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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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不思議の国にいるのは、アリスじゃなくて私達。



自分の子どもを愛せない母親のもとで育った少女は、湧き出る家族欲を満たすため、
「カゾクヨナニー」という秘密の行為に没頭する。
高校に入り年上の学生と同棲を始めるが、「理想の家族」を求める心の渇きは止まない。
その彼女の世界が、ある日一変した――。
少女の視点から根源的な問いを投げかける著者が挑んだ、「家族」の世界。
驚愕の結末が話題を呼ぶ衝撃の長篇。

***

私が純文学を好んで読む理由のひとつに、
自分ではうまく言い表せないもやもやとした感情をはっきりと言葉にしてくれる、
というのがあるのですが、
本作はまさにそうだった。
己に陶酔するあまり本当の自分を見てくれていない恋人、友人、家族に対する気持ち悪さを、
本作は見事的確に描写してみせてくれた。救われた気がした。

人は人を使って精神的なオナニーをするもので、
恋愛はその最たるものだけど、
結局は自分ひとりが気持ちいいだけで相手のことは考えていないんだよな。
自分にとっての理想の型を無理やり相手に当てはめて、その食い違いにも気付かず
ひとり勝手にうっとりしている。
『欲しい気持ちが成長しすぎて 愛することを忘れて
万能の君の幻を  僕の中に作ってた』
という某歌手の歌詞のとおりに。
どうやったらそういったしがらみから抜け出せるんだろうといつも考えているのですが、
本作の主人公のようにしない限り抜け出せないのだとしたら先が思いやられる。。。
正直、本作のオチはファンタジックになりすぎた感があって、あまり好きな終わり方では
なかったので。。。

主人公が恋人を嫌悪していく描写が、「嫌い」「不快」といった負の言葉を一切使わずに、
なのに巧みに描写されていたのには舌を巻きましたが。筆力ありすぎ村田沙耶香さん。

繰り返しになりますが、オチはあまり納得いってないのですが、
非常におすすめの一作です。
この物語に書かれている「気持ち悪さ」の心理を理解出来るひとなら、
私は親しくなれる自信がある。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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