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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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このどうしようもなく病んだ世界で。



美波高校の『演劇部』に所属する舞原吐季と、『保健部』に所属する千桜緑葉。
二人の奇妙な推理勝負は話題を呼び、いつしかルームシェアした部室には、
悩みを抱えた生徒が頻繁に訪れるようになっていた。
緑葉の一方的で強引な求愛に辟易する日々を送る吐季だったが、
ある日、同級生、琴弾麗羅にまつわる謎解きをきっかけとして転機が訪れる。
麗羅の血塗られた過去が暴かれ、誰も望んでいなかった未来の幕が、
静かに上がってしまったのだ。
ポップなミステリーで彩られた、現代のロミオとジュリエットに舞い降りる、儚き愛の物語。
激動と哀切の第二幕。

***

〝ノーブルチルドレン〟シリーズ第二集。
〝告別〟のタイトルにふさわしく、吐季と麗羅の重い過去と、
かつてそれぞれが味わった大切な存在との〝別れ〟が描かれていて
読み応えたっぷりの内容になっています。
吐季が僅かに緑葉に心を開く重要な巻でもあるのですが、
そのことがまるで読み手にも心を開いてくれたようで、
読んでいてちょっと嬉しさを感じることが出来たり。
吐季のような感情表現の苦手な、自分の世界に籠もって固く心の扉を閉ざしているような
人間には、
過剰なまでにストレートに愛情をぶつけてくる緑葉のような存在がお似合いなんだろうなと
ふたりの相性のよさを思い知らされた巻でもありました。
というか今回緑葉のモノローグが素敵すぎて手帳に名言集としてメモりたいぐらいで、
「この子に愛される人間は幸せだな」と第一集より更に彼女に魅力を感じた。
彼女の夢は心療内科医になることなのですが、彼女になら癒される人間は
そりゃもうたくさんいるんじゃなかろうか←魅力にやられてテンション上がって素になり中。

ミステリパートはやはりやや物足りないのですが、
キャラクターの魅力で十分に楽しませてもらうことが出来ました。

おすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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