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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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たぶん、僕はそのために生まれた。



「僕は、実際には存在しない男なんです」
世田谷に古い洋館を構えるある家に、家庭教師として通うことになった聡子。
ある日、聡子の前に、屋敷の離れに住む謎の青年が現れる。
青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、ときに女たらしのように馴れ馴れしくキスを迫り、
ときに男らしく紳士的に振る舞った。
激しく変化する青年の態度に困惑しながらも、聡子はいつして彼に惹かれていく。
しかし彼の哀しい秘密を知った聡子は、結ばれざる運命に翻弄され――。

***

多重人格を扱った話なら〝ISOLA〟〝症例A〟など枚挙にいとまがないですが、
ある多重人格の異性の交代人格に恋してしまった、という本作のような物語は
意外と新しいかも知れない。

場所によって〝イライラ〟が〝いらいら〟とひらがな表記になったり
やたら文中に〝素敵〟という言葉が出てくる等ボキャブラリーにバリエーションがなかったり、
ヒロインのモノローグに〝!(びっくりマーク)〟が頻発してそれが大げさに感じたりと
物書きを志す身としてはそんな文章の適当さが気になりはしましたが、
面白くて一気に読めた。
文章から滲み出すようなヒロインの性格の悪さだけはどうにも好きになれず、
好きになれたらもっとこの物語に感動出来たのにと思うと残念な気もしますが
それでも何だかんだ言って素晴らしい物語だった。
ラストは切なくて鼻がつんとした。
この世にいない存在に恋をする、というとゲームのFFⅩなんかを思い出したりしますが
(ここで言う〝この世にいない〟というのは、幽霊とかじゃなく
初めから実体がない、元から人間じゃない存在のことです)
こういうシチュエーションは本当に切なくてやるせなくなる。大好きだこういう話。

おすすめです。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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