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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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言葉のみが全てを支配する。



大手ゼネコンに勤務する田中は、学生時代にボクシングをしていたせいか、
耳の聞こえが悪い。そのため誤解から家を出た恋人の友人宅に電話をしても、
「嫁は寄生虫」「ひがんで実家に帰っている」などと聞き違えてしまう。
そして同じ時間、同じ場所に、やはり勘違いの甚だしい自称・カリスマ日本語教師がいた…。
彼らの言動が、取り返しのつかない大惨事へ――。

★収録作品★

 漢は黙って勘違い
 ビバ日本語!
 鬼八先生のワープロ
 情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群

***

よくwordとかでテキストを書いていて、ひらがなを漢字に直したときに
とんでもない変換ミスが出てひとりで吹き出した。。。なんてことは
誰しもが経験することでしょうが、
そういった日常に溢れる〝言葉〟の遊びをとことんまで追究して
書かれたのが本作に収録された四編。

深水黎一郎さんは確かな筆力を持った作家さんだという
信頼があったので最後まで読み進めましたが、
もしこれが彼の作品の初読だったら
明らかに途中で読むのやめてただろうな、というほど内容的にはふざけた作品。
と、一見そう思えるのですがよく読むとその裏に
著者の〝日本語〟、ひいては〝言葉〟そのものに対する見解や主張がはっきりと
浮かび上がって見えてきて面白い。
特に最終話〝情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群〟なんかは
クライマックスにおける主人公のスピーチが
そのまま著者の魂の叫び(笑)になっていて
わかるわかる、と心から頷いてしまった。
普段から言葉というものに触れる機会が多いひとほど
本作は楽しめるんじゃないかな。
まあ、〝鬼八先生のワープロ〟なんかはさすがに冗長すぎて
「これショートショートでいいだろ。。。」と読むのが途中でつらくなりましたが、
ここまで日本語を突き詰めた作品を書き上げた著者の体力には
ただただ感心するばかり。

万人におすすめしづらい作品ではあるけど、
ハマるひとはとことんハマるタイプの内容ではあるかな。

私的にはおすすめです。
それにしてもこれ、校正のひと苦労しただろうな。。。笑
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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