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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「みなさんはどういうご関係で」
「家族同然の付き合いですね」




みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。
そんなのは珍しくない? いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、
父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。
俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。
そして、今回、変な事件に巻き込まれて――。

***

普通ならいやらしくなってしまいそうな
「一人の女に男が四人」という設定も、伊坂氏がやると不思議と嫌味にならない。
改めて、そのへんの才能はすごいなと思う。
ただ、ギャンブル会場とか選挙とか監禁とか麻雀とか、
そういった一つひとつのファクターが伊坂作品では既に何度も登場しているものなので
ちょっと食傷気味にも感じた。
父親四人に順番に喋らせるのに文字数をぴったり統一するのも、
あまりに何度も続くとくどい。
伊坂氏独特の言葉遊びも、初期のころに比べると冴えていない気がした。

四人の父親たちがそれぞれのやり方で主人公の由紀夫を大切に思っているのが
伝わってきて、由紀夫もそれを面倒に思ったり恥ずかしがったりしながらも
何だかんだでちゃんと受け止める、その在り方はすごくいいなと思いましたが。

序盤は地味ですがだんだん盛り上がり、ラストは個性的かつ爽快に〆。
そこはさすがの伊坂節で、期待を裏切らなかった。

まあおすすめかな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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