんな軽い女じゃなくて賢明な女性が恋人という設定にしたほうが
よかったと思うんだけど。。。
ラスト一行には笑いました。
◆わざわざの鎖◆
読んだばかりなのにもう記憶がおぼろげで何も感想が書けない。
ものすごく失礼だけどこの人の作品はいつもそう。
◆背信(シザーズ)の交点(クロッシング)◆
鉄道ミステリ!? と一瞬引きましたが(←超苦手)
乗り物はあくまでミステリを盛り上げるためのガジェットとして使われているだけで
ベースは王道本格ミステリ。非常に面白く読めた。
小説家である主人公が作中で著作をボロクソに言われているシーンに
著者が重なってしまい思わず吹いた。
◆右手に秋風◆
女Gメン(Gウィメン?)かっこいい。
文章表現が面白くて笑えた。
それにしてもオブラートで変身できるなんて知らなかったな。。。今度やってみよ。
トリックは大したことないですが(というか「え、これミステリ?」って感じですが)
ヒロインのど根性が好きです。ホレます。
◆裁かれる女◆
翻訳ものミステリにありそうな話。
一人の人間の複雑な心情を破綻なく書き上げた筆力には感服。
ただ、〝妻〟って単語を使うのはちょっといやかなりアンフェアだろ。
あの登場人物にこの単語を使わせたいなら、あの人物をもっと変態風に書かなきゃ
どうしても違和感が拭えない。
◆死ぬ時は意地悪◆
ひと言で言えば「つまらない」。
出だしはいい感じで引き込まれたのに。。。この著者の書く話はほんと当たり外れ多いです。
ていうかこれ匠千暁シリーズだったんですね。。。この探偵も影が薄くて
今まで面白いと思ったためしがないんですが。。。
〝スコッチ・ゲーム〟が評判いいので見切らずに今度読んでみようと思います。
◆ポートレート◆
香菜里屋シリーズはあまり好きじゃないのでどうにも読んでいて乗り切れなかった。
ってことを抜きにしてもあまり面白いとは思わなかった。
オチは不服。写真の種類がどうであれ、それが最近撮られたものか昔のものかぐらい
見た目や触り心地でわかるだろ。
しかも十数年以上前の作品なのでジェネレーションギャップがあって到底真実に
たどり着けない。当時中学生だったのに流行ってた記憶ないんだけどなあ。。。
忘れてるだけ??
終盤の主人公の〝孤独の心理〟にだけはひどく共感しました。あーあ、私も
大人になっちゃったんだなあ。。。
本選集は日本推理作家協会が、1996年に雑誌等に発表された数多い短篇推理小説から、
すぐれた15篇の傑作を選出して、推理小説界とSF界の1996年の展望と共に収録した
代表作アンソロジー「決定版推理小説年鑑」です。
★収録作品★
子を思う闇/貫井徳郎
経理課心中/山田正紀
プラットホームのカオス/歌野晶午
マリーゴールド/永井するみ
猟奇小説家/我孫子武丸
音の密室/今邑彩
彼なりの美学/小池真理子
刑事部屋(でかべや)の容疑者たち/今野敏
鑑定証拠/中嶋博行
わざわざの鎖/佐野洋
背信(シザーズ)の交点(クロッシング)/法月綸太郎
右手に秋風/渡辺容子
裁かれる女/連城三紀彦
死ぬ時は意地悪/西澤保彦
ポートレート/北森鴻
***
作品ごとのレビュー。
◆子を思う闇◆
各サイトで「短編小説の傑作」と絶賛されているのでドキドキしながら読んだものの
さして衝撃も感銘も受けず。
これだけの短さでよくもこんなにインパクトたっぷりに書けるなあとは思いましたが。
冒頭から読み手を惹きつける技量もすごい。
でも皆が傑作傑作というほどには感じなかった。私には佳作というところ。
◆経理課心中◆
物語の中核を成す二人の人間の思考回路がどちらもひとりよがりすぎで
話を動かすために著者に無理やり動かされている駒のように感じた。
なのでどうにもリアリティがない。
読後の感想は「あー楽しかった」という感じ。
◆プラットホームのカオス◆
伏線の張り方はうまいのですが、後半での〝犯人〟の挙動が浅はかすぎ。
相手を見れば自分を脅そうとしているのかどうかぐらいわかると思うのですが。
あと、(蛇足ですが)このタイトルセンスはどうにかならないものか。
結構楽しく読めたのにタイトルがこれじゃ。。。
◆マリーゴールド◆
隣の芝生は。。。ってやつですね。
ちょっと偶然が重なりすぎ&展開が強引すぎる気もしましたが、
あとオチがやや二時間ドラマ風だったのがあれですが、
それなりに楽しく読めました。
◆猟奇小説家◆
こういう、主人公も含めて誰が悪役で誰が被害者なのかわからない小説は
スリルがあって好きです。
オチはまさかそう来るかというぐらい怒涛の展開ですが、
ラストに登場するある人物は私的には好みだったり←狂人好き
◆音の密室◆
。。。。。。。。。
トリック読めすぎ。
くだらなすぎ。
やっつけで書いたんですか?と嫌味じゃなく本気で問いたい。
タイトルを見て期待していただけに拍子抜けもいいところだった。
作家志望の素人レベル。
◆彼なりの美学◆
ここまで長々と引っ張った割りにはオチは想像の範疇内だった。
ある有名な翻訳ものミステリのラストをちょっとひねったような話。
とりあえず突っ込みたいのは、西洋人はともかく日本人女性は
よっぽど不摂生してない限り26歳でシワなんかできたりしません。
女性作家なのになぜ知らない?
◆刑事部屋(でかべや)の容疑者たち◆
出だしでだいたいどういう話か、オチはどうなるのかは読めてしまいましたが
ショートショート風ですぱっとまとまっていて面白かった。
ただ、刑事たちがそろいもそろってお人よし(というかおせっかい?)すぎるのと、
ラストがちょっとクサいのが難。
◆鑑定証拠◆
一時期何を思ったかアホみたいに遺伝子工学の本を読み漁った自分には
オチが見えてしまい、中盤のDNAに関する長々とした説明もつらかった。
長々と引っ張る割りにそのオチもかなり単純だし。
ていうか容疑者の彼に対する疑問なんだけど、
腹違いの兄弟に遺産をとられるのが嫌で恋人と養子縁組したはいいけど、
もし彼女がとんだ食わせ物だったら今後どうするつもりなんだろう?
その点は普通にあんな軽い女じゃなくて賢明な女性が恋人という設定にしたほうが
よかったと思うんだけど。。。
ラスト一行には笑いました。
◆わざわざの鎖◆
読んだばかりなのにもう記憶がおぼろげで何も感想が書けない。
ものすごく失礼だけどこの人の作品はいつもそう。
◆背信(シザーズ)の交点(クロッシング)◆
鉄道ミステリ!? と一瞬引きましたが(←超苦手)
乗り物はあくまでミステリを盛り上げるためのガジェットとして使われているだけで
ベースは王道本格ミステリ。非常に面白く読めた。
小説家である主人公が作中で著作をボロクソに言われているシーンに
著者が重なってしまい思わず吹いた。
◆右手に秋風◆
女Gメン(Gウィメン?)かっこいい。
文章表現が面白くて笑えた。
それにしてもオブラートで変身できるなんて知らなかったな。。。今度やってみよ。
トリックは大したことないですが(というか「え、これミステリ?」って感じですが)
ヒロインのど根性が好きです。ホレます。
◆裁かれる女◆
翻訳ものミステリにありそうな話。
一人の人間の複雑な心情を破綻なく書き上げた筆力には感服。
ただ、〝妻〟って単語を使うのはちょっといやかなりアンフェアだろ。
あの登場人物にこの単語を使わせたいなら、あの人物をもっと変態風に書かなきゃ
どうしても違和感が拭えない。
◆死ぬ時は意地悪◆
ひと言で言えば「つまらない」。
出だしはいい感じで引き込まれたのに。。。この著者の書く話はほんと当たり外れ多いです。
ていうかこれ匠千暁シリーズだったんですね。。。この探偵も影が薄くて
今まで面白いと思ったためしがないんですが。。。
〝スコッチ・ゲーム〟が評判いいので見切らずに今度読んでみようと思います。
◆ポートレート◆
香菜里屋シリーズはあまり好きじゃないのでどうにも読んでいて乗り切れなかった。
ってことを抜きにしてもあまり面白いとは思わなかった。
オチは不服。写真の種類がどうであれ、それが最近撮られたものか昔のものかぐらい
見た目や触り心地でわかるだろ。
しかも十数年以上前の作品なのでジェネレーションギャップがあって到底真実に
たどり着けない。当時中学生だったのに流行ってた記憶ないんだけどなあ。。。
忘れてるだけ??
終盤の主人公の〝孤独の心理〟にだけはひどく共感しました。あーあ、私も
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