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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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それだけで十分だったのに。



主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、
東京の中学校へ編入してきた。
そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、
予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。
しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、
その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。
美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、
ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。
やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく・・・。

純粋さゆえに傷つけあう少女同士の関係、
友情の輝きと痛みが詩情あふれる筆致で描かれた珠玉作。

★収録作品★

 七緒のために
 水の花火

***

私は昔から一風変わった人間と親しくなることが多く、
中でも強烈だったのが中学時代、ずけずけ傷つくことを絶妙のタイミングで言う癖に
自分のことに関しては嘘ばかり吐く、という同級生の友人で、
正直周囲には嫌われまくってましたが私は彼女の欠点も含めたその独特の個性に
惹かれるものがありけっこう長い間付き合っていました。

だから本作を読んで七緒と出会ったとき、真っ先に思い出したのはやっぱり
彼女のこと。

人間誰しも所謂「異形」的なものに惹かれてしまうことは往々にしてあるわけで、
私や本作の主人公の雪子のように、めんどくさい相手とわかっていても
受け入れようと必死になってしまう経験をしたひとは意外と多いんじゃないかと思う。
どんなに疲れても、いくら傷ついても、相手を求める衝動を何故か抑えることが出来ない。

本作の七緒の歪み方はひどくシンプルで、でもだからこそ
彼女のような人間にめぐり会ったことがあるすべてのひとの心に
抵抗なく滑り込んでくるんじゃないかと思えた。

結局そういう人間に惹かれるのは、自分にも似たところがあるせいなんだろうな。
共鳴してしまう。
だからどんなにうざったくても心底からは嫌いになれない。

ちなみに上記の私の友人は、しばらくして自然消滅したあと
リストカットを繰り返したり家中のものを破壊して親を泣かせたりした挙げ句
今は警察官の旦那さんと幸せにやっているそうです。
どこまでも強烈な子だった。
旦那さんも彼女にときどき疲れつつ、それでもあの強烈な魅力に
抗えずすべて受け止めてそばにいてくれるんだといいな。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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