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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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愛している。



好寄に満ちた視線が行き交うトップレス・バーで、真知子はただ一人の男を思い、踊る。
カズさんとの交情は、潔らかで高貴だった。得体の知れない熱い血が突き上げる――。
恋に落ちた二人はヴァレンタインの夜、警察の手入れで逃げ出し、カズの故郷へと向かった。
夫婦となり、新生活が始まるが、閉塞感と運命は、二人を否応なしに試練へと導いてゆく。
惹かれ合う男と女の本能を、異才・中上健次が描き尽くした究極の性愛の物語。

***

SM嬢とかストリッパーとか、男性を魅了する職業に就いているひとって、
何だか普通の女性に比べて包容力があるように思えるのは私だけだろうか。
男性の駄目なところとか弱さとかを全部見て、その上で受け止めてあげる。
実に母性に溢れた存在。
本作の主人公・真知子の生きざまを読んでいて改めてそう思った。

真知子は作中で何度も思い人であるカズさんと自分との関係を
「男と女、五分と五分」と表現する。
男性にすべてを委ねてその中で安心しようとは絶対にしない。
一見女という性を武器にして男性に媚びていると思われかねない
ストリッパーという職業に就いていても、その心はあくまで惚れた男と対等。
そんな真知子を心底かっこいいと思えた。

そしてプロローグと対になって読者を驚かせる含みのあるラストシーン。
たぶんそのシーンを読んだとき、私は真知子と同じ顔をしていたと思う。

こんな風に異性を愛せたら素晴らしいだろうな。
そう思わせてくれた物語だった。

ところで本作、物書き(のたまご)の視点から見ると、
直喩(「~のような」「~のように」)がプロ作家の作品の割にかなり多いと思うのだけど、
自分がそれをやりがちで困っていたのですがそれを見たお陰で
やりようによっては直喩連発でも読める物語になるんだな、と何だか勇気を得た気がした笑

おすすめです。
女性はいかに男性を愛すべきか、その答えが書いてある本作はバイブル。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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