忍者ブログ
読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
[460]  [467]  [468]  [465]  [464]  [461]  [453]  [463]  [455]  [454]  [462
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

復讐のように、見て欲しかった。



高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。
彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、
高校時代の「幼く、罪深かった」出来事――。よみがえる「教室の悪意」。
28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。
辻村深月の新境地。

***

著者と同い年のせいだろうか。
登場人物たちと同世代のせいだろうか。
ただ著者の筆力によるものか。
読んでいて怖くてしょうがなかった。
〝一見普通に見える、もしくは輝いて見える人でも、それぞれ何かを抱えている〟
という手垢のついた言葉が、眼を背けたくなるほどのリアルさで迫ってきて怖かった。
自分と同じ高さに立っていた存在が上に上っていってしまったときにむき出しになる、
人間の醜く、そして哀しい本性も。
本作はその〝リアルさ〟〝怖さ〟を、ミステリというジャンルで描くことによって
より一層引き立たせている。
ミステリのための物語、じゃなく、物語のためのミステリ。

先に紹介した多島斗志之氏の〝黒百合〟よりも、本著のほうがずっと
文芸とミステリの融合を見事に果たし得ていると思う。

自分の精神が不安定な今、また読み返そうなんて怖くてとても思えないけれど、
久しぶりに出会えた傑作なので落ち着いたころに是非再読したい。
同い年の作家がここまでのものを描けることに、嫉妬よりも素直に敬服の意を表したい。
あなたはすごいです、辻村深月さん。

sun_hand.jpg





PR
この記事へのコメント
name
title
color
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※チェックを入れると管理者へのみの表示となります。)
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
Copyright © 【イタクカシカムイ -言霊- 】 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Material by ラッチェ Template by Kaie
忍者ブログ [PR]