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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「悪いことをするには、天使に分け前を払わなくっちゃならない」



第10回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作。
「法曹関係の圧倒的ディテール、そして司法と検察、弁護側の馴れ合いを糾弾する
作者の筆致が、実に素晴らしい。(茶木則雄)」と選考委員も絶賛の、
現役弁護士が描く法曹ミステリーです。

舞台は福岡。母子殺害事件の被告人を信じた弁護士の「私」は無罪を主張するが、
裁判所は聞く耳を持たない。
被告人を救おうとした「私」は業務を一年間停止する処分を受ける。
復帰後、別居中の夫に生活費の請求をしたいという美女の依頼を受けるが、
連続する殺人事件に巻き込まれていく…。

***

現役医師とか弁護士とかの肩書を持つ作家さんは、
もちろん皆が皆そうというわけじゃないのだけれど
専門的知識はすごいものの小説家としてはどうか、と思う稚拙な文章を
書くひとが多い気がするのですが、
(名指しで失礼ですが、〝デザイナーベイビー〟を書いた
岡井崇さんなんかは文章が下手すぎて読み始めて数行でリタイアした)
本作の著者はこれがデビュー作なのにも関わらず
文章が「小説として」非常にうまいどころか既に自分の文体・作風を
確立していて驚かされた。
きっとこれまでにたくさん小説を読んできた方なんだろうなあと思わせるほどの
こなれた文章、主人公の独特で個性的なキャラクター、
まさに文句のつけどころなし。

正直ミステリとしては弱いなと思ったけど
主人公のとぼけた思考・行動に笑わされながら
楽しく読み進めることが出来た。
作品を読んで「この著者と友達になりたいな」と思わされたのは久しぶり。
それぐらい、著者の面白くて好人物そうな人柄が作中に滲み出していた。

というか本作の副題の〝天使の分け前〟の意味が読後わかるのですが、
「へーそういう意味だったのか」と感心した。
お酒を飲むひとなら知ってるひともいるかも。

最後のページにおまけっぽく書いてある〝弁護士用語〟にも
笑わさせてもらった。

あー自分が裁判に関わることがもしいつかあれば
この著者に弁護してもらいたい。

おすすめです。

ちなみに本作が面白かったひとは、荻原浩氏の
〝ハードボイルド・エッグ〟もおすすめ。
ハードボイルドにかっこつけた実はとぼけた探偵、というのが共通してます。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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