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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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ここでさよなら。



「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。
きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」
父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、
一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。
夏休みの宿題、ハイキング、次第に育まれる淡い恋、そして死――。
1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、
文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。

***

読み終えて初めて「あっだからこのタイトルなのか!」と驚かされるのは
読後のおまけサプライズみたいで好きですが、本作もそうでした。
これ以上本作にぴったりなタイトルはない。

文芸とミステリの融合、というには文章はいたって普通のエンタメ調だし
トリックもよくあるものだし正直その表現はどうかと思うけど、
最後までだれることなく楽しく読めた。
若干伏線が弱く、ミステリ初心者はトリックに気づかない可能性があるので注意が必要。

舞台が現代なら「そりゃねーだろ」と突っ込むこと必至のエピソードも、
時代設定が戦前~戦後の本作なら黙らざるを得ず、見事著者にしてやられた感じ。
トリックもこの時代ならではのものだし(いや、現代だとしても十分に騙されますが)。
まあ、足悪い人が作中に二人も出てくるのは最初こそ納得いかなかったけど、
「この時代じゃなあ。。。」と認めるしかなかった。

すらすら読める良質ミステリです。

因みに本著者がだいぶ前に執筆した〝症例A〟も非常に興味深い物語なので
こちらが面白かった人は是非手にとってみてください。
(精神科が舞台の話なので情緒が不安定な人はやめておいたほうがいいけど)

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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