ギンイロノウタ／村田沙耶香

産声を歌いたい。



私となんの関係もないあなたを、私は殺したい。

成熟を夢見ながらも無差別殺人衝動に襲われていく内気な少女の極限の姿を描いた表題作。
そして殺傷行為を恋愛感情とクロスさせる女子大生のラブ・ストーリー「ひかりのあしおと」。
――「誰が身震いせずにいられよう」と絶賛を浴びる注目の作家の、
圧倒的なエネルギーを湛えた二作品を収録する小説集。

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主人公を含め登場人物の書き込みが少し足りないように感じた。
表題作なんかでは、主人公があんなに大事にしていたあるものを簡単に放り投げたりしてしまうし。
出てくる男性キャラは皆一見個性があるようで実は物語の進行上都合よく動かされる
薄っぺらな傀儡に過ぎなかったり。

作中の比喩表現もすぐには意味がわかりづらいものが多くてちょっとだけ読みにくかった。

〝ひかりのあしおと〟での主人公の母親のむかつきっぷりはハンパじゃなく、
後半で主人公がそんな彼女に反逆するシーンは最高にスカッとしたけど。
（彼女の夫（要するに主人公の父親）の、妻に対するベタボレっぷりがもうちょっとリアルに描写
されていればもっとスカッとしたのに、と少し残念）
思い込みの、自分だけの世界の中で生きる地に足のつかなさっぷりは
母子共通というところでしょうか。

可もなく不可もなく、といったところ。
表題作は野間文芸新人賞受賞作なのですが、それに値するほどのものにも思えなかった。