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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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だから、ママ、この手を離さないで――。



「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」
著者入魂の、書き下ろし長編。
持つものと持たないもの。欲するものと欲さないもの。
二種類の女性、母と娘。
高台にある美しい家。暗闇の中で求めていた無償の愛、温もり。
ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。
心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。
それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。

***

原則として、「母性」と「女性」は両立し得ないと思っている。
男のために我が子を捨てたり虐待したりする女がいるように、
「女性」であるために「母性」を簡単に捨て去る女は確実に存在する。
もちろん「母性」を内包した「女性」として愛する男性に接する女性はいるけれど。

本作は、それと同じように
「母親」であることと「娘」であることは両立し得ないことを謳っている。
どちらかでありたいなら、残るもうひとつを放棄しなければならない。
けれど親に甘え、守られたいと思う気持ちと我が子を慈しみ、育てたいと思う気持ちは
どちらも女性には備わっているものであり簡単には手放すことは出来ず、
その狭間で悩む人間は多いのだろうなと本作を読んで改めて思った。

守り、慈しみたいと思うことと、
守られ、愛されたいと思うこと。
そのふたりの相反する気持ちを同時に満たすのはとてもバランス感覚が必要で
難しいことだ。

私はまだ独身で子供もいないけれど、
将来「母親」という立場に立つだろう身において
今から非常に身につまされる話だった。

おすすめです。特にもちろん女性に。
ミステリ要素も入っているので男性にもおすすめ。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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