ただ、おそらく、これが最初で最後の恋なのだ。
洋楽専門誌にビートルズの評論を書くことだけが、社会との繋がりだった鈴木誠。
女性など無縁だった男が、美しいモデルに心を奪われた。
偶然の積み重なりは、鈴木の車の助手席に、美縞絵里を座らせる。
***
さすがベテランだけあって、肩に力の入らない読みやすい文体で
一気に読ませる。
三分の二ぐらいまでは悪く言えばだらだらと間延びした描写が延々と
続くのだけど、終盤を読んだ時点でそれはこのラストを描くための
長い長い布石だったのだなと気付かされ驚かされた。
淡々としつつも猟奇的な物語が、最後の最後で切ないどんでん返しを見せる。
ラスト一行を読んだときには、やりきれないような、それでいて「よかったね」と
頬笑みを湛えた拍手を贈りたくなるような、何とも複雑な気分にさせられた。
周りの人間がどう評しようとその幸せが紛い物であろうと、
本人がそれを幸せと心から感じることが出来るならそれは間違いなく
〝幸せ〟のひとつの形であるのだろう。
この手の話は東野圭吾氏や歌野昌午氏も書いていて
決して目新しくはないのだけれど、それでも心を大きく揺さぶられるのは
偏に著者の力量所以なのだろうと思う。
面白かったです。
ただ、本作を読んだ私の知人も言っていたことだけど、
鈴木誠さん、どうやって免許取ったの?
洋楽専門誌にビートルズの評論を書くことだけが、社会との繋がりだった鈴木誠。
女性など無縁だった男が、美しいモデルに心を奪われた。
偶然の積み重なりは、鈴木の車の助手席に、美縞絵里を座らせる。
***
さすがベテランだけあって、肩に力の入らない読みやすい文体で
一気に読ませる。
三分の二ぐらいまでは悪く言えばだらだらと間延びした描写が延々と
続くのだけど、終盤を読んだ時点でそれはこのラストを描くための
長い長い布石だったのだなと気付かされ驚かされた。
淡々としつつも猟奇的な物語が、最後の最後で切ないどんでん返しを見せる。
ラスト一行を読んだときには、やりきれないような、それでいて「よかったね」と
頬笑みを湛えた拍手を贈りたくなるような、何とも複雑な気分にさせられた。
周りの人間がどう評しようとその幸せが紛い物であろうと、
本人がそれを幸せと心から感じることが出来るならそれは間違いなく
〝幸せ〟のひとつの形であるのだろう。
この手の話は東野圭吾氏や歌野昌午氏も書いていて
決して目新しくはないのだけれど、それでも心を大きく揺さぶられるのは
偏に著者の力量所以なのだろうと思う。
面白かったです。
ただ、本作を読んだ私の知人も言っていたことだけど、
鈴木誠さん、どうやって免許取ったの?
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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