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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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明るい世界であることを。



東大農学部院生の奈海はバレンタインの朝、同じゼミに在籍し、
想いを寄せている本田の死体を発見する。
凶事に茫然自失する奈海の前に、突如“死神”を名乗る青年が姿を現わし、
「過去に戻って愛する者を救う機会を与える」と言う。
奈海は本田の死因を突き止め、彼を救うことを決意。
しかし、本田が密かに開発していた惚れ薬も絡み、事態は思わぬ方向へ――
果たしてふたりの運命やいかに。

***

タイトルや、死神めいた青年が登場するというSF的展開のために
かるーいラブストーリーを想像される方も多いでしょうが、
この喜多喜久さんという作家さん、実はかなりの実力者です。
キャラクターには魅力があるし、伏線の回収を含めた全体の構成も見事。
微妙に違うとはいえほとんど同じシーンを10回もループするという話なのに、
読んでいてまったく飽きが来ない。
良質のSF(すこし・ふしぎ)ミステリとして楽しんで最後まで一気に読むことが
出来ました。

著者の経歴からもわかるとおり、ほんわかした物語の随所に挟まれる
理系の知識も、独りよがりになることなくちゃんと読者にわかるように
易しく、かつ興味深く描写されていて内容にすんなり溶け込んでいる。
このミス出身の作家さんはこんな風に、コミカルな部分とシリアスな部分を
融合させて物語を紡ぐ才に秀でたひとが多いように思うので
物書き志望の身としては羨ましい限り。

それにしても。。。主人公・奈海のひとの良さというか、人間としての
出来っぷりには心底感嘆した。
普段恋愛小説を「けっ!」と思いながらしか読まない私が、
珍しく彼女の恋路だけは応援したいと心から思えた。

終盤からラストまでのオチは正直だいたい見当がついてしまいましたが、
そして登場人物たちが些かご都合主義にまとまりすぎという気もしましたが、
それでも満足して読むことが出来た。

喜多氏の小説は一貫して読みやすいのでおすすめ。
おすすめ順としては、ラブ・ケミストリー、本作、猫色ケミストリーの順かな。
是非一読を。
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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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